1985年2月2日生まれ、神奈川県出身。主な映画出演作に『呪怨―ザ・ファイナルー』(15)、『群青色の、とおり道』(15)、『カノン』(16)、『新宿スワンII』(17)、『曇天に笑う』(18)、『貞子』(19)。テレビドラマでも活躍し、近年は『俺のスカート、どこ行った?』『これは経費で落ちません!』(共に19年)、『いいね!光源氏くん』(20年)、『おじさんはカワイイものがお好き。』(20年)、ドラマ×マンガ『あとかたの街〜12歳の少女が見た戦争〜』(20年)などに出演。
『海の底からモナムール』桐山漣インタビュー
『貞子』『呪怨-ザ・ファイナル-』に続き、日仏合作の異色ホラー主演!
やっぱり監督がフランス人というのは、面白そうだなと思いました
フランス人のロナン・ジル監督が日本を舞台に撮った『海の底からモナムール』。高校を卒業して以来、久しぶりに友だちと訪れた故郷の島で過去の出来事と向き合うことになったタクマ。その島の海には、10年前、いじめに遭い、タクマに「ただ愛されたい」という思いを抱えたまま崖から飛び降りた同級生のミユキが17歳の姿のままでいた。
キャストもせりふも舞台も、全ての要素が日本だが、微妙な視点や感覚の違いがあって、それが面白い。
恋人や同級生カップルと連れ立って故郷の島に帰省するタクマを演じるのは桐山漣。昨年来、ドラマ『これは経費で落ちません!』や『おじさんはカワイイものがお好き。』などコメディ・タッチのドラマで活躍し、新境地を拓いている彼が、5年前になる映画撮影時の思い出や恋愛観、今目指すものについて語ってくれた。
桐山:事務所から資料が送られてきて、「これをやりますので」という流れですが、やっぱり監督がフランス人というのは、面白そうだなと思いました。
桐山:初めて本を読んだときは、せりふが本当に直訳だったんです。機械翻訳でそのまま訳したようで、「そのままだとまずいな」と思って。僕らが演じながら直していくような作業が絶対必要だな、と考えました。それからストーリーはホラーなんだけど、ミユキという女の子が「愛されたい」という思いを抱いたまま死んで、10年間、「愛してほしい」という思いをずっと引きずっていく。幽霊のラブストーリーでもあるな、と思いました。単なるホラー映画ではない、ひとくくりにはできない不思議な作品だという印象でしたね。
桐山:はい、5年前ですね。
桐山:まずは、やっと公開になるという安心感。あとはやっぱり……僕らの仕事って、いつも今を生きている感覚なので、5年前の作品が公開になる小恥ずかしさというのも、やっぱり共存してますね。
桐山:今の自分なら、こうやってやりたいとか、違うアイデアも出てくるし、そこはちょっと複雑なところなんです(笑)。
桐山:もちろん、それはあります。ただ、当時30歳だった自分ができることを精いっぱいやっている姿だとは思うので、そこに関しては、まあこれでいいかな、とも思いますね。
桐山:現代の男の子らしいというか、なかなか自分の思っていることをきちんと言えない。嫌なら嫌、好きなら好き、と自分の思いを話すことがすごく苦手なタイプなんじゃないかな。若い子というか、現代人の象徴という印象ですね。
結婚に関しても、何回も「親を紹介して」とか、彼女からいろいろ迫られたりするけど、それに対してもイエスでもなければノーでもないような。僕が捉えた印象では不器用なタイプです。
桐山:そういうところは、共感はしづらいかな。ただ、10年前の高校生だったタクマにすごく共感できると思ったのは、ミユキのことです。タクマにとって、気にはなっている存在だったと思うんです。だけど、17歳のときって、やっぱりそういう時期だから、いじめられている対象である人を自分が受け入れたりとか好きになったりしたら、また周りから自分もいじめられるんじゃないかと考えたりする。大人になった今だったら違いますけど。本当は気になるんだけれど、素直に気になるとか好きということを表現できない。
自分も高校生だったとして、もしそういう立場にいたら、それでも「好き」とちゃんと言えたかなといったら、決してそれは絶対イエスじゃないなと思って。自分に問いかけてみて、確かにタクマの気持ちは分かるなと思ったんです。もし、自分がミユキの気持ちを受け入れたら、自分も彼女と同じように、いじめの対象になると考えながらも、だからこそ気になる存在。好きになる手前の、これから何かあるのかな、という予感を抱くような入口のような感情。すごく繊細で、心のセンシティブな部分には、なるほどな、と共感できますね。
