1998年4月2日生まれ、滋賀県出身。2015年にWOWOWの『連続ドラマW テミスの求刑』で女優デビュー後、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(17-18年)をはじめドラマ『チア☆ダン』(18年)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19年)などに出演。現在放送中のドラマ『べしゃり暮らし』では、主人公の幼馴染・土屋奈々を演じている。19年は本作のほか『あの日のオルガン』『かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』『108〜海馬五郎の復讐と冒険〜』『超・少年探偵団NEO -Beginning-』『殺さない彼と死なない彼女』『ブラック校則』の6本の出演映画が公開される。
「どんどんかっこ悪くなっていこうと思いながら演じていましたね」。心理実験で極限状態に置かれた人間たちの姿をスリリングに描く、8月30日公開の主演作『プリズン13』での芝居を笑顔で振り返るのは、今年だけで6本の出演映画が公開を迎える女優・堀田真由だ。
カメラを向けると多彩な表情を見せてくれる彼女は、放送中のドラマ『べしゃり暮らし』にも出演中で、令和の映画・ドラマ界において、重要な存在になっていくであろう若手女優の1人。そんな堀田に、本作に込めた思いや撮影の裏話、そして影響を受けたベテラン俳優の言葉や、自身が目指す女優像などについて語ってもらった。
堀田:私自身は常に起伏が激しいわけではないので、本作で描かれるような極限状態に置かれたときに、内向的だった性格なのに、うわー!って声を出しちゃったりとか、思っていることを伝えたりとか、ここまで人って変わるんだなというところは、すごく楽しめましたね。
堀田:最初は違ったのですが、やっぱり順撮り(脚本の流れに従って撮影する方法)にしてくださいとお願いをして変えていただきました。看守から囚人に変わるタイミングでマリが見せる変化は本作の見どころでもありますし、すごく大切にしたかったので、順撮りにしてくださったんです。流れ的には、すごく演じやすかったですね。
堀田:看守から囚人になるタイミングで、囚人の服を着た時に、ちょっとニヤッとしている瞬間があるんですけど(笑)、それは監督が指示をしてくださったんです。余裕ではないですけど、「ちょっとニヤッとしてみよう」と。実際に看守でいることが、マリにとっては辛いことで、私自身も撮影が続いていく中で、囚人になるタイミングでは、気持ち的にすごく楽な部分がありました。
堀田:短編で一度主演をさせていただいています。長編でも一度させていただいて、そして今回だったので、短編も含めると3作目ですね。
堀田:今回の出演者の中で、一番年下だからこそ、役として、芝居の中で遠慮する気は絶対になかったんです。そのなかで皆さんも「来い!」と言ってくださって、すごくやりやすかったですね。その分、監獄にいないときは、みなさんに楽しいお話を自分から振ってみたり、空気を盛り上げるということを、ほかの作品以上に考えていました。
ただ作品のテイストは深いので、ずっと楽しいままでいたら、主人公としても座長として良くないことだなと思っていたので、監獄に入ったら皆さんのボルテージが上がるように、自分から声を張り上げてみたり。「ここはこうしたいです」と言ってみるとか、そういう意識は、ほかの作品とはやっぱり責任感が違いましたね。
堀田:このお仕事を始めてちょうど5年目になるのですが、これまで主人公を2回演じさせていただいて、今回が3回目ということで、主人公を演じるのがすごく久しぶりだったんです。先ほどのお話と重複するんですけど、改めて責任感というものについて考える時間や、役者として色々なことを考える時間でもあったので、今後の作品で演じるのが主人公じゃなくても、もっともっと「主人公を支えてあげよう」という気持ちになると思うんです。やっぱり、真ん中に立つということを経験できたことは、今後の役者業としても、大きいんじゃないかと思います。
