『SNS-少女たちの10日間-』出演者インタビュー
12歳の女の子がSNSで“友だち募集”……警察を動かした前代未聞の問題作
出演に一瞬の迷いもなかった。真剣に議論し、対処する必要がある
12歳の女の子がSNSで“友だち募集”したら……インターネットやSNS上で現代の子どもたちが晒されている危険をありのままに映し出し、本国チェコでドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録した『SNS-少女たちの10日間-』が4月23日より全国公開される。
撮影スタジオに設置されたのは3つの子ども部屋。そこに幼い顔立ちの女優(実年齢は18歳以上)3人が集められ、12歳のフリをしてアカウントを作成。SNSで“友だち募集”し、10日間その様子を撮影するという前代未聞のリアリティショー。用意されたPCを使い彼女たちが投稿を始めると、成人男性が次々とコンタクト、ビデオ通話で性的な誘いを仕掛けてきた。撮影されているとも知らず、未成年に対する容赦ない行動はエスカレート、チェコの警察を動かす事態となった。
オーディションで選ばれ本作に参加した3人の女優が、本作の意義、そして撮影を終えて感じたことを率直に語ってくれた。
・“12歳”少女に2458人のオオカミたちが群がる衝撃!『SNS-少女たちの10日間-』予告編
テレザ:本作のテーマを知る前は、インターネットでの児童虐待の問題がどれほど大きいのかまったく知りませんでした。多くの人も同じだと思います。実は私が12歳の時に同じような事態に遭遇したことがあったのですが、最近ではもっと保護されているだろうと思っていたので、ずっと私だけのことだと思っていました。しかし、現実はまったく逆でした。だから私はこの作品に関わることに一瞬の迷いもありませんでした。みんなで真剣に議論し、対処する必要がある問題だと思っています。
アネジュカ:私は映画で演技をしてみたかったのでオーディションに行きました。このオーディションの唯一の条件は、私がずっと悩んでいた「幼く見える」ということでした。多くの人からどうしてそんなに小さいのと思春期に聞かれましたが、なんとも答えられませんでした。この悩みが今回、意義ある形で生かせられると思いました。ただ当時、私はこの映画が何をしようとしているのかまったく見当がつきませんでした。今、こうして上映会に来た子どもたちでいっぱいの映画館を見ると、とても嬉しく思います。こうして彼らとこの問題について話し合ったり、さらには助けることができればいいなと思っています。
サビナ:必ず参加します。このテーマについてはもっと話し合う必要があるからです。インターネットで何かを投稿すると永遠に存在し続ける。これを12歳の子どもたちに気付いてもらうことはとても重要です。
テレザ:これまでの人生で最も大変な仕事でした。毎日、明日はこれ以上ひどいことは起こらないと自分に言い聞かせました。ところが毎日、それが間違いだったと気付かされるのです。同時に、今まで私が関わってきた仕事の中で一番意義ある仕事だったとも思っています。私にとてつもなく大切なものを与えてくれ、意義あることをするということが真の満足感を与えてくれるということを知りました。しかも一瞬で!
アネジュカ:二度と体験したくないと思っています。でも、オーディションでの私の決断もまた、覆らないだろうとも思います。
アネジュカ:確かに映画の手法が行き過ぎだと思う人もいますが、恐怖心からこの映画を見逃してしまうようなことがなければいいなと思います。嫌だと思ったらいつでも見るのをやめることはできますので、ぜひトライしてみてください。悪に立ち向かうためには、まず敵を知らなくてはいけません。
テレザ:テーマを恐れず、まずは見てみることをお勧めします。深刻なテーマにも関わらず、非常に繊細にできています。正直、私も少し怖かったです。なんといっても私が 6ヵ月かけて生きてきた役柄のすべてであり、そんなに簡単なことではなかったので。でも、完成した映画を見て何度も大声で笑いました。
サビナ:Skypeでの最初の通話でしたね。どう対応すればいいのかまったく分からなかったので。
テレザ:難しい質問です。なぜなら答える度に、それ以外のことを思い出すからです。大変な瞬間がいくつもあり、それぞれ違った意味で大変でした。例えば、画像ソフトで偽造した私の偽ヌード写真を、ある男性が一般に公開するぞと脅迫した時でした。その瞬間は、それが本当の私自身の身体じゃないとは、まったく頭にありませんでした。そんな馬鹿げた男性と、思わず失笑しそうになる出来事を音声通話していたので、メンタルが崩れそうでしたね。本当にあまりにもたくさんの嫌な出来事の連続で、説明するのが難しいです。
アネジュカ:私はそれほどひどい事は何も経験しませんでした。限界の瞬間が来るまでの間は。 その限界点というのも、何かの出来事というわけではなく、あちこちでこのような子どもに対する性的虐待が行われていると実感した瞬間でした。あの1週間で、今まで気にしたこともなかった世の中のそのような情報に目が向くようになったのです。マイケル・ジャクソンから性的虐待を受けたという成人男性のドキュメンタリーや、教会で性的虐待を受けたという少女たちの告発など、あらゆる事を知り、絶望に陥りました。あたかもすべての男性が虐待者で、すべての子供たちが虐待を受けているのではと思ってしまうほどでした。
テレザ:親からの絶対的なサポートがあり、それに頼ることができるということを子どもたちが知ることが重要です。何でも打ち明けることができますし、一人で隠し通そうとしないことです。映画を見るとわかるように、私も実際に体験しましたが、自分の意志とは関係なく容易に巻き込まれますから。誰一人として私たちからはコンタクトを取りませんでした。彼らとやり取りする際、何を書いていいか、何を話すべきではないのかなど、私たちは厳格なルールに従っていました。それでも信じがたい状況に陥ったのです。