1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。2011年にTVドラマで女優デビューし、映画は『白ゆき姫殺人事件』(14年)、『グラスホッパー』(15年)、『オオカミ少女と黒王子』『土竜の唄 香港狂騒曲』(共に16年)、『銀魂』(17年)などに出演。近年のドラマ出演は『BG〜身辺警護人〜』(18年、20年)、主演作『Miss デビル 人事の悪魔・椿眞子』(18年)、『4分間のマリーゴールド』(19年)、『常識の仮面はがします 秘密潜入員エース』『七人の秘書』(共に20年)、『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(21年)、『緊急取調室 新春ドラマスペシャル「特別召集 2022 8億円のお年玉」』(22年)など。近年の映画出演は『マスカレード・ホテル』(19年)、『ヲタクに恋は難しい』(20年)、『地獄の花園』『土竜の唄FINAL』(共に21年)など。2022年10月からドラマ『ザ・トラベルナース』に出演。
セーラームーンの髪型決まらず1日中涙…
1991年12月「なかよし」(講談社)で連載開始、翌92年にはTVアニメが放送開始。その後、単行本の累計発行部数は全世界3,000万部にものぼる。TVアニメは40ヵ国以上の国で放送され、今なお全世界で熱狂的に愛されている『美少女戦士セーラームーン』。25年ぶりの劇場版最新作となる劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』は、戦士として、ひとりの人間として、さまざまなことに悩み、迷い、成長するセーラー戦士たちの姿と、ちびうさとエリオスの淡い初恋が描かれる原作4期「デッド・ムーン」編を、前後編2部作で映画化した作品となる。
そんな本作で、地球と月の征服をたくらむデッド・ムーンの頂点に立つ女王ネヘレニアの声優を担当するのは菜々緒。幼いころから作品の大ファンであったと公言する彼女に、『美少女戦士セーラームーン』への熱い思いを聞いた。
菜々緒:小さい頃に自分が見ていた大好きな作品に携われると知って、まずは家族とかよに報告しました。みんな喜んでくれましたね。「本当?」「ドッキリじゃないの?」みたいな感じで、結構驚いていました。かよは「(女王ネヘレニアに仕える霊魂導士)ジルコニアじゃないよね?」と言っていたんで、「ラスボスです」と返事したりしましたけどね(笑)。
菜々緒:家族も喜んでくれました。母は、私が幼稚園の時に、セーラームーンの(月野)うさぎちゃんの髪型を作ってくれていたので、その頃がすごく懐かしかったみたいで。セーラームーンの髪型が決まらなくて、1日中、泣いていたというのも、かよから聞いたことがあって(笑)。それくらいうさぎちゃんに憧れて、うさぎちゃんが大好きで。セーラームーンごっこをしていても、セーラームーンの役を絶対にゆずらなかったという風に聞いていたんで。そんな自分がまさか『美少女戦士セーラームーン』の(作品で)声優ができるなんて思っていなかったのでうれしかったですね。
菜々緒:アフレコの時は、仕事中にも関わらず、心の中でウワーッ、という風になってしまって。実際にうさぎちゃんと喋(しゃべ)っているような感じだったので、心の中で感激していました。
菜々緒:すごくうれしかったのと同時に、やはり本当にたくさんのファンの方がいる作品ですから。自分もいちファンですし、それこそ25年ぶりに劇場版が復活するということで、楽しみにしてくれているファンの方もたくさんいらっしゃるので、プレッシャーもすごく感じましたし、不安もすごくあったんですけれど、アフレコで監督さんにいろいろと指導していただきながら、録り終えたので、何とかホッとしている感じではあるんですが。ただ、劇場で公開されていから皆さんの声を聞くまでは、まだ安心できないところではあります。
菜々緒:もちろん。大好きな作品なんですけど、細かい部分はやっぱり忘れちゃっていて。子どもの頃って、かわいいとか、かっこいいとか、頑張れと応援するような感じで見ていたと思うんです。もしくはセーラー戦士のまねをするために、彼女たちの特徴を見たりとか。幼い頃はどちらかといえばキャラクター重視で、ストーリーは別物みたいな感じで見ていた部分があったと思うんですが、今回のアフレコに挑むにあたり、まず最初に思ったのは、原作を読んだり、アニメのDVDを見返さなきゃ、ということでした。
菜々緒:大人になっても楽しめる作品だなと思いました。「最大の敵は自分だ」とか、セリフもものすごく深くて。戦うという意味では、敵のネヘレニアみたいな存在ももちろん必要なんですけど、それ以前にやはり自分との戦いがすごく大事なんだ、と。各戦士が自分自身と戦うシーンがあるんですけど、確かにそうだよなと。そういったところが描かれているのは、大人になってもハッとさせられましたし、全然違う見方ができましたね。
悪役をオファーしていただけるとうれしい
菜々緒:私は昔から1人で行動することが多かったので。共同作業がすごい苦手だったんですよね。でも今、こういう仕事に就いてみて、本当にひとりの力では成し遂げられないんだなということを実感しています。そういう意味では、大人になってから見るとさらに、周りにいて支えてくれる人たちだったり、一緒に戦う人たちがすごく大事なんだ、ということがよく分かる。セーラームーンは、大人になってからの方がめちゃくちゃ刺さります。
菜々緒:仕事の時も、こういう取材の時も、すべてのことにおいてそうなんですけど、何かを見返したり、予習・復習みたいなことをしていかないと割と不安に思ってしまうタイプなんです。プライベートでも、明日の用意は前日にすべて準備しておきたいタイプで。それはもう性格なんですかね。完璧主義者というわけではないんですけど、準備を忘れた時のダメージが結構ひどいので。けっこうすべてにおいて、前々から準備をしたりとかすることは多いんです。時には準備しすぎるのもよくないのかなと思う時もあるんですけど、それを不安に思って臨むよりは、自分がリラックスした状態で臨める方がいいんで。そういう意味では、準備をすることが多いですね。
菜々緒:殺人鬼をやった後に警察の役をオファーしていただけたりもして(笑)。やはり見ている方たちに響いたという実感があるとうれしいですし、それを活力にしてまた次、頑張ろうと思えます。
菜々緒:やはり浮き沈みの激しい世界ですからね。ひとつの作品が、また次につながったからこそ、違う役もオファーしていただけるようになったのかなと感じています。でも、悪役に関しては、オファーしていただけると一番うれしいんですよ。それこそ自分がやってきたことを評価してもらえているんだなということにもつながりますし、悪役じゃない作品が情報解禁になった時に「悪役じゃないんですか……」と残念がる人もいらっしゃいますし。そういう反応が来るとすごく面白いなと思いますし、自分がやる悪役をすごく待ち遠しく思ってくれている方が大勢いるというのは、私の中ですごく励みになります。それは今回の作品もそうだと思うんです。私はセーラームーン世代なのですが、その世代じゃない、小さい子どもたちがこれを観て、勇気や感動をもらって、『美少女戦士セーラームーン』のファンになってくれたらうれしいなと思っています。
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(text:壬生智裕/photo:小川拓洋)
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