桐山:さっきもちょっと話しましたが、せりふの口調を直していく作業をキャストの僕らでやっていたんです。控室もみんな合同だったので、空いている時間に読み合わせをして。ミユキ役の(清水)くるみちゃんを除いた(島に遊びに行くという設定の)4人は同世代なんですね。なので、本当にクラスメートのような感覚というか。(三津谷)葉子ちゃん以外は全員、共演したこともあるので打ち解けるのも早かったですし。みんなで前野(朋哉)君のおなかを触ったり(笑)、いじって遊んでました。
桐山:そうですね。僕らで極力ナチュラルになるようにやろうという思いではいました。そこは結構大変だったかな。
桐山:監督は日本語がペラペラなんです。奥さんが日本人で、彼女の日本語をいつも聞いているからか、口調もやや女性っぽくて、癒やしキャラというか。フランス人ならではなのかな、と思ったのは、アクションとかカットとかも、ぬるっと来るんですよね。「いいよ。ああ、それで、はい。じゃあ、そういう感じで。用意、アクション」みたいな。こちらとしては「もう始まったんだ?!」みたいな(笑)。普段は「用意、スタート」の「用意」でバシッとスイッチが入るのに慣れているので。ふわっと始まっていくんだなっていう、それも勉強になりました。
桐山:通訳の方は入ってなかったですね。日本語には不自由ないので。
桐山:役柄に関しての細かいオーダーは特になかったんです。「タクマはこういう人だから、こうして」とかは言われなくて、大体の骨組みというか、動きを指示される感じです。「ここでこういうことが起きるから、こういうふうにしてください」とか。タクマの心情とか、そういう調整みたいなものは特にはありませんでした。やってる本人としては、日本の現場に慣れているからでもあるんですけど、なかなかないスタイルだと思いました。
恋愛では、愛すよりも愛されたい
桐山:「好き」って言われるよりも、「愛して」と言われたほうが、うん、分かったってなりそう。何となく。「私、あなたのことを愛してます」というよりも、「私のことを愛して」と言われたほうが……使うといいかもしれませんね(笑)。
桐山:求めるもの……、(少し考えて)この人といると笑顔になるな、と思えることと、あとは何だろうな。安心感ですかね。やっぱり、一緒にいて気持ちが沈む人よりも、明るくなる人といたいなと思いますし。でも、あんまりいろいろは求めないです。
桐山:僕ですか? 両方あります。バランスだと思う。でも、男は愛されてるほうが幸せなんじゃないかなと思います。といっても、今はあまり結婚願望もないです。僕の仕事で言えば、かもしれないです。愛されてるほうが幸せ、というのは。
桐山:やっぱり、安定した仕事ではないですし、浮き沈みも絶対あるだろうし。そう考えると、“俺が愛してるから”というだけよりも、向こうが理解してくれた上で愛してくれてるほうが、僕らみたいな仕事の人からしたら幸せなんじゃないのかな、と思ったりはしますね。
桐山:昔からそうなんですけど、この人みたいになりたい、というのはなくって。それと、僕は冷たく見られがちで、とっつきにくい印象があるみたいなんです。「共演してみたら違った」と言ってもらえることが多くって。でもそれは、自分の中での面白さでもあり、一つの武器でもあるかなとは思うんです。だからクールな印象だとしても、芝居で面白いと思われたいほうが強くて(笑)。
最近思うことは、きちんと今の自分のポジションを確立したいということ。
ご縁があって、コメディ要素のある作品が続いてるので、そういう役も体を張ってできるんだと思ってもらえるように。誰かを目標に目指すとかじゃなく、「これは桐山君しか絶対にいない」と思ってもらえるような、唯一無二の存在になりたいなという思いはありますね、やっぱり。
桐山:そうですね。やっぱり仕事が一番大事です。30代のうちに、きちんとそこを組み立てておかないと、結婚とか、誰かを幸せにすることができないなと思うから。まず自分がやるべきことは仕事です。今、すごくありがたいことに、いろいろな作品に呼んでいただいたりしてもらえてるので、一つ一つの出合い、役との出合いも、「これが最後だ」というくらいの気持ちで挑んでます。攻めの姿勢がなくなったら、自分は駄目になると思う。「最後だ」と思っておけば思っておくほどいろいろアイデアも浮かぶじゃないすか。
そういった気持ちで、いつもカメラの前に立ってるなって思います。
(text:冨永由紀/photo:小川拓洋)
(ヘアメイク:江夏智[raftel]/スタイリスト:吉田ナオキ/衣装協力:WYM LIDNM、REV、GARNI、NUG)
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