ジョシュ・ハートネット

木村拓哉、イ・ビョンホンとの共演作で、トラウマを抱える主人公を繊細に演じた

 

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』 ジョシュ・ハートネット インタビュー

映画『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』ジョシュ・ハートネット インタビュー

 

イ・ビョンホンの人気には圧倒されました

  • 『青いパパイヤの香り』のトラン・アン・ユン監督が監督した『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』。まるで一幅の絵のような美しい映像と共に、3人の美しき男たちの苦悩や葛藤、救済を描いた前衛的な作品だ。物語の始まりは、ある青年の失踪。人の痛みを癒す不思議な能力を持つこの青年の行方が明らかになると同時に、彼を追う私立探偵、1人の女性を深く愛する香港マフィアの姿が、壮大な映像詩の中に綴られていく。主人公の私立探偵を演じるのは、『パール・ハーバー』などで知られるジョシュ・ハートネット。猟奇殺人事件のトラウマを抱えた元刑事の私立探偵という役柄を繊細に演じ、見る者の心を揺り動かす。木村拓哉、イ・ビョンホンというアジアのトップスターと共演した彼に、映画について聞いた。
     
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  • ──本作はベトナム系フランス人の監督、日本人の木村拓哉、韓国人のイ・ビョンホンがメインキャストを務めていますが、国際色豊かな作品に出演した感想は?
  • ジョシュ・ハートネット(以下、JH):言葉の問題で、コミュニケーションをとるのに苦労しました(笑)。でも、映画作りはどこでも同じだと分かったことは収穫です。俳優もカメラマンも音響スタッフも、どの国でも同じ。そして、監督は神だということですね(笑)。
     
  • ──出演の決め手は何だったのでしょうか?
  • JH:トラン・アン・ユン監督の作品を全部見ていて、とにかく好きだったんです。彼と一緒に仕事をしたい、そう思ったのが一番の理由です。だから、どんな役かということはあまり考えませんでした。ただ、最初は僕の役は45歳という設定でしたが、当時僕は27歳。当然、出演は無理だと思っていました。おまけに、会う機会があったときは、例によって大幅に遅刻してしまったし(笑)。でも、脚本はどんどん現場で変わり、最初に読んだ脚本と最終的にできあがった映画は、全く違うものになっていましたね(笑)。
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  • ──役と共通する雰囲気を感じたからキャスティングしたと監督は仰っていましたが。
  • JH:監督は、僕の中に、喪失感や後悔を感じたんだと思います。僕はよく「繊細すぎる」と言われるのですが、人生のはかなさなどについて考えてしまいます。でも、年をとると共に、多少そういう部分が失われ、少しマイルドになりました。繊細であることはとてもエネルギーを必要とするので、昔よりも今のほうが人生を楽しめるようになりました。
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  • ──監督から、どんな演技指導がありましたか?
  • JH:まず、アイルランドの画家フランシス・ベーコンの画集を渡されました。映画の中で僕は、シャツを脱いだ上半身裸の姿が多いのですが、ベーコンの少しグロテスクな雰囲気を求めていましたね。
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  • ──木村拓哉さん、イ・ビョンホンさんと共演した感想は? 撮影中、一緒に食事に行ったりなどしたのでしょうか?
  • JH:実は、昨日もイ・ビョンホンと彼の従兄弟と食事に行き、一緒に飲んだりしたんですよ。それにしても昨夜の(3人が揃った)プレミアには圧倒されました。それに、あんなにイ・ビョンホンの裸の写真を持った女性が多く集まるとは……。初めての体験でした。こういう映画の撮影現場は、小さな町のようなものなんです。まず、先にスタッフが準備して町を作り、僕たちは後から入っていく。僕たちは、スタッフという名の“大人”たちが作った町に入って行くわけです。つまり僕たちは、その町に一番最近やってきた若いメンバー、“子ども”のような存在です。なので、俳優同士の連帯感は深まりますね。今回も、2人とはすごく仲良くなりました。また、撮影中は、僕たち子どもは、親(スタッフ)に見張られているような気分になり、うんざりしてくる。だから、「今夜はちょっと遊ぼうぜ!」という話になり、子ども同士で出かけていってクレイジーになる、というパターンです。
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  • ──撮影で一番苦労したのはどういったところですか? 中華料理で魚の浮き袋を無理して食べるシーンが印象的でしたが。
  • JH:実は、浮き袋はとても美味しかったのでたくさん食べました(笑)。難しかったのは、僕のトラウマの元でもある連続殺人鬼と一緒のシーン。いまだに完全に理解していないんです。
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  • ──映画についての感想は?
  • JH:最初に見たのは、ロンドンで舞台に出ている時でした。なぜかイ・ビョンホンもロンドンにいたので、監督と3人で見たのですが、映画が終わってから2分間、誰も何も言わず……。僕はトイレへ行き、イ・ビョンホンはタバコを吸いに行き、それぞれ考えをまとめていました。それから監督に、何を伝えたかったのかと聞いたら、「どう思う?」と逆に質問されてしまいました。僕が思うに、これは体感する映画。人々の想像力を喚起するために、意図的にあいまいにしているんだと思います。
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  • ──この映画のテーマのひとつに、救済や癒しがあると感じたのですが、あなたにとっての“癒し”とは何でしょうか。
  • JH:ニューヨークに住んでいるので、都会から離れて自然に帰った時に、とても癒されます。サーフィンすることもそうですし、森で小鳥のさえずりや小川のせせらぎ、木々のざわめきなどを聞き、新鮮な空気を吸うととても癒されますね。それから、友情にも癒されます。恋愛は……苦悩も伴うけれど、癒しになることもあるかな(笑)。
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(09/6/2)

映画『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』ジョシュ・ハートネット インタビュー

ジョシュ・ハートネット
1978年7月21日生まれ。アメリカのサンフランシスコ出身。『パラサイト』『ヴァージン・スーサイズ』(共に99)で注目を集め、『パール・ハーバー』『ブラックホーク・ダウン』(共に01)に主演し、ブレイクした。

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 映画『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』ジョシュ・ハートネット インタビュー

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』ジョシュ・ハートネット インタビュー

 

 

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』ジョシュ・ハートネット インタビュー

 『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』
2009年6月6日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国公開

(C) Lam Duc Hien, Photographer
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