1975年8月7日、南アフリカ生まれ。15歳の時、アルコール依存症の父による家庭内暴力が原因で、母が父を射殺するという辛い体験をする。バレエ・ダンサーを目指して母と共にニューヨークに移住するが、膝の怪我で断念。その後、女優になるためロサンゼルスへ。1996年『2days トゥー・デイズ』で映画デビューし、『サイダーハイス・ルール』(99年)などに出演。2003年には実在の連続殺人犯を演じるために体重を大幅に増やして撮影に挑んだ『モンスター』にて、アカデミー賞主演女優賞に輝く。『スタンドアップ』(05年)でも同賞にノミネート。近年は、製作でも活躍。他の出演作に、『スノーホワイト』シリーズ(12年、16年)、『タリーと私の秘密の時間』(18年)など。
2016年、全米最大のニュース放送局FOXニュースに激震が走った。一方的にクビにされたベテランキャスターのグレッチェン・カールソンが、CEOのロジャー・エイルズをセクシャルハラスメントで告訴したのだ。この事件をもとに『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の脚本家チャールズ・ランドルフが書いたシナリオを、女優のシャーリーズ・セロンが読み、自らプロデュースを決意。友人でもある『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』のジェイ・ローチ監督がメガホンをとり、映画化が実現した。
セロンが演じるのは、人気キャスターのメーガン・ケリー。自身もエイルズに迫られた過去があり、カールソンの告訴に複雑な気持ちを抱えている役だ。カールソン役にはニコール・キッドマン、野心家の新人キャスター・ケイラ役にはマーゴット・ロビー。豪華な女優陣の競演も見どころで、第92回アカデミー賞主演女優賞にセロンが、助演女優賞にロビーがノミネートされた。また、セロンの特殊メイクを担当したカズ・ヒロ(辻一弘)がメイクアップ・ヘアスタイリング賞を受賞、2回目のオスカーに輝いた。セクハラやパワハラという社会問題の映画化を成し遂げただけでなく、実在の人物になりきったセロンに話を聞いた。
セロン:メーガン・ケリーとアイリーン・ウォーノスの状況は全く違うので比べることはできないけれど……、当時はアイリーンについて知らなかったので先入観がなくスポンジのように情報を吸収することができました。メーガンについては、TVや彼女の発言など多くのことを知っていたので、役をつかむのに時間がかかったわ。でも、彼女の本やインタビューを読んで複雑で傷つきやすい人だとわかり、少し彼女を近くに感じることができました。
セロン:かなり時間をかけたわ。他人の顔になるというのは、とても難しいことなの。(メイクアップ・アーティストの)カズ・ヒロがとても長い時間をかけてそれぞれのパーツのデザインをしてくれました。顔全面にマスクをつけていると思っている人がいるかもしれないけれど、実はとても小さなパーツでできているの。これこそ彼の才能のなせる技で、顔の細部を変えるだけで全体の印象を大きく変えてしまうのよ。そして、彼のメイクによって私の動作や話し方まで変わってくるの。特にダークなコンタクトレンズと両目の瞼から鼻先に延びるパーツはとても複雑だった。まばたきができるのは目尻にシワがあるからこそで、そこに糊をつけてしまうと目玉がガラス玉のように見えてしまう。でも、彼はあきらめなかった。彼は目の形を変えることがとても大事だと信じていたのよ、メーガンの目は特徴的だからね。そして、彼は見事にやってのけた。おまけに、可能な限り私に負担がないようにしてくれたわ。眼窩から眼球が落ちてしまうんじゃないかと思ったときもあったけれどね。でも、物語に入り込んでもらうためには、観客には一刻も早く私であることを忘れてもらう必要があったから、苦ではなかったわ。
セロン:1人の女性として、そういった話題には常につきまとわれてきました。生まれてからずっとと言っていいかもしれない(笑)。ただ、今と10年前とではその扱われ方が違ってきています。2005年公開の『スタンドアップ』は1988年に全米で初めて勝訴したセクハラ訴訟を扱った作品だったけれど、当時、多くの男性はあの映画を過去の出来事を題材とした一種の時代劇だと言ったわ。「今はずっと進歩して、状況が改善されている」とね。一方で女性たちは、本質は何も変わっていないと知っていた。でも、彼らの会話に加わらせてもらうことができなかったのよ。誰も私たちのことを信じてくれなかったから。あの頃と比べると、現在は多くの勇敢な女性たちが自らの経験を共有できるようになったと思います。「タイムズ・アップ」や「#MeToo」などのムーブメントのおかげで、セクハラはシステム全体の問題であり、きちんと向き合う必要があるとみんなが悟ったのよ。だからこそ、この映画をいま作ることはとても大事なことでした。タイミング的にもラッキーで、このプロジェクトを始めたときは、「タイムズ・アップ」や「#MeToo」、ハーヴェイ・ワインスタイン(ハリウッドのプロデューサー)、チャーリー・ローズ(キャスター)、マット・ラウアー(キャスター)などの一連の騒動(※3人ともセクハラ疑惑で解雇などされた)は起きていなかったのです。そんな時期にこの脚本に出会えたのは運命であり、実現のために動いてくれた人たちみんなに感謝しています。ただ本作は、勝訴した女性たちをヒーローに見せたり、私が演じるメーガン・ケリーを好きになってもらう映画ではありません。私たちはただ彼女たちの真実の物語を伝えたかった。それについて何を感じ、思うのかは、観客のあなた次第なのです。
セロン:ニコールは私にとって憧れの存在で、常に刺激を与えてくれています。彼女は女優の最高峰ですね。共演という夢がようやく叶いました。マーゴットは不屈の精神を備えていて、女優としてだけでなくプロデューサーとしてのこれまでのキャリアはとてつもないと思います。勇敢な人で、尊敬しています。
(photo:Eric Charbonneau / Courtesy of Lionsgate)
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