1984年3月20日生まれ。大阪府吹田市出身。2003年に、福徳秀介と共にお笑いコンビ「ジャルジャル」を結成。07年に『日常〜恋の声〜』にて映画デビューを果たす。10年、ジャルジャル主演映画『ヒーローショー』が話題となり、12年の『営業1∞万回』でもジャルジャルとして主演を務める。その後も武正晴監督の『銃』(18)、三谷幸喜監督の『記憶にございません!』(19)など、日本を代表する映画監督の作品に出演し、役者としても活躍曜の場を広げる。15年、18年ともにM-1 グランプリにて第3位。19年、キングオブコントでも第3位。バラエティー、ドラマ、映画など幅広いジャンルで人気の芸人である。『映画 きかんしゃトーマス おいでよ!未来の発明ショー』で声優に初挑戦した。
『ロックンロール・ストリップ』後藤淳平(ジャルジャル)インタビュー
下積み時代に共感! 売れない劇団員役で初のソロ主演
ひとりで主演というのは、かなりプレッシャーでした
8月14日よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開される映画『ロックンロール・ストリップ』は、大阪のストリップ劇場を舞台に、映画監督を夢見る劇団座長が、売れない劇団員たちとともに奇跡のパフォーマンスを繰り広げる、痛快エンターテインメントだ。
「悪夢のエレベーター」などで知られる木下半太の自伝的小説を、自身のメガホンで映画化。夢をもがいている者たちが走り続ける痛快な青春映画となっている。そこで今回は、本作で映画単独初主演を果たしたジャルジャルの後藤淳平に話を聞いた。
後藤:あの時はコンビだったんですけど、ひとりで主演というのは初めてだったので、かなりプレッシャーでしたね。監督の自伝的作品なので、僕でいいのかなというのがあったんですけど、今後、こんな話もなかなかないでしょうし、ひとつの経験として、思い切ってやらせてもらおうかなと思いました。監督からは『芸人として、同じような感じの下積み時代があって、悶々(もんもん)とした日々を過ごしてたと思うんで。そのときの気持ちを思い出してやってほしい』と言われました。
後藤:でもやっぱり、オーディションに受かるまではすごい大変で。養成所を出てからの数年間というのは、本当になかなか先が見えないというか、大変でした。そこはかなり重なる部分はありましたね。
後藤:すごく共感できましたね。まっすぐ目標に向かって突き進んでるつもりでも、行ったり来たりしてる感じもあったし。いろんな寄り道をしてやっと気づいて、突き進むといったこともあった。僕らだって売れたいのに、何をどうしたらいいか分からない。だからもうがむしゃらにやるしかない、みたいなところはありましたから。それは本当に共感できましたね。
後藤:やっぱり下積み時代はもがいているんで、意味が分からない行動をとりますよね。理由なくいきなり丸刈りにしたり、ひげをはやしてみたりして、取りあえず見た目を変えてみたり。コンビで話し合って、トリオにしようかという話が出てきたり。先が見えなさすぎて、何をどうしたらいいか分からんから、自暴自棄にもなるし。だからそういうのは自分に重なるというか、思い出しましたね。
後藤:でも正しいもがき方をしているなと思うんです。そこでもうええわ、となるんじゃなくて、もがきながらも、気持ちは前向きというか。不安の中ではあるんですけども、ここから絶対抜け出すぞという気持ちは常に持っていたんで。正しいもがき方をしているなと思いますね。
後藤:そうなんです。だから智順さんと同じ日になった初日には、この井筒組スリーショットで写真を撮りました。でも今、『パッチギ!』を観ると、やっぱり面白いですよね。智順さんと監督がガッツリとやりとりするシーンもありますし。そして僕は『ヒーローショー』で智順さんと共演している。つまり智順さんが両方に出ているということだと思うんですけど、いろんなつながりがあって面白いですよね。
