中山美穂

12年ぶりの映画主演を果たした元祖・月9の女王

 

『サヨナライツカ』中山美穂インタビュー

映画『サヨナライツカ』中山美穂インタビュー

 

この作品に運命的なものを感じていた

  • タイ、バンコクで1人の男性と出会い、激しい恋に落ちた主人公。愛されることだけを求めてきた彼女が「愛すること」の素晴らしさを知り、一生、彼を愛し続けることを決意する姿を描いた、美しく切ないラブストーリー『サヨナライツカ』。

    主人公・沓子(とうこ)を演じたのは中山美穂。電撃的な結婚、そして出産を経た彼女が、12年ぶりに映画出演を果たした作品としても話題となっている。

    本作で、奔放に生きてきた魅惑的な女性を、時に華やかに、時に可憐に演じた中山。濃厚なラブシーンにも果敢に挑戦し、25年に渡るドラマティックな愛の物語を見事に紡いだ彼女に話を聞いた。

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  • ──夫である辻仁成さんの同名小説を映画化した作品ですが、撮影前に辻さんからアドバイスなどはありましたか?
  • 中山:以前にも一度、沓子を演じるという話があったのですが、それがなくなり、今回、また改めてお話をいただきました。辻は、私が話を受けるとは思わなかったみたいですね(笑)。でも出演を決めたときには、「やるなら思い切ってやってください」と言ってくれました。
    完成した作品を見た感想ですか? すごく完成度の高い素敵な作品で良かったね、と。
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  • ──12年ぶりの映画出演ですが、この作品を選んだ理由は?
  • 中山:まずは、直感(笑)。この作品に運命的なものを感じていたことと、こういう女性を演じてみたかったから。自由奔放でいながらも、1人の人をずっと愛し続ける女性の孤独感、強さを、映画のなかで表現してみたかったんです。
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  • ──官能的なシーンも多いのですが、12年ぶりの作品ということも含めて、躊躇はありませんでしたか?
  • 中山:こうやって取材を受けていて、改めて12年と考えると「スゴイな」って思うのですが(笑)、私のなかではそれほど月日の経った感覚がないんです。12年前に映画(『東京日和』)を撮ったときの感覚が残っていたので、前の現場から次の現場へ移っただけ、という印象でした。
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  • ──監督は、『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハンです。彼は、中山さんの内面的な強さに魅力を感じると言っていましたが、中山さんは監督にどんな印象を抱いていましたか?
  • 中山:『私の頭の中の消しゴム』を見て、繊細な演出をされる方だな、と。細部でいろいろと微妙な感情を表現して見せてくれて、上手いなと思いました。
    実際お会いした監督は、シャイで子どものように無邪気な方。だから、「監督が撮りたいと思うものを撮らせてあげたい」と、誰もが思ってしまうんだと思います。
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  • ──そんな監督について、「また一緒に仕事をしてみたい、でも、もう二度と仕事をしたくない」という発言をされていましたが。
  • 中山:暑いタイで撮影していたのですが、24時間撮影はしょっちゅうで、本当に過酷な現場でした(笑)。
    それから、撮影前に役に入り込み、頭のてっぺんまで感情が高まったまま何時間も待ち続けたのに、最終的に撮影がなくなったりしたことが何回もありましたね。最後には慣れましたけど、またあれがはじまるのかと思うと……切ないですね(笑)。
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  • ──中山さん演じる沓子と石田ゆり子さん演じる光子が対面するシーンが印象的でした。
  • 中山:私も気に入っているシーンです。監督は「決闘」という言葉を使っていましたが……(笑)。石田さんとは今回初めてお会いしたのですが、気が合うなと感じました。
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  • ──12年という月日のなかで得たものは何ですか? また、結婚後にパリに移住されましたが、何か変化はありましたか?
  • 中山:いろんなものを求めなくなりました。結果を期待したり、「ああなりたい、こうなりたい」と思わなくなって、それがすごくラク。
    パリに生活の場所を移すときに、自分がゼロに戻ったんじゃないかな。パリに行ったことで、生まれ変わったような気もします。
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  • ──中山さんはこの映画に出演され、辻さんも映画『ACACIA』を監督されたりと、最近は2人ともお忙しいと思いますが、お子さんの反応は?
  • 中山:最近は私も仕事が多いので、「あ、ママもお仕事してるんだ」と言われます(笑)。どんなお仕事をしているのかは、まだよく理解していないと思うんですけど。
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  • ──息子さんとはどのように過ごされているのですか?
  • 中山:最近、息子にはまだ少し難しいんですけど「星の王子様」を読み聞かせました。かなり長かったので、私のほうが疲れてしまって(笑)。でも、息子なりに感じることがあったようで、楽しかったですね。私自身も、改めて感じるところがありましたし。
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  • ──ファンとしては次作を期待してしまうのですが、これを機に本格的に復帰と考えていいのでしょうか?
  • 中山:本格的に……(笑)。実は、ストップしたつもりも再開したつもりもないので、どうなんでしょうね。作品って、運やタイミングが一番大きいと思うので、また直感が働けば(笑)。今のところは具体的な話はありませんが、次に何に出会えるか、すごく楽しみです。
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  • ──今年の目標は?
  • 中山:刺繍学校に通っていたのですが、今は中断しているので、再開したいですね。
    目が疲れて肩も凝るので、仕事があるときに刺繍をするのは難しいんです(笑)。
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  • ──『サヨナライツカ』のなかで演じた沓子の魅力、そして映画の見どころについて教えてください。
  • 中山:沓子の魅力は、見た目や行動とは裏腹に、芯の部分は誰よりもピュアなところだと思います。沓子が好きな人、嫌いな人、いろいろな意見があると思うので、みんなで意見を言い合い、思い切りバトルしてもらえれば(笑)。
    見どころは映像の美しさ……と言いたいところですが、先入観を持たずに見てもらいたいですね。

    スタイリスト=十川ヒロコ/ヘアメイク=小松和子

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(10/01/20)

映画『サヨナライツカ』中山美穂インタビュー

なかやま・みほ
1970年3月1日生まれ。85年に歌手デビュー。以後、歌手、女優として活躍。『Love Letter』(95)でブルーリボン賞主演女優賞など多数の女優賞を受賞。『東京日和』(97)でも、演技力が高く評価される。02年に小説家の辻仁成と結婚し、パリに移住。09年にフォトエッセー『なぜなら やさしいまちが あったから』を出版。

『サヨナライツカ』 ジャパンプレミア動画

『サヨナライツカ』 記者会見 動画

 映画『サヨナライツカ』中山美穂インタビュー

映画『サヨナライツカ』中山美穂インタビュー

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映画『サヨナライツカ』中山美穂インタビュー 

 『サヨナライツカ』
2010年1月23日より新宿バルト9ほかにて全国公開

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