妻夫木聡×ハ・ジョンウ

日韓の若手トップが、人間ドラマで競演!

 

『ノーボーイズ,ノークライ』 妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー

映画『ノーボーイズ,ノークライ』妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー

 

生きているだけで幸せなんじゃないかと思えるはず

  • NHK大河ドラマ『天地人』での主演をはじめ、様々な話題作に出演し、国民的人気を誇る妻夫木聡。韓国を震撼させたクライム・サスペンス秀作『チェイサー』で鬼気迫る演技を披露し、高い評価を得たハ・ジョンウ。日韓の若手トップ俳優が共演したのが、『ノーボーイズ,ノークライ』。繊細な人物描写で定評のある人気脚本家・渡辺あやと韓国の俊英キム・ヨンナム監督による日韓合作映画で、人生の困難と希望が描かれていく。

    幼い頃に母親に捨てられた孤独な青年ヒョング(ハ・ジョンウ)と、家族を守るために必死で生きる亨(妻夫木聡)。ある事件に巻き込まれたことから運命共同体となり、絆を深めていく青年同士を演じた妻夫木とハに、映画について、そしてテーマである友情について話を聞いた。 
     

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  • ──今回、日韓合作映画に出演して、どんなことを感じましたか?
  • 妻夫木聡(以下、妻夫木):芝居でも人生でもそうですが、正解というものはないと思うんです。何が起きるか分からない世の中で何を楽しむか、どう生きるかはそれぞれの価値観による。だからこそ人生は楽しくなると思うのですが、今回、ハ・ジョンウさんと出会えたことは僕にとっては大きな財産となりました。言葉の壁を乗り越えて、互いに影響を与え合うことで、(映画も)面白くなったんじゃないかと思います。それから今回の出会いを通じて、アジアはもっともっと面白くなるという可能性を感じました。

    ハ・ジョンウ(以下、):今回、初めて日本の方々と近しく仕事をしました。その中で感じたのは、日本人の温かさでした。
    撮影中は、通訳の方に一言一言、息づかいまで含めて逃さず訳していただきました。そうしているうちに、妻夫木さんのニュアンスや感じていることを、僕も感じるようになったんです。そこで実感したのは、人間というのは、情を持って親密に接していたら、言葉なんか関係ないということ。人間にはテレパシーのようなものがあり、それが化学作用を及ぼし、作品的にも良くなったのだと思います。

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  • ──共演してみて、お互いをどう感じましたか?
  • 妻夫木:最初に感じたのは、お芝居に対して本当にストイックな方というイメージでした。役に自分を入り込ませる人で、僕のことをいろいろと知ろうとしてくれて、自分のことも知ってほしいとオープンになってくれる。それが、(俳優としてだけではなく)人間的な魅力にもつながっていると思います。

    :撮影の1カ月くらい前に衣装合わせで会ったのですが、健康的な明るい青年という印象を持ちました。一緒にいるだけで気分が良くなる人っているじゃないですか。そういう人です。
    撮影中は、(ロケ地となった)新潟のあちこちを案内してもらい、夏だったので一緒に海水浴もしました。新潟はお酒が美味しいのでしょっちゅう出歩いて、休みの時間はほとんど一緒。運動も一緒で、自然に親友になるようなシチュエーションが揃っていました。だから、親友同士で一緒に合宿しているような感じでしたね。

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  • ──今回の役を演じる上で、どんなことに挑戦しましたか?
  • 妻夫木:韓国語を話すことです。理解した上で話すということは、新しい試みでした。日本語以外のセリフで、自分の中に何かしらの感情がわいてくるかどうか、それを演技として表現できるかという不安が最初にありました。でも、現場でハさんと一緒に芝居をしたとき、まったく違う感情がわいてきたんです。言葉では表現しにくいのですが、それが気持ち良かったですね。刺激的な現場でした。

    :以前、米韓合作映画に出演してアメリカ人俳優と共演した時、外国人俳優との共演はリアクションが大切だと感じました。今回も、妻夫木さんと共演する上で何が必要かと考えた時、妻夫木さんのことをいかにうまく受け止めるかが大事だと思いました。なので、五感を全て開き、演技に集中しました。

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  • ──この映画は、男同士の友情を描いていますが、2人にとって友情はどれくらい重要なものなのでしょうか。
  • 妻夫木:順位やパーセンテージで計ったことがないので分からないのですが、とても大きな位置を占めていると思います。

    :妻や恋人などには言えないようなこと、男同士でしか分かり合えないような世界を共有し、互いにねぎらい合える関係は素晴らしいと思います。今回の作品でも、こんなにラクに楽しく撮影できたのは、妻夫木さんという親友ができたから。彼が、僕を元気づける要素となってくれた。これは男同士の素晴らしい関係だと思います。

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  • ──「泣かない少年はいない」というのがタイトルの意味ですが、男泣きの経験は?
  • 妻夫木:基本は泣かない方なのですが、ラストシーンが撮影の最後のカットだったんです。だからその気分のまま「お疲れさま!」となり、泣きっぱなしになってしまって(笑)。女の子みたいに泣きじゃくっていました。

    :僕もあまり泣いた記憶はありませんが、ラストシーンの後に妻夫木さんが泣いているのを見て、泣きたかった。でも実は、あと1シーンだけ撮影が残っていたので、グッとこらえました(笑)。

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  • ──この映画の見どころを教えてください。
  • 妻夫木:自分には何もないと思っていたけれど、生きているだけで幸せなんじゃないかと思えるはずです。先入観を持たず、年齢も問わず、多くの人に見てもらいたいですね。

    :この映画は、大人のための童話だと思います。亨とヒョングの物語を通じ、忘れかけていた純粋な気持ちを思い出してもらえれば嬉しいです。

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(09/8/20)

映画『ノーボーイズ,ノークライ』妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー

つまぶき・さとし/右
1980年12月13日生まれ、福岡県出身。テレビドラマ『すばらしい日々』(98)でデビュー。初主演映画『ウォーターボーイズ』(01)でブレイク。『どろろ』(07)『感染列島』(09)など数多くの映画に出演し、09年のNHK大河ドラマ『天地人』で主人公・直江兼続を演じ、国民的俳優に。

 

は・じょんう/左
1978年3月11日生まれ。主演作『許されざるもの』(05)がカンヌ国際映画祭で絶賛され、世界の注目を浴びる。韓国の鬼才キム・ギドク監督の『絶対の愛』(06)『ブレス』(07)に立て続けに出演。連続殺人鬼を演じた『チェイサー』(08)の鬼気迫る名演で、韓国の映画賞を総なめ。

 

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撮影中の様子。中央のピンクの服がハ・ジョンウ、右端が妻夫木聡。ハ・ジョンウの左はキム・ヨンナム監督

 

 映画『ノーボーイズ,ノークライ』妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー 

 『ノーボーイズ,ノークライ』
2009年8月22日よりシネマライズほかにて全国公開

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