カイル・リース役にプレッシャーを感じた
- 巨大軍事企業サイバーダイン社が開発したスーパーコンピューター“スカイネット”。次第に“自我”に目覚め、人間を敵視し始めたスカイネットは、人類滅亡のために動き始める──。人類と機械との壮絶な戦いを描いた『ターミネーター』シリーズの最新作となる『ターミネーター4』。この中で、シリーズのキーパーソンとなるカイル・リースの少年時代を演じているのが、若手演技派として名を馳せるアントン・イェルチン。今、ハリウッドが最も大きな期待を寄せる彼に、話を聞いた。
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- ──『ターミネーター』でマイケル・ビーンが演じたカイル・リース。主人公ジョン・コナーの“父親”でもあるカイルの若き日を演じることに、プレッシャーはあったのでしょうか?
- アントン・イェルチン(以下、AY):元々『ターミネーター』のファンだったので、とてもプレッシャーを感じていました。ちゃんとやらなきゃ、という気持ちでした。でも同時に、ファンだからこそ、カイル・リースの魅力もよく分かっていたので、どんなリサーチをすればいいかも分かっていたので、自分なりにいろいろと研究しました。そうやって十分、準備して、ある時点からは自分を信じて不安を脇に置くようにしました。カメラの前に立ったときに不安な気持ちを持っていてはいけないので。
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- ──『スター・トレック』『T4』と、大作に立て続けに大抜擢されましたね。それについての感想を教えてください。
- AY:とても良い気分です。良かったな、ラッキーだったな、とも。そして、特別なチャンスをもらい、とてもありがたく思っています。
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- ──2作とも、誰かが演じたことのある役を演じていますね。演じてみた感想は?
- AY:ゼロから作るキャラクター作りとは、また別の面白さを感じました。すでに素材が渡されていて、その素材を基に作ってくださいと言われるようなプロジェクトですよね。先に話がきたのは『スター・トレック』で、そこで作ったある種のテンプレートのようなものを使い、カイル・リースという役を作っていきました。2つのプロジェクトは立て続けにあり、『スター・トレック』で学んだプロセスを応用できるという意味では、とても良かったと思います。また、役を“作る”のではなくて“作り直す”ということは、俳優としてもとても面白い経験でした。
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- ──(インタビュー日の)前夜のジャパンプレミアで、ファンに丁寧にサインする姿が印象的でしたが、日本のファンと接してみていかがでしたか?
- AY:心がとても温かくなるような歓迎をしてもらい、素晴らしい時間を過ごしました。あんなに熱狂的なプレミアは、今まで体験したことがありません。皆さんは、心からこの映画を待っていてくれたんだな、と実感しました。俳優の仕事としては、役作りをして、その役になりきることが一番好きです。けれど、例えば昨日のようにみんなの反応がものすごく良くて、敬意を示してもらえると、完成した映画をみんなにお披露目することも素晴らしいことなんだと思えてきますね。日本にこういう形で映画を持ってくることができて、本当に良かったと思っています。
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- ──マックG監督、主演のクリスチャン・ベイルと一緒に仕事をして、どんなことを学びましたか?
- AY:マックGはとても寛容な人なので、役者に自由を与えてくれます。だから、自分なりの選択ができる。そしてそれにより、演技の幅も広がってくるのだと思います。クリスチャン・ベイルからは、仕事にかける意気込みを学びました。彼がセットに現れると、この仕事への意気込み、完璧を目指す姿勢をひしひしと感じます。そんな彼を見て僕は、あぁ、なんていいプロジェクトに参加しているんだろうと実感していました。
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- ──『T4』の見どころを教えてください。
- AY:まず見どころは、今までファンの方が待ち望んでいた“未来”を、やっと見ることができます!『T4』は、新たな3部作の始まりとなっていて、今まではちょっとしか見られなかった未来がしっかりと描かれている。やっとご馳走がもらえる、というような感じかな。人間とテクノロジーの戦いや、人間の本質とは何かが描かれたSFの戦争映画として、初めて見る人たちにも楽しんでもらえるはずです。それから、クリスチャン・ベイルとサム・ワーシントンの演技の応酬も素晴らしいので、それも楽しんでほしいです。
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(09/6/9)
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Anton Yelchin
1989年3月11日生まれ。ロシア出身。『アトランティスのこころ』(01)で注目を浴び、『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』(08)などでの演技が高い評価を得る。09年の話題作『スター・トレック』『ターミネーター4』に立て続けに出演するハリウッドの期待の若手。
アントン・イェルチン インタビュー動画を見る
『ターミネーター4』
6月13日より丸の内ピカデリー1ほかにて全国公開
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