後藤:あれを経験したのはだいぶ大きいですね。ナチュラルに演技することの難しさは、あの時の経験から分かっていたんで。映画を撮るということがどれだけ大変かということも経験しましたから。その当時は分からなかったですけど、それからいろんな現場を経験していく上で、あれがいかに特殊だったかということが分かってきました。あんなに何十回も同じシーンをやるということは、他ではあまりないですからね。だからあれ以降、ちょっとやそっとじゃ、しんどいとは思わなくなりましたね。
後藤:武監督はそれこそ『ヒーローショー』の時に助監督で入ってくれて。僕らに付きっきりでやってくださったので。だから『銃』に出させてもらった時はめっちゃ懐かしかったですね。そうだ、この感じやったなと。まさに井筒組の感じでしたね。
後藤:そこはもしかしたら芸人をやってることの、ずるいところかもしれないですけど、メインが芸人なんで。お芝居でどうなりたい、といった野心がないので。楽しくやらせてもらっていますね。
後藤:でもやっぱり今回、あらためて思ったのは、コントとお芝居は全く別ものやなということ。コントは自分らで作って、セリフも自分らで考えてやっているからできるんですけど、映画には台本があって。それを覚えて、自分の言葉にして、それをナチュラルにしゃべらないといけない。それはめちゃくちゃ難しいなと思いました。
後藤:それはもう強いですね。やっぱり生のお客さんの前でドーンと笑いが起きたときの気持ちよさは、やっぱり他ではないんで。劇場で、当たり前のようにお客さんがいて、ネタができるという環境がいかに幸せかっていうのは思いますね。このストリップ劇場もそうですけど、僕らも大阪にいた頃は、ああいう小さい劇場からスタートしていますから。ああいう劇場で味わえる一体感というのは、やっぱり YouTube とかでは味わえないんで。そこはなくなることはないでしょうし。今はなかなか満席でのライブができないことがもどかしいですが、劇場を1回味わうと、もう1回見に行きたくなると思うんで。これからも僕らは劇場を大事にしていきたいなと思いますね。
後藤:この劇中では、本当にもうゼロの状態でみんなで東京に行こう、という。まさに上京物語ですけど、僕らの場合は、結構大阪時代が長くて。でも東京での仕事も増えてきたんで、じゃあ東京に行こうか、という感じでしたからね。もちろん東京に行きたいという思いはずっとありましたけど、そういう違いはありますね。やはり大阪の仕事を全部捨てて東京に行くというのは、なかなか根性がいることだと思います。
後藤:千鳥さんとかもそうですけど、大阪でやってきたことをそのまま東京でやって、それが通用する人って、本当にすごい人だと思うんですよ。僕らでいうと、例えば(テレビ番組の)『めちゃ×2イケてるッ!』(『めちゃイケ』)に入らせてもらったんですが、でも大阪でやってきたことを『めちゃイケ』でやっても全く通用しなかった。なんか外国でひとりだけ日本語をしゃべってるくらいの雰囲気だったりしたんですよ。そこは1回、忘れなきゃいけないと思ったときは、かなり大変でしたね。
後藤:それは本当に『めちゃイケ』が終わってからですね。M-1で決勝に行かせてもらって、YouTubeなんかでネタをどんどん追加していったら、この人たちはネタをいっぱい持っていて。ネタをやるのが好きな人たちなんやと思ってもらえるようになった。そうしたら結構楽になりましたね。
後藤:そうですね。僕らの場合はとにかくいろんなことをやるというよりは、もう1回原点に戻った方がいいと思ったんです。何をやっているときが一番楽しいだろう、と考えた時に、やっぱりネタを作ってやるのが楽しいとなったんで。とにかくそれを軸にやっていこうかとなった時に、やることがすっきりしだしたという感じですね。
後藤:本当にまだ何者でもない若者が夢を追う姿、あがく姿っていうのは、本当に尊いんだなっていうのがこの作品に出てますので、今まさに夢を追いかけている世代の方も、そういう経験したなっていう上の世代の方も、みんな楽しめる作品になってますので、よかったら見てください。お願いします。
(text:壬生智裕/photo:小川拓洋)
(ヘアメイク:伊荻ユミ/スタイリスト:中村陽子/衣装協力:CAVE)
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