1996年11月30日生まれ。大分県出身。2017年、所属事務所主催のワークショップオーディションを経て、俳優活動をスタート。ドラマ『ハイポジ』(20年)、映画『地獄少女』(19年)などに出演。映画『最初の晩餐』(19年)で第34回高崎映画祭最優秀新人男優賞を受賞。
“泣けるBL No.1”の呼び声高い常倉三矢原作の「Life 線上の僕ら」。ちるちるBLアワード2018「ベストコミック部門」では1位を獲得している。ちるちるは商業BLのポータルサイトで、年間に何冊ものBLコミックを読むであろうBL好きのユーザーの多くがその年のベストコミックとして「Life 線上の僕ら」選んでいるのだ。
この作品は、違う高校ながらも偶然に出会った2人の男の子を追ったラブストーリー。下校途中に知り合った晃と夕希は会うたびに心の距離が縮まり自然に恋に落ち、人を愛する喜びに目覚め、やがて苦しみと葛藤も知ってゆく。高校生から大学生へ、そして社会人へと成長する姿を描いた感動作だ。
多くの人の涙を誘ったこの「Life 線上の僕ら」が実写ドラマ化され、6月19日よりRakuten TVとビデオマーケットで先行配信された。また、台湾、タイをはじめ、アメリカやヨーロッパでの世界同時配信も決定している。
生真面目な晃を演じたのは、ドラマシリーズ『僕はまだ君を愛さないことができる』などの白洲迅、(しらす・じん)無邪気な夕希に扮するのは映画『最初の晩餐』などの楽駆(らいく)。若手イケメン俳優の注目株である2人がインタビューに応じ、作品を通して考えさせられたことからキスシーンについてまで語ってくれた。
白洲:ドラマの撮影が少しずつ再開されていて、先日も撮影がありました。本番直前ギリギリまでフェイスシールドをつけてリハーサルを行うなど、万全の対策をとっている感じですね。
楽駆:僕は中止になったイベントもあって、自粛明けの初めての仕事がこの『Life〜』のプロモーションです。
白洲:主演のお話をいただいて純粋に嬉しかったです。原作を読み、ボーイズラブの要素もあるけど、それだけでなく人生を描いた作品だと思いました。高校生から大学生、そして社会に出るようになって、さらにその先も。年を重ねていく人生そのものを描いている。出演にあたって嬉しさと同時に身の引き締まる思いも感じました。
楽駆:僕もすごく嬉しかったです。同性愛を扱った作品は初めてですが、前からやりたいと思っていました。同性愛を扱った作品は魅力的なものが多いですよね。この作品に出演することはチャレンジングでしたが、役を通していろんな経験をしたり感情を理解したりすることは、役者にしかできないことで、出演がすごく楽しみでした。
白洲:抵抗はなかったですね。僕は同性愛に関しての偏見は無くて、友だちにもいるので。世の中の偏見は無くなってはいないので、彼らが抱えてる苦悩はあると思います。ただ僕自身も、気づかないうちに特別視して接しているかもしれないし、今回の出演にあたっても100%理解していると断言していいのかどうかわからない。でも、この『Life〜』はLGBT的な問題というよりも、人と人との純粋な恋愛物語であるし、それぞれの成長物語だと思いました。デリケートな部分もあるかもしれませんが、何よりも気持ちを大切に望みました。
楽駆:はい、読みました。ラブストーリーで人の一生を最後まで描いている作品は珍しいですし、面白かったです。スピード感があって内容も詰まっていて、1巻だけなのに物語に厚みを感じました。
楽駆:夕希として常に笑っていました。
白洲:かわいかったですよ〜。
楽駆:(照れ笑いして)原作にある“大人びた笑顔”っていうのがどんな笑顔なんだろう?って考えたり研究したりしました。でも、難しくて。夕希は外に出すエネルギーが大きいんだと思います。演じていて楽しかったけど、大変でもありました。
楽駆:夕希は年を取っても無垢な部分が変わらなくて、誰にでも同じ態度で接することができる人だと思います。天真爛漫で純粋で素直でまっすぐ。原作のキャラクターを意識して演じました。
白洲:晃はとにかく“普通”というものにとらわれて苦悩してる。それがベースにあって、そこからどういう風に解放されて幸せになれるかが描かれています。晃はいわゆる枠からはみ出さないように生きていて、そういう気持ちを抱いてる人はとても多いと思います。僕自身、自分でいうのもなんですけど、真面目で考えすぎてしまう方なので、とても共感しました。撮影中もひたすら役について考えていて、メンタル的には実はキツかったです。でも、体感としては役と一緒になれたという気はしています。
楽駆:かっこいいな!って思いました。
白洲:本当に出会った瞬間は、すごい雰囲気のある人だなぁと思いました。
楽駆:それが第一印象?(笑)
白洲:で、打ち解けていくとその印象がガラガラガラ〜っと(笑)。
白洲:その部分も持ち合わせてると思います。外には明るい部分を出していて。だからこそ夕希のイメージにピッタリだと思います。
楽駆:迅くんについて顔合わせのときに感じたのは、優しくて温かいんだけど、本当は何を考えてるんだろう?ってミステリアスにも感じて。
白洲:やっぱ、そういう風に見られちゃうんだ!
楽駆:でも、何回か会ううちに紳士で素敵な方だと思いました。こんな僕ともちゃんと会話してくれるし(笑)。
楽駆:僕は最初はされる方だったので、緊張しませんでした。
白洲:緊張はしませんでしたけど、どういう感情になるか正直してみないとわからないなと思いました。
白洲:抵抗はなかったです。
楽駆:僕も抵抗はなかったです。好きじゃなかったら抵抗はあるだろうけど、役の上で晃のことが好きだったので。あ、もちろん迅くんのことも好きですよ!
白洲:(笑)
楽駆:夕希と晃の関係性で抵抗などまったくないです。
楽駆:いっぱいあるなぁ、うーん……あ、旅行のシーンで旅館から星空を見るんですけど、めっちゃすぐ窓を閉めるんですよ! そこが!!(爆笑)
白洲:あそこかぁ(笑)。僕は辛いシーンとかが出てきますねぇ、夕希からアラスカ旅行に行こうって言われるシーンとか。演じていて辛かったです。
楽駆:見ていて印象的だったのは、晃がひとりで部屋で夕希のことを想像してもんもんとしているシーンです。お姉さんが部屋に入ってくるところ。
楽駆:そうです! どういう状態になってるんだろうって(笑)。
白洲:あれはもう、謎のテンションでしたね(笑)。僕はセリフで印象に残っているのは、晃が愛を伝えるセリフです。ある意味とても身勝手ではあるんだけど、やっと身勝手になれたというか、やっと本当の自分の気持ちを言えたシーンなので、とても印象に残っています。
白洲:変わったというより、共感した部分が大きかったです。この作品は年齢ごとに描かれていきますが、年齢的に悩む時期だとかいろんなものが見えてきて。僕は今年28歳になりますけど、晃が自分勝手にいろいろと考えて行動して夕希を傷つけてしまうのと同じ年齢なんですよね。考えさせられるものがありました。人を好きになっても好きなだけじゃダメだとか、僕も考え過ぎだなとか、人生について改めて考えました。
楽駆:僕はこの作品を通して、人への接し方が変わった気がします。夕希は誰にでも同じ目線で接することができて、僕もそうしているつもりだったけどやっぱりできていないことが多かったと思います。壁を取っ払って相手のことを知るためには、自分から壁をなくさなきゃいけないと思いました。
(text:矢野絢子/photo:小川拓洋)
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