池松壮亮

『ラストサムライ』から7年、若手演技派が語る映画への思い

 

『半分の月がのぼる空』池松壮亮インタビュー

『半分の月がのぼる空』池松壮亮インタビュー

 

監督は一番にこの映画のことを考えてくれる人
その姿を見て、こちらも心を動かされた

  • シリーズ累計140万部を超える人気恋愛小説「半分の月がのぼる空」。この作品を映画化したのが本作だ。

    物語は、高校2年生の夏に、肝炎を患い入院中の裕一が、看護師から「9歳の頃から入院生活を送っている女の子の話し相手になってくれ」と言われ、会うところから幕を開ける。彼女の名前は里香。だが、病弱どころか里香は、裕一に対して、とても高飛車な態度で次々と用事を頼むのだ。その態度に腹を立てるものの、いつしか裕一も里香も、互いに惹かれ合っていく。

    この映画で、主人公の裕一を演じているのが池松壮亮だ。2001年にミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ役で俳優デビューし、03年にはトム・クルーズ主演の『ラストサムライ』で映画初出演。以降、『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(05)、『ダイブ!!』(08)など、大作から話題作まで数多くの映画に出演してきた池松に、『半分の月がのぼる空』について語ってもらった。

    [動画]『半分の月がのぼる空』インタビュー

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  • ──まずは、初めて本作の台本を読んだときの印象を聞かせてください。
  • 池松:最初にお話をいただいたときは、まだ台本が上がっていなくて、原作を読ませていただきました。その後、台本を読んだときは、すでに原作を読んでいた分、映画ならではの描き方に戸惑いもありましたし、あれだけ人気の原作なので、絶対に読者の期待を裏切れないという思いもありました。でも、期待を裏切るどころか、それ以上の作品を目指す深川栄洋監督とお会いしたら不安はすぐになくなりました!
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  • ──では、完成した映画を初めて見たときの感想は?
  • 池松:最初はどの作品でもそうなんですけど、いろいろな思いが交錯し、客観的に見れない部分があって、見終わった後もボーとしていたんです。だけど、まわりの反応も知りたくて、2回目に1人でこっそりと試写会に行ったんです。そしたら、自分が号泣しちゃって。まわりにも、鼻をすすったり、涙をこらえている人が大勢いて、それですごく嬉しくなっちゃって、また、泣けてきた感じでした。
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  • ──この映画では、どんな風に役にアプローチを?
  • 池松:ピュアでドジで、普段はどうしようもないけど……という役に最初はすごく悩みました。実は原作よりも映画の方が何倍もピュアなんです。それは監督と話し合った結果なんですけど、自分で、大体こういう感じという役作りができあがった後で、監督から「今、考えている年令よりも3歳下げてくれ」と言われたときは戸惑いました。「普段は頼りない裕一が、初めて好きになった人を命がけで守ろうとする姿を、この作品で見てみたい」という監督の言葉にすごく共感し、監督と一緒に映画版の裕一をつくっていったんです。
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  • ──映画のデビュー作となった『ラストサムライ』の頃と比べ、今の自分が成長したなと思う点があれば教えてください。
  • 池松:あんまり成長してないと思います(笑)。なんだろう? 難しいですね。でも基本的にあまり変わってないと思います。
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  • ──同世代の俳優との共演も多いと思いますが、影響を受けたり、ライバル心を燃やしたりすることはあります?
  • 池松:影響を受けるのは毎回あります。ライバル意識というよりは、みんなでこの先の日本映画を盛り上げていきたいという気持ちが強いです。
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  • ──忽那汐里さんとの共演は、いかがでしたか?
  • 池松:面白かったですね。本当にたくさんの魅力を持った人だなと思います。ピュアで、真っ直ぐで、それがお芝居にも生きている。それに、普段から、ものすごいナチュラルで、天然なエピソードもあって(笑)。
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  • ──ぜひ、聞きたいですね。
  • 池松:これは聞いた話なんですけど、汐里ちゃんが電車に乗っていたら、隣の人が雑誌を読んでいて、それを覗いて読んでいたら、すごく入り込んじゃって、いつの間にか汐里ちゃんがページをめくっていたそうで、話を聞いたときは本当に爆笑しましたが、でも、彼女ならやりそうだなっていう風にも思いました。
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  • ──深川監督は今、映画界から注目を集めている監督ですが、一緒にお仕事をしてみてどうでしたか?
  • 池松:最高でした。一番感じたのは「ザ・映画作り」をするところですね。それは何かというと、まずは、1シーン、1カットを非常に大事にする点です。最近、映画がテレビ化してきていると言われますが、どこかそういうものを自分でも感じていました。ですが今回の現場では、監督が納得しないとOKを出さないし、本当に、向き合ってくれる。当たり前のことかもしれませんが、一番にこの映画のことを考えてくれていたので、そういう姿を見て、こちらも心を動かされたし、やっぱり映画作りはこうだ!っていうのを、すごく感じました。
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  • ──オンとオフの切り替え方があったら、教えてください。
  • 池松:あまり切り替えられないんですよね。長くこのお仕事をさせて頂いているので、普段の自分ってどうだったんだろうって感じることがあって。例えば『ダイブ!!』なら、常に何かを考えているようなエリートのカッコイイ役なので、撮影が終わって学校に戻ったとき、「お前、そんなに喋んなかったっけ?」と言われたり。そもそも自分って、どんなだったかなと思うし、結構、引きずるタイプなんだと思います。
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  • ──役になりきったら、その役が私生活に残っちゃう?
  • 池松:自分ではそんな意識は全然ないんです。ただ、この映画の後、次の現場に入っても、「アレ、これは裕一じゃない?」と思うことがあります。でも、どこかで切り替えをうまくコントロールしていると思うんです。楽しい音楽を聴いたり、ちょっと暗めの音楽を聴いたり、明るく振る舞ったり、ちょっとクールになったりして。
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  • ──最後に今後の抱負を聞かせてください。
  • 池松:出会いを大事にしてこれからも全力で向かっていきたい。そう思っています。

(2010/4/1)

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池松壮亮

いけまつ・そうすけ
1990年生まれ。01年にミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ役で俳優デビュー。03年、映画初出演となった『ラストサムライ』で注目を集める。05年には『鉄人28号』で映画初主演。以降、『男たちの大和/YAMATO』(05)『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(07)『砂時計』『ダイブ!!』(共に08)『いけちゃんとぼく』(09)など話題作に続々出演中。

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池松壮亮

池松壮亮

池松壮亮

 

『半分の月がのぼる空』場面
 『半分の月がのぼる空』
2010年4月3日よりシネセゾン渋谷ほかにて全国公開
(C) 2010 映画「半分の月がのぼる空」製作委員会

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