2004年3月11日生まれ、大阪府出身。2010年、歌舞伎平成中村座で俳優デビュー。テレビドラマ『宮本武蔵』(14年)、『ボーダーライン』(14年)、『死役所』(19年)やWEBドラマ『青葉家のテーブル』(18-19年)などに出演。公開待機作品に原田眞人監督作品『燃えよ剣』(近日公開)がある。
いじめの標的になる学級委員長役で出演
32歳の若さで命を絶った歌人・萩原慎一郎の遺作となった唯一の歌集「歌集 滑走路」は、いじめや非正規雇用を経験しながら、苦難の中、それでも生きる希望を託した歌が、多くの共感を集めたベストセラー。その歌集をモチーフにオリジナルストーリーとして紡がれる映画『滑走路』は、非正規、いじめ、過労、キャリア、自死、家族など、現代を生きる若い世代の誰もが抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき、生きる姿を鮮烈に描き出している。そこで今回は、本作に学級委員長役で出演する若手注目株の俳優・寄川歌太に話を聞いた。
・台本を読んで号泣、子を思う母の気持ちが初めて分かった/草なぎ剛インタビュー
寄川:まったく似ていないというか。僕は学級委員長をする感じのタイプでもないですし、こんなにおとなしいタイプでもなくて。自分とは違うなと思っていましたけど、だからこそ逆に演じやすかったですね。
寄川:監督はアドバイスというよりも、僕の意見をめちゃくちゃ聞いてくれる方で。僕がこういう演技をしたいと監督に伝えたら、じゃあ一回リハーサルをやってみようと言ってくれて。それで自分でもしっくりきたなと思ったら、それで本番にいこうと言ってくれる。そうやって監督はひとりひとりの意見を聞いて、まとめる力がある。本当にすごいなと思いました。
寄川:同世代の子は全員、めちゃくちゃ仲が良かったですね。撮影してないときは、「趣味は何?」とか、「服は何が好き?」みたいな感じで話をしていました。役柄として、いじめたり、いじめられたりというのはありましたし、その時はちょっと心を締め付けられたりもしたんですけど、本当にカメラがまわってない時は楽しかったです。
寄川:最初はやはりどうしても学級委員長を“かわいそうだな”“つらそうだな”というような第三者的な目線で見てしまうところがあったんですよね。でも、演じる上では自分が“つらいんだ”という気持ちになりきらないといけないから。そういうのって映画を観ている人にも伝わってしまいますし、映画の雰囲気が崩れたりしてしまうから。第三者的な目線をなくすのに必死でした。
寄川:水川あさみさんが出演されるパートや、浅香航大さんが出演されるパートとは撮影で関わることもなかったので。三つのパートの雰囲気が違ったらどうしようと思っていたんですけど、しっかりと『滑走路』というひとつの映画にまとめられていて。映画の雰囲気を崩さなかったので良かったなと思いました。
寄川:僕は映画が大好きです。だから『滑走路』が決まったときも、興奮がすごく込み上げてきたというか。やはり映画好きとしては、映画の仕事が増えているというのは素直にうれしいことですね。
寄川:そうです。オーディションはまわりの子たちのレベルが高くて。不安だったんですけど、連絡が来たときはいろんな気持ちがこみ上げてきて。自分が受かったという気持ちもあれば、『滑走路』の中の大きな役だったということもありましたし。今までオーディションが駄目だったことが多かったので、やっと受かったという思いで、とにかく涙でした。
寄川:プレッシャーはそんなになかったですね。この役に選んでもらえたんだから、プレッシャーに負けている場合じゃないなというようなアドレナリンが出ていて。とにかく頑張るしかないという気持ちになっていました。
寄川:とにかく興奮しましたね。台本をめくったら自分の名前が書いてあって。本当に信じられないというか。あらためてオーディションに受かったんだなということを実感するというか。それから試写でエンドクレジットに名前が載っている時も泣きました。自分の名前が載ってるっていうことに喜びがありますし、自分の年でこんな経験をさせてもらえることはなかなかないですから。
7歳で舞台デビュー、俳優としてのキャリアは早くも10年!
寄川:その時は劇団に入っていたんですけど、「歌舞伎のオーディションがあるから受けてみませんか」と言われて。母も「一般の子が受けられるの?」と驚いていましたけど。「珍しいから受けるだけ受けてみたら」ということで受けたら、受かったので。それで初めて舞台を踏みました。7歳のときでした。
寄川:そうです。今年で10年目に突入しました。
寄川:そうですね。最初は舞台が中心でした。舞台は楽しかったんですけど、いろんな映像の仕事をしていくうちに、映像の仕事も楽しいなと思うようになりました。今は映像の仕事が続いていて本当にうれしいというか。恵まれてるなと思いますね。
寄川:自分の色を出しながら、その役の雰囲気の色も出せるような俳優さんは全員あこがれですね。でもあこがれてもその人たちにはなれないので、自分の色を作りあげるしかないと思っています。最終的には、そういう自分の色を出しつつ、演技で役の色を出せる俳優になりたいなと思っています。
(text&photo:壬生智裕)
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