中田青渚
なかた・せいな
2000年生まれ、兵庫県出身。2014年に「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」グランプリを受賞し、デビューを掴む。ドラマ「中学聖日記」(18年)のほか、映画『写真甲子園0.5秒の夏』(17年)、『見えない目撃者』(19)、『もみの家』(20年)などに出演。公開待機作に今泉力哉監督作『街の上で』(2021年公開予定)がある。
2016年に短編小説「えん」で第40回すばる文学賞佳作を受賞。さらに映画『おいしい家族』で映画監督としても活躍するふくだももこ。彼女の原点である2本の短編小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を再構築した映画『君が世界のはじまり』が公開される。出演は松本穂香、中田青渚、片山友希、金子大地、甲斐翔真、小室ぺいらネクストブレーク必至の若手俳優たち。高校生による父親殺人事件が起きた大阪の街を舞台に、孤独に押しつぶされそうな高校生たちの思いが交錯する青春映画となる。今回は、松本穂香演じる主人公・縁の親友・琴子を演じた中田青渚に話を聞いた。
中田:琴子は自分でも本当に好きなキャラクター。もしわたしがこの映画の世界にいたら、わたしも憧れちゃうと思います。だから琴子の役をいただいた時はすごくうれしかったですけど、自分が憧れるようなキャラクターを自分で演じるということで、緊張も大きかったです。
中田:性格は明るいほうだとは思うんですが、琴子のように激しくはないです(笑)。感情の起伏が激しいタイプではなくて、どちらかというと縁に近いタイプかなと自分では思います。
中田:そうですね。すごく楽しいです。
中田:ふくだ監督は本当にこの作品が大好きで。キャラクターみんなに対する愛がすごくて本当に愛情深い監督だなと思っていました。なんとなく監督って、離れたところから冷静に見ているというイメージがあったんですけど、ふくだ監督のキャラクターは人を引きつけるというか。本当に分け隔てなく、平等に接してくださる方で。本当に一緒に作っているという感じでした。しかも年齢が近いということもあって、わたしたちが思っていることも言いやすくて。とても雰囲気の良い現場だったなと思います。
中田:本読みをしてから撮影に入るまでちょっと期間があったので、松本さんと監督と3人で、縁と琴子の関係性について話しました。縁はなぜ琴子にとって特別な存在で、琴子にとってなぜ縁は特別なんだろう、みたいな話を。縁と琴子はどちらかというと正反対の性格なんですけど、親友としての関係性が築けているのは何でなのかなと。それはきっと琴子が、周りから憧れられる存在で、なんとなくちゃんとした普通の人と見られることがない中で、縁はちゃんと琴子をひとりの人として見てくれるからだろうなと。それで関係性がきれいに成り立っているんだなと思いました。
中田:琴子を演じる上で、喜怒哀楽をパッパパッパと変えてほしいとずっと言われていて。それは難しかったですね。さっきまで笑っていたのに、今は怒っていたりとか。感情の切り替えが激しいというか。そういうのは監督に言われて、琴子ってそういう子なんだと思ったのが印象に残っています。
中田:(岩井俊二監督の映画)『花とアリス』を見なおしました。あの作品も、ふたりの高校生の空気感があって。その関係性が大切な映画だなと思ったので、一回観たことはあるんですけど、もう一度見ておきたいなと思いました。この映画を観て、縁と琴子の、お互いが大切なんだという思いをちゃんと心の隅に置かないとなと思いました。
中田:女性の監督ということで、なんとなく共感できる部分はいろいろあったと思います。変にキラキラしすぎていないというか。うまくいかない、こじれた感じなんかもきれいに映画になっているなと思いました。
中田:わたしは(小室ぺい演じる同級生の)業平くんに片思いをしている役だったので、業平くんと縁がふたりでいるシーンを見て、いい雰囲気だなと思う反面、ちょっと悲しくもなりました(笑)。
中田:そうですね。わたしも、もともと兵庫県の山の方の出身なので、なんとなく閉塞感というか、生きづらさを感じていましたし、なんとなく都会がいいなとか、何かをしたいなとか、そういう欲望がありました。そういう思いって高校生ならではだなと思います。大人になったら自分でどこへでも行けてしまうから。そういうものがこの映画には詰まっているなと思いました。
中田:わたしはちゃんと青春らしい青春を送ってこなかったので、共感というよりかはうらやましいなと思いました。自分の意志をぶつけあったり、誰かにずっと思いをはせていたり、一生懸命になったりと。そういうのがすごくうらやましかったです。
中田:事務所に入った時は全然、女優さんになりたいとは思っていなかったんですが、レッスンを受けていくうちに楽しいなと思うようになって。そこから女優さんになりたいなと思うようになりました。
中田:時がたつにつれて緊張するようになってきたなと思います。最初の頃は何も知らなかったので、いい意味で何も考えていなかったというか。自分自身だけでいけたのも、年を重ねて、作品を重ねるにつれて、考えることもすごく増えてきて、緊張するようになってきました。
中田:この作品が一番緊張しました。琴子って一歩間違えると、嫌なキャラクターになりかねない。だからそうならないように演じなきゃと思ったら、本当に緊張しました。
中田:コロナ禍の中で、撮影していた仕事が1回止まってしまって。家にいることが多くなって、いろんなことを考えたんですが、やっぱりこの仕事が好きだなと改めて感じました。今は何が起きるかわからないなというか、こういう状況になって一つの役や、一つの作品に対してもっと、今まで以上に大切に真剣に向き合っていきたいなと思うようになりました。
(text:壬生智裕/photo:今井裕治)
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