劇中のケンカはガチです(笑)
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- ・[動画]『婚前特急』完成報告舞台挨拶
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- ──最初に脚本を読んだときの感想は?
- 吉高:素直に「忙しい脚本だな〜」と(笑)。あと「この役、好きになれない」ってことでした。脚本は面白かったんです。いいペースで進んでいくし。でも、役について好きか嫌いかと言われたら、嫌いで……(笑)。
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- ──どういうところが嫌いでしたか?
- 吉高:人を雑に扱っているように見えたんです。でもそれは、相手にちょっかいを出しているんだと後で気づいたんですけど。面白い子だし、世の中にこういう子がいてもいいと思うんですけど、自分とは関わってほしくないな、と(笑)。
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- ──じゃあ、演じるのは大変だったのでは?
- 吉高:大変でした。自分のテンションに合うキャラクターでもないし、(テンションが高い役なので)「朝から上げていくのか〜」と思うと、「うわぁ〜!」って(笑)。撮影中は「もう嫌だ!」「もう寝る!」って感じでした。逃避したくなると、眠くなるんですよ。
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- ──朝からテンションを上げるのが大変ということは、低血圧?
- 吉高:(笑)低血圧って言いたい! メッチャかわいいじゃないですか、そんな女の人。でも、私は違って、朝からステーキとか食べてますから(笑)。ただ、早起きが苦手なんです。
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- ──本作は主人公のチエが「たった1人の本当の相手」を見つけていく物語ですが、吉高さん自身の恋愛観は?
- 吉高:お互い平等な立ち位置でいたいですね。年上でも年下でも尊敬する気持ちは必要だと思うし、対等な目線で話ができないと一緒にいられないと思います。
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- ──チエは「必要な時にそばに居てくれない彼氏はいらない」というタイプですが、共感しますか?
- 吉高:私は、自分のやりたいことを優先しちゃいますね。友だちと遊んでいて楽しくなったら(彼との)約束を断っちゃうとか。あとは、とりあえず1人で遊ぶ時間が欲しいので、1人でゲーセンに行ったり漫喫に行ったり。そんなときに電話がかかってくるとすごく面倒くさく感じてしまいますね(笑)。
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- ──1人になる時間がないとダメ?
- 吉高:そうですね。お互い、1人の時間は必要だと思います。絶対とは言いませんけど、あった方がいいんじゃないかな。
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- ──SKEROCKの浜野謙太さんが演じたダメ男・田無タクミとチエのやりとりが楽しかったのですが、浜野さんと共演した印象は?
- 吉高:ハマケンさんはすごく緊張するタイプで、初めて会ったときは新調したシャツの脇が汗びっしょりで(笑)。そんなに緊張してくれたんだということに喜びを覚えました。でも、リハーサルをしているうちに、みるみる上達していっちゃって危機感を覚えたこともあります。
彼は“加減”が利かない人なんです。だから(演技中は)本当にイライラできました。カットがかかると(素に戻って)憎めない人になるんですけど(笑)。タクミ役がハマケンさんで良かったと思います。他の方だったら、もっと遠慮しちゃってたかも。ハマケンさんが加減の利かない人だったから私も遠慮しないでできたし、お互いがいい勢いでぶつかり合えて良かったな、と。
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- ──じゃあ、殴り合うシーンはガチだったんですか?
- 吉高:ガチです(笑)。翌日も指の跡とかが付いてましたから。「ちくしょう! やりやがったな!!」って。でも、まぁ許しましょう(笑)。
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- ──監督はいかがでしたか? 演出が細かかったりしたのでしょうか?
- 吉高:細かくて、ケンカしまくりました(笑)。でも、ナマイキなことが言えたのは、向こうがちゃんと受け止めてくれたからだと思います。受け流す監督も増えてきたなかで、嬉しかったですね。こんなにイライラしてぶつかっていけた監督って、(『紀子の食卓』の)園さん以外いなかったから。園さんとは叩き合いのケンカでしたからね(笑)。「死ね!」とか「下手くそ!」とか「やめろ!」って言われてベソかいたりするのも日常茶飯事だったし。だから、久々にイラっとした感じでぶつかれて良かったな、と。
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- ──『蛇にピアス』以来、3年ぶりの主演映画ですが、女優という仕事に慣れましたか?
- 吉高:もう何年も経つのに、いまだに“女優”という職業に慣れなくて。今も、職業欄には「自由業」とか「会社員」とかって書いたりしています。昔は「専門学校生」って書いていたけど、そういう歳でもなくなっちゃったので(笑)。
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- ──(撮影前の)読み合わせに行くのがすごく嫌なときがあるということですが、なぜですか?
- 吉高:本読みのときって、すっごく沢山の人がいるんです。なので行きたくないんですけど、行かないのも恐くて。で、行って、手汗の付いたティッシュを握りしめてます(笑)。
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- ──マイペースに見えますが、実は緊張するタイプ?
- 吉高:(うなずく)。なので、ちょっとビッグマウスなことを言うのは自重しようと思ってます……。
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- ──コメディ初挑戦ということですが、手応えは?
- 吉高:もともとコメディを見るのは好きだったんですけど、自分が演じているのが想像できなくて。でも、今回やってみて、試写室で笑ってくれている人を見たら嬉しくなっちゃって。もっと挑戦してみたいかも!って思い始めました。
(2011/3/31)
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よしたか・ゆりこ
1988年7月22日生まれ、東京都出身。テレビドラマ、CMなどの出演を経て、06年に園子温監督の『紀子の食卓』で映画デビュー。08年に『蛇にピアス』で映画初主演。日本アカデミー賞新人俳優賞、ブルーリボン賞新人賞などを受賞。主な映画出演作は『きみの友だち』(08)『重力ピエロ』(09)『GANTZ』(11)、ドラマは『太陽と海の教室』(08)『美丘ー君がいた日々ー』(10)など。
『婚前特急』
2011年4月1日よりテアトル新宿ほかにて全国公開
(C) 2011「婚前特急」フィルム・パートナーズ
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