1994年4月8日生まれ。東京都出身。3歳で子役デビュー。2010年にミュージカル「テニスの王子様2ndシーズン」に主演し、2014年に通算500回公演出演を達成。2016年、BSスカパー!ドラマ『弱虫ペダル』で連続ドラマ初主演を果たす。ドラマ『腐女子、うっかりゲイに告る。』(19年)、『そして、ユリコは一人になった』(20年)、映画『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。2』(19年)など、話題作への出演も多数。本作『人狼ゲーム デスゲームの運営人』(20年)が映画初主演作となる。また無観客収録でのワンショットドラマ『キ上の空論 うちの鼠は沈む船を見捨てぬ。』がVimeoにて11月に有料配信予定。
『人狼ゲーム デスゲームの運営人』小越勇輝インタビュー
実はキャリア20年以上! 映画初主演を飾った人気若手俳優を直撃
正宗はピュアで弱さのある子なので強くなり過ぎないように演じました
人狼ゲームに参加させられた高校生たちによる生死をかけた騙し合いが繰り広げられる人気シリーズ『人狼ゲーム』。その第8弾となる『人狼ゲーム デスゲームの運営人』では、これまで謎に包まれていたゲームの運営人側に初めてフォーカスし、参加者側の駆け引きと運営人側の思惑が同時進行する今まで以上にスリリングな展開を見せる。
主人公は運営人側の青年・正宗で、演じるのは小越勇輝。2010年にミュージカル「テニスの王子様2ndシーズン」に主演して以降、数々のドラマや映画に出演している若手実力派俳優だ。意外にも本作が映画初主演作という小越に、そのプレッシャーや役作り、子役時代から今までのことなどを聞いた。
小越:最初にお話をいただいときは驚きました。『人狼ゲーム』シリーズは見ていましたし、参加できたらいいなと思っていたので、その新作に主演できるということは嬉しさもある一方で、プレッシャーをひしひしと感じていました。でも、自分の力だけではどうにもなりません。監督さん含めスタッフの皆さんキャストの皆さんと作っていくものなので、皆さんの作品への思いに助けられて、僕も主演を果たすことができました。
小越:僕は今回、初めて映画で主演をやらせていただけるということで、撮影に入る前に監督とお話したい、とお願いしたんです。そこで疑問に思ってることを聞きました。監督は原作があるからどうこうよりも、俳優が演じやすいようにやってくれて構わないし、セリフが言いにくければ変えても構わない、とおっしゃいました。もちろんセリフを変えたりするつもりはないですし、監督が思い描いているものを自分がどう表現できるかな、ということを考えていたのですが、そういうお言葉をいただけてちょっとほっとしました。現場でも、リハではこうしたけれどこういう動きの方がやりやすい、という場合にはこちらから相談したこともありました。
小越:やはり撮影中はゆっくりお話する時間もないですし、気持ちを共有する時間もなかなか取れなかったりするので、可能ならばそこのコミュニケーションも含めて、撮影に入る前に話しておきたいなと思ったんです。これまで、撮影が終わってから、例えば打ち上げとかで話した時に、(相手は)「こういう風に感じていたんだ」と気づくこともあったので、今回は主演ということで、撮影前にお話しできれば、また見える景色が違うのかなと思いました。
小越:僕もそうですが、今までこのシリーズを見ていた人たちは、「運営側ってどういう人達なんだろう」というところから入ると思うんです。人として心が欠けているのではないかとか、何とも思っていないのではないかとか。でも、運営人にも彼らなりにそこにいる理由があって、心もあるんですよね。非現実的な状況ですが、正宗にとっては目の前で人が人を殺したり死んでいくのが当たり前になってしまっていて、退屈さもある中で、正宗の知っている女の子が参加者の中にいることに気付いて「守らなければ」という気持ちになって心が揺れ動きます。その様が人間らしいなと思ったので、そこに関しては演じやすかったですね。ただ、正宗は芯の強い男の子ではなくてピュアで弱さのある子なので、大丈夫かな、助けられるかな、という風に見えるように、強くなり過ぎないように演じました。
小越:運営側と参加者側で同じシーンはほぼなくて、撮影の入れ違いで会うくらいでしたが、本当にカラーが分かれていましたね。運営側は大人な感じでたわいもない話をしていました。参加者側は若いメンバーのせいかすぐに仲良くなってワイワイやっていましたね。
小越:先に参加者側の撮影が終わっていることが多く、それをすぐに編集してモニターに映し出してくれていたので、運営側は彼らの芝居を見ながら演じることができたのですが、やはり改めて作品を見て、参加者チームの子たちが普段は和気藹々としていながらも、カメラが回ると生死をかけた戦いを真剣に演じていて、そこに感じ入りましたね。
小越:そうですね。僕もこっちの年齢だったはずなのに、気付いたらもう大人チームで(笑)。もちろん自分よりも年上の方はたくさんいますが、最近は共演する方が自分より年下のことも増えてきたので、着実に年を重ねているなぁ、と感じています。
小越:そうなんですよ。いま20歳の子とかが高校生役をやっていて、その場に16歳とか現役高校生の子もいるときに、20歳の子が「若いねえ」とか言ってるんですよ。それを見て、「いや、こっちは26歳で制服着てるんだぞ」みたいな(笑)。自分が20歳くらいのときに、少し年上の人たちが言っていたことが少しずつわかってきました。
小越:強みでもあると思うんですよね。この年齢でも制服を着させていただけるというのは(笑)。
おばあちゃんの友だちが勝手に応募して子役デビュー
小越:転機はいくつかあるんですよ。それこそ気づいたら始めていて、習い事の感覚でやっていましたが、中学に入るタイミングで「続けるのか続けないのか自分で決めなさい」と両親に言われて、ちょうど面白いと思っていたので続けることにしました。高校へ進学するときも「本当にどうするの?」と聞かれて、この仕事と一生付き合っていこうと決めて。それで両親にも助けてもらって、芸能コースのある学校に進学したんです。
小越:いや。この仕事にポンと入れたのは両親ではないので、どっちでもよかったんだと思います。もちろん小さい頃は現場に着いてきてくれたりもしましたが、役者を続けるか続けないかは僕に任せるという感じだったんじゃないかな。
小越:おばあちゃんの友だちが勝手に応募して、合格したから行ってきなさい、というのがきっかけです。だから、お母さんからしてみたら「子どもを連れて行くのは私でしょう」みたいな感じだったと思うんですけど、それでも一緒に行ってくれて、あとは自分がやりたいなら、ということで。
小越:そうですね。色々とつながっていて今の自分がある思いますね。
小越:当たり前だった日常がいつ戻ってくるかわかりませんが、仕事の向き合い方は変わらないと思います。自分ができることをしっかり表現して作品を届けていきたいですね。こういう状況だから限られてくる部分もありますが、今もいろいろな対策をしながら作品を届けられるということはありがたいことです。そういう場があることを幸せに思いながら、これから先もいろいろな役や表現ができる俳優になっていきたいです。
小越:散歩することは増えましたね。当たり前のように交通機関を使って移動していましたが、今は歩いていったり、公園で一人ぼーっとしていたりとか。
小越:しないです、全然(笑)。
(text:中山恵子/photo:勝川健一)
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