1997年2月28日、東京都生まれ。2013年、テレビドラマ『ラスト・シンデレラ』で女優デビュー。14年のNHK 連続テレビ小説『花子とアン』出演などを経て、16年には NHK 連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインの坂東すみれ役を務める。19年、『累ーかさねー』と『散り椿』での演技が認められ、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2019年12月公開の劇場版アニメ『ぼくらの7日間戦争』では、北村匠海とW主演で声優を務めている。
大学生の遼一は年上の杏子と幸せな関係を築いていたが、ある日、急に連絡がとれなくなってしまう。偶然に駅で杏子を見かけて声をかけるも、彼女は遼一のことを覚えていなかった。悲嘆に暮れた遼一は、人の記憶を消してしまう“記憶屋”という都市伝説にたどりつき、大学OBで弁護士の高原と幼なじみの真希と共に記憶屋を探し始めるが……。織守きょうやによる同名小説の実写化で、“記憶”をめぐって人々の心の傷や愛が浮き彫りになるヒューマンドラマ。
主人公の遼一役に山田涼介(Hey! Say! JUMP)を迎え、芳根京子、蓮佛美沙子、佐々木蔵之介らが共演。今回、遼一の幼なじみの真希を演じた若手実力派の芳根京子に、役作りや撮影中のエピソードを聞いた。
芳根:私が最初にイメージした真希は、仕上がった真希よりもテンションが低いというか、落ち着きのある女性でした。というのも、「大袈裟にみえないかな」とか「憎まれないといいな」とか、真希が観客にどう思われるかを気にしてしまったんです。でも、平川監督は、「もっと明るく、もっと楽しく、もっとテンション高く」って。私も「本当に? もっといっちゃうよ?」という感じで監督の様子をうかがいながら演じていたのですが、完成した作品を見たら、明るいからこその悲しみや切なさってあるんだな、と気付かされました。
芳根:私も多分、強いか弱いかといわれたら強い自信はありますが、真希のように優しくて強い女性になりたい、と思っています。共通点は難しいですね。好奇心が強いところは同じかもしれません。
芳根:年齢も経験も山田さんの方が上なのですが、本読みのときに山田さんの方から、「幼なじみの役だからタメ口でいいよ」と言ってくれたんです。優しいのはイメージ通りでしたが、思っていたよりフランクな方で、そこからは“遼ちゃんと真希”の関係になれました。
芳根:はい。本当に気兼ねのない関係性を築くことができました。ただ、それは遼ちゃんと真希というフィルターがかかっていたからできたんだろうな、と思うんです。今日これから完成披露試写会で半年ぶりくらいに山田さんにお会いするのですが、今、どういう距離感で接したらいいかわからないです(笑)。
芳根:違いましたね。この半年間、私はテレビで山田さんを拝見するだけでしたが、「あ、やっぱり別次元の方だったんだな」って思いました。だから、今日は緊張しますね。
芳根:「泣く!」と思って泣ける方もいると思いますが、私は器用ではないので泣けない時は本当に泣けないです。だけど、何回も同じところで泣く、というのは、同じところで心揺さぶられているから。だけどそれって、泣いた私がすごいのではなくて、心を揺さぶってくれる相手の方がすごいんですよね。妥協しないで何回もやらせてくれた監督にも感謝、それにつきあってくれた山田さんにも感謝です。演じるうえで自分の感情をそのまま出して良いときと悪いときがあるので、それをちゃんとコントロールしなきゃいけない、というのが今の自分の課題ですね。
芳根:杏子役が蓮佛さんと聞いて、「やったー!」って。嬉しかったです。『べっぴんさん』のときは姉妹役で高良健吾さんを取り合って私は敗北しましたが(笑)、今回は山田さんを挟んでどうなるのか(笑)。
芳根:嫌な記憶は誰にでもあると思いますし、消したい気持ちもわかりますが、私自身は良い記憶に塗り替えて、前向きになれたらいいな、と思います。
芳根:私は多分、すごく記憶力が悪くて、寝るとすぐ忘れちゃうんです(笑)。それに救われている部分がありますね。そういえば、今年(2019年)、舞台をやらせていただいたのですが、本番直前の稽古期間に、セリフが全部とんで本番を迎える、という怖ろしい夢を見たんです。夜中に飛び起きて眠れなくなったほどでした。でも、夢とはいえその怖い記憶があったからこそ、そういう失敗を防げたのかもしれません。心配性になって、台本を何回も読み返したり、台本を枕の下に入れて寝たりしましたが(笑)、それで安心できました。ですから、さきほどの記憶の話になりますが、記憶があるからこそ、避けたいことを防げたり、前に進めたりすることもあるんじゃないかな。私の場合は夢による記憶だからそう言えるのかもしれませんが。
芳根:はい。今のストレス解消法は、家族と出かけることです。暇な時間がたくさんあった学生の頃は友だちと遊ぶことが優先で家族は二の次でしたが、仕事を始めて自分の時間が少なくなった今は、家族との時間を大切にしたいな、って。この間、ひとつの作品が終わって休みができたので、父と母とディズニーシーに行きました(笑)。母とは2年くらい前にもディズニーランドに行きましたが、父と行ったのは小学生以来ですね。兄に、3人で遊んでいる写真を送ったら、「うわ、なにこれ。楽しそう」って返信が来ました。また、撮影でお弁当が続いたりすると、母の作るご飯を食べたくなりますね。
(text:中山恵子/photo:ナカムラヨシノーブ)
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