1996年7月6日生まれ、東京都出身。2014年、オスカープロモーションと青二プロダクションにより開催された「全日本美声女コンテスト」で応募総数14,434通の中からグランプリを獲得し、美声女ユニット「elfin'」のリーダーとして、アーティスト・女優・声優・モデル・漫画家・ゲーマーなど幅広い活動を行う。本作が映画初出演にて初主演。
第1回全日本美声女コンテストでグランプリを獲得し、アーティスト・女優・声優・モデル・漫画家など幅広い活動を繰り広げている辻美優。そんな彼女が、女優としてスクリーンデビューを飾ったのが『セカイイチオイシイ水〜マロンパティの涙〜』だ。
本作で辻は、友人の誘いからフィリピンで水道建設工事のボランティアをすることになった大学生・明日香を好演。初映画にて主演、しかもほとんどが海外ロケという、初めて尽くしの現場を経験した辻が、女優としての魅力や、自らの人生を振り返った。
辻:まず“主演”という言葉が私の頭のなかにうまくインプットされずに最初は戸惑いました。ただ台本を読ませていただき、本当に素敵な作品で、私が演じた明日香という女の子も魅力的だったので、一生懸命演じようという思いでした。さらにこの話は実話を元にしているということなので、まだまだ自分の知らないことはたくさんあるんだなということも感じました。
辻:本当に右も左もわからないまま、しかも海外で……(笑)。ただ、役として演じた明日香も英語が得意ではなく、まったく知らない世界に不安を持っていくという部分が、自分の置かれている状況とリンクしているなと思っていました。スタッフさんや共演者の方が、とても親切で優しく、しかもしっかりと意見も伝えてくださるので、しがみつきながら、楽しく過ごすことができました。
辻:すごく大きな変化ではないと思うのですが、現地の人々に触れ、明日香自身が持っていた価値観や考え方も変わっていくんですよね。そういう部分が、身体の表現一つや走り方とか、小さなところにも意識を巡らせたので、観ている方にも伝わればいいなという思いがあります。
辻:水道管を埋めるためにスコップで穴を掘るシーンは「本当にこういう作業を何キロにも渡ってやっていたんだ」という驚きがありました。炎天下で、果てしない距離をずっと続けていくのは衝撃的でした。
辻:行ったのは4月だったのですが、まだ本格的な暑さの前でした。でも正直日本の真夏と同じぐらいの気温で、かなり暑かった。この物語ではないですが、喉がカラカラになるので、本当に水の大切さを実感しました。命の危機に関わりますから。
辻:明日香が折り紙を持っていき、フィリピンの子どもたちとコミュニケーションをとるシーンですね。風船とか手裏剣、鶴を持っていくと、子どもたちがものすごく喜んでくれるんです。折り紙というコンテンツは万国共通なんだなと改めて思いました。
辻:天才です(笑)。フィリピンでは国民的な人気子役なんです。休憩時間でも膝にちょこんと乗ってきたりして、本当に可愛らしくて演技も素晴らしい。助けられることが多かったです。
辻:すごく優しい方でした。ご一緒することが多かったのですが、常にジョークをおっしゃっていて、現場が明るくなるし、お芝居でも「こうすると良くなるよ」というアドバイスをくださるんです。実際赤井さんのアドバイスを実践したシーンを観ると、本当に深みが出ていたので、感謝しかないです。
辻:存じ上げていました。すごく強い方なんだろうなというイメージはあったのですが、実際はとてもユニークで優しくて温かい方でした。
辻:オスカープロモーションと青二プロダクションが行った「全日本美声女コンテスト」ですね。それまでは女優さんとしてやっていこうと思っていたなか、アニメやゲームも好きだった私が、この募集を見てチャレンジしたいと思ったんです。そこで賞をいただいたことで、声のお仕事やelfin’での活動など、仕事の幅が広がっていったんです。あのときの一歩は自分のなかでは大きかったです。
辻:お芝居ってどこまでも深いんだな、と感じました。自分のなかで作り込んでいったつもりでも、まだまだ浅いなと感じることが多かったです。この仕事でずっと生きていけたら、どれだけ幸せなんだろうって、今回改めて感じました。
辻:当たり前のことですが、キャラクターを理解していなければスタートラインにも立てないということを強く感じました。そこがブレなければ、現場でどんな状況になろうとも、臨機応変に対応できるのかなと……。
辻:どちらにもプラスになっていると思います。実際、映画の撮影後、声優のお仕事をしたとき「表現力が豊かになったね」と声をかけていただいたんです。今後はどちらもプラスになれるように頑張っていきたいです。
(text&photo:磯部正和)
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