堀田:私は看守ですね(笑)。
堀田:お芝居をする上では、囚人のほうが若干、楽でした(笑)。囚人の服装はワンピースで、看守の方は結構きっちりしていて常に足を出していたりしたので、そういう部分でも囚人のほうが楽でしたね。ただ個人的に狭い空間が得意じゃなくて。あと囚人は、あまりおいしいご飯が食べられなかったりするので(笑)。やっぱり、看守は自由も多少ありますし、冷凍とはいえハンバーグを食べられるわけじゃないですか(笑)。なので、看守がいいかなという感じですね。
堀田:……お肉を食べることじゃないかな(笑)。やっぱり。ふふふ。お肉は好きなので、週5とかでも行っちゃったりするんですけど、食べるなって言われたら、ちょっときついかな(笑)。
堀田:赤身系がすごく好きです。
堀田:いやいやいや……。お肉を食べた次の日の方が、けっこうコンディションが良くて。自分の体質に合っているのかもしれないですね。
堀田:クラシックバレエを幼稚園の頃から習っていて、体で踊りとして表現するということは、小さい頃から取り組んでいたんです。たぶん、バレエもそうですけど、人前に立って、自分自身というより役になって踊る・なりきるのが、すごく好きな幼少期でした。
学生生活のなかだと、先生に当てられたりすると赤面しちゃうくらい恥ずかしかったり、そういう時はあったんですけど、「堀田真由じゃなくて違う何か」になると、私は割と楽しめるんだということに気づいたんです。「言葉で表現する世界(=芝居)というのは、どういうものなんだろう?」と興味を持ち始めてから、母が『ソロモンの偽証』のオーディションを見つけてくれて受けたのがきっかけですね。
堀田:クラシックバレエでも、真ん中(=主役)に行きたくて頑張っていく負けず嫌いな部分が昔からあったんです。『ソロモンの偽証』のオーディションに行っていたときは、同世代の方がたくさんいらっしゃって、実際に自分がテレビで見ていた方ばかりだったので「あ、住む世界が違った」と思ったんですけど、地元に帰ったときに、すごく悔しくて。もう一度「皆さんと同じところに立ちたい!」と思ったので、もうオーディションを受けるしかないと思って、その一発目がアミューズで。ご縁があったという感じでしたね。
堀田:アミューズのオーディションで、WOWOWドラマ賞をいただいて、それはWOWOWのドラマに出演する権利があるという賞だったんです。なので、WOWOWさんにはお世話になっているというか、すごく思い入れがありますね。最初のデビュー作『連続ドラマW テミスの求刑』では、アミューズの先輩である仲里依紗さんの妹役だったんですけど、その時の権野元監督が、地元から出てきたばかりの何も知らない私に対しても「自由にやってくれていいよ」という風に言ってくださったので、割とナチュラルなお芝居を、そこで作っていただけました。
堀田:吉田羊さんが主人公の『連続ドラマW コールドケース 〜真実の扉〜』という作品に出演させていただいたときに、すごく強い女の子でいじめっ子の役だったんです。だけどその子は、家に帰ってみると両親から虐待を受けていたりして。とあるシーンで、お風呂のお湯に顔を漬けなきゃいけないシーンがあったんですね。その、顔に水を漬けられた瞬間に「あ、私は女優として生きていこう!」って(笑)。水に入った瞬間にすごく思いましたね。だから、WOWOWのドラマがきっかけになっているかもしれないです。
堀田:『深夜食堂』にゲストで出演させていただいたんですけど、その時に小林薫さんがお話しされていたことが、すごく印象的でした。やっぱり女優さんや役者さんって、どうも映りを気にしがちというか。可愛く見えていたり、きれいに映っていたら、それはいいことですけど、それは役であって、堀田真由として出演しているわけではないんですよね。小林さんが「役としてそこに立っているので、可愛いとかきれいとか、絶対いらない」みたいなことを、別の役者さんに話されていたときに、その考え方がすごくかっこいいなと思ったんです。
「かっこ悪いのがかっこいいんだよ」という小林さんの名言を聞いて「ああ、素敵だなあ」と思って。だからこそ『プリズン13』では、可愛いとかきれいとか、そういう風な見え方というよりは、登場人物が人間的な限界を迎える作品でもありますし、「崩れていくことは上等だ!」くらいの気分で(笑)。小林薫さんの名言を思い出しながら、どんどんかっこ悪くなっていこうと思いながら演じていましたね。
堀田:『プリズン13』をはじめとして、この夏から秋で、ありがたいことに、たくさん公開する作品があるんですけど、それが全部違った顔を持っている役なんです。魔性な女の子だったり、ちょっとぶりっ子な女の子だったり、すごく等身大だったり、気が強かったり。本当に、いろいろな顔を持つ役を演じさせていただけたことが、自分の強みだなと思っていて。
女優さんで「悪女的な役を演じるのはあの人がはまるね」とか「等身大のあの役はこの人っぽいよね」とか、ひとつの役柄に長けている人は本当に素晴らしいと思います。でも最近思い始めたのは、やっぱりたくさんの作品があるなかで、自分が全部違う顔を持てたということ、それがある意味、自分の強みかもしれないと感じたんです。
今後はこれまでの作品に恥じぬようなお芝居もしたいですし、やったことのない役も演じたいです。そしてやっぱり、滋賀県という地元から出てきて、ずっといいなと思うのが、庶民的というか関わりやすい女優さん。現場でも、私が全然名が知られていないときから、優しく接してくださったり。そういう方って、人間としてすごく素敵だなあという思いがあるので、ずっと変わらず、庶民的な部分を残したままでいたいなあと思いますね(笑)。
堀田:16歳の時ですね。すぐにお芝居を始めました。
堀田:ありましたね。高校1年生で地元の高校に入学して、でも高校2年生で転校をしたので、そういった面では学生役を演じるときとか、転校生の気持ちも自分自身にありましたし、若い時に1人で出てきて親元から離れることも経験しているので、10代だった頃の寂しかった思いとかは、これまでの学園ものなどで活かすことができたなと。戸惑いはすごくありましたけど、私はやると決めたら貫き通す性格かなと思うんです。すぐに「東京に行きます」とも言いましたし。
堀田:やっぱり、休みの日に地元に帰ったり、家族に会うのは癒されます。あと、私は犬を飼っていて、動物ってすごいなって思います。いま『坂上動物王国』で動物に関わるお仕事をさせていただいていて、より一層、愛犬に会いたくなるんですね。空いた時間は、人間もそうですけど、ワンちゃんだってどうなるかわからない中で、流れている時間はみんな一緒なので、空いたらワンコに会いに帰ろうとか、「会えること」が癒しですね。
堀田:『プリズン13』は2ヵ月前くらいに撮って、撮って出し位の早さで公開しますね。その次に公開する『かぐや様は告らせたい』は、今年の3月くらいに撮影しました。松尾スズキさんの『108〜海馬五郎の復讐と冒険〜』は、去年の秋あたりに撮っていましたね。『殺さない彼と死なない彼女』も同じ頃に撮っていたんですけど、『超・少年探偵団NEO -Beginning-』という作品が私が19歳の時にクランクインした作品で、2年くらい空いて、やっと公開になるという形なので、本当に、今とは顔(=表情)なども違いますし、そういった面でも、「成長したなあ」と感じていただけるんじゃないかなと思います(笑)。
堀田:今年は出演作の公開がとても多いので、「来年どうしよう?」という焦りは、やっぱりありますよね(笑)。役者さんというお仕事は、歌手の方やモデルさんとは違ってイベントなどがあまりないので、舞台挨拶などでやっと皆さんとお会いできるんですよね。直接お会いできる機会って本当に少ないので、舞台挨拶があれば、皆さんにお会いできる機会をもてるということで嬉しいです。応援してくださっている方との時間というのは、常に大切にしたいので、今年も来年もずっと、大切にしていけたらいいなあという風に思います。
(text&photo:岸豊)
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