阿部サダヲ

水田伸生監督と脚本の宮藤官九郎、2人とのコラボについて語る

 

『なくもんか』阿部サダヲ インタビュー

『なくもんか』阿部サダヲ インタビュー

 

毎日、お店でやっている感じを出したかったので
ハムカツ作りは練習を重ねました

  • 人気劇団「大人計画」の看板役者で、数々のテレビドラマや映画で活躍する阿部サダヲ。彼の長編映画初主演作が『舞妓Haaaan!!!』(07年)だ。熱狂的な舞妓ファンで「夢は舞妓との野球拳」という男が、夢のために猪突猛進する姿をコミカルに描いたこの映画は、主演・阿部の魅力を浮き彫りにした。

    そんな阿部の主演第2作目が『なくもんか』。『舞妓Haaaan!!!』同様、宮藤官九郎が脚本を手がけ、メガホンを取ったのは水田伸生監督。阿部のすべてを知り尽くしたかのような2人が、阿部ならではの魅力を再び引き出した。

    同作は幼い頃に生き別れた兄弟が、大人になって再会するというもの。人気ハムカツ店店主となった兄。人気漫才コンビを組む弟。この2人を中心に、笑って泣けるドラマが繰り広げられていく。この映画で、主人公の人気ハムカツ店店主を楽しそうに演じた阿部に、水田、宮藤とのコラボの秘密からアドリブ、さらに本作の演技でもっとも大事にしたことなどについて語ってもらった。

    [動画]『なくもんか』阿部サダヲ インタビュー

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  • ──『なくもんか』は『舞妓Haaaan!!!』に続いての水田伸生監督×宮藤官九郎脚本×阿部サダヲ主演作です。端から見ていると、この3人がコラボすることによって生まれる化学反応はとても魅力的ですが、阿部さんから見て、3人が一緒に組むことの魅力とは何でしょうか?
  • 阿部:宮藤さんと僕は同世代なんですが、水田監督はちょっと上の世代なんです。その分、笑いや流行にちょうど良いズレがあって。僕らが知ってて、監督が知らないこととか、逆に監督だけが知ってて、僕らは知らないみたいな。そのズレが、ギャグや笑いにうまくはまっているんじゃないかと思います。
    宮藤さんは脚本を書いて、水田さんが監督して、僕は真ん中くらいにいる感覚なんですけど、そこに何かある気がするんですよね。宮藤さんでは思いつかない笑いや、水田監督が思いつかないギャグ。それが、すごくうまくかみ合っているんじゃないかって気がするんです。もっとも、僕はただ、そこに乗っているだけなんですけど。
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  • ──「乗っているだけ」と聞くと、意外な気がします。アドリブなど、阿部さんならではの魅力も多そうに見えますが。
  • 阿部:アドリブだって思われる事が多いのですが、そんなに自分でアドリブを出しているつもりはないんです。
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  • ──そんなにってことは、そこそこある?
  • 阿部:いえいえ、ないですよ(笑)。基本、自分のなかでは脚本通りにやっているつもりです。
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  • ──『なくもんか』『舞妓Haaaan!!!』は、阿部さんの魅力を知り尽くした宮藤さんが、阿部さんのために当て書きした脚本だからこそ、こんなに面白いのかなと思うのですが、阿部さんから見て、「宮藤さんは自分をこう見ているようだけど、本当は違う」と思っていることがあったら教えてください。
  • 阿部:ないです、ないです(笑)。
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  • ──でも、少しはあるのでは?
  • 阿部:そういえば、この映画が出来上がってから宮藤さんが僕の演じた役について「いい人そうに見えるけど、本当はそうじゃないのにね」と言ってたんです。でも、僕は「そんなことない、結構いい人だ」と思っています(笑)。
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  • ──この映画で、監督からは今回、どんな風に演じてくれと?
  • 阿部:兄弟とか家族とか夫婦とか、あまりそういうのを意識しないようにしましょうという話を、撮影に入る前に役者を集めてしていただきました。夫婦であるというような説明は、すでに台本上のセリフに書かれているので、芝居では「夫婦です」という会話じゃなくて、自然に話せばいいと。
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  • ──自分で一番こだわったシーンは何でしょう?
  • 阿部:ハムカツを作るシーンです。毎日、お店でやっていることだという感じを出したかったので、ハムカツ作りは練習を重ねました。
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  • ──練習は撮影現場で?
  • 阿部:現場でも家でもやりました。業務用のラードこそ買いませんでしたが、チューブで売っているラードを3本くらい使って溶かして。すごく大変でしたが、ハムカツはラードで揚げて作ると本当においしいんです!ぜひ、試していただきたいですね。
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  • ──劇中で、瑛太さんと一緒に漫才にも挑戦しています。大笑いして見ていたのですが、お笑いの人ではない瑛太さんと一緒に人を笑わせるとなると、かなり重圧があったのでは?
  • 阿部:重圧というのはなかったです。逆に瑛太くんが隣にいることで、すごくやりやすくなった面があります。ネタも「股開いて手を振って♪」と下ネタなので、逆に思いっきりやらないと、みなさんに失礼になると思って取り組みました。
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  • ──そういうネタを舞台でやるのと、映画の撮影でやるのとでは違う?
  • 阿部:あの撮影のときは特にですけど、瑛太くんが撮影初日だったんです。それなのに、瑛太くんはネタを披露して盛り下げるような芝居をしなくちゃいけないので、すごく助けてあげなきゃという気持ちが湧いてきました。あのシーンが初日で、頑張っている瑛太くんを見ていたら、スタッフさん達も自然と盛り上がっていました。
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  • ──この映画のDVD&Blu-rayが5月21日にリリースされます。DVD&Blu-rayだと何度でも見返せますが、2度3度と見ることによって、こんな細かいネタを発見できるといったようなことがあれば教えてください。
  • 阿部:結構あると思うんです。例えば沖縄に行ってから、方言で「なんとかさ〜」と何度も言っているなかに、卓球の福原愛ちゃんの「サー!(愛ちゃんお決まりのガッツポーズ)」が入っていたり(笑)。
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  • ──それは気づきませんでした(笑)。
  • 阿部:それと、DVD(&Blu-ray)のコメンタリーでも触れたかも知れませんが、(蒸発中の父親役)伊原剛志さんが小道具で使っている小説が「父帰る」だったり。細かいことはすごくしていると思います。
    あと、沖縄に行く前は小手でパーマをかけていたんですけど、ロケ場所となった沖縄の読谷村が、ものすごく風が強いということで、いちいち直すのが大変だからとパーマをかけることにしたんです。見てわかるかわからないかくらいですので、それもチェックしてみてください(笑)。

(2010/5/17)

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阿部サダヲ

あべ・さだを
1970年生まれ、千葉県出身。92年より「大人計画」に参加。07年『舞妓Haaaan!!!』で映画初主演、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。主な出演作は『木更津キャッツアイ』シリーズ、『パコと魔法の絵本』(08)『ぼくとママの黄色い自転車』(09)など。

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阿部サダヲ

阿部サダヲ

『なくもんか』場面
 DVD『なくもんか』
2010年5月21日発売、DVD同時レンタル開始
【豪華版】5040円(税込) 2枚組
【通常版】3675円(税込)
【ブルーレイ】6090円(税込) 2枚組
セル発売元・販売元:バップ/レンタル発売元・販売元:東宝
http://nakumonka.jp/index.html
発売記念キャンペーン実施中!阿部サダヲさんコメント動画も配信中!
キャンペーンサイト:http://www.c-player.com/ad68853/
(C) 2009「なくもんか」製作委員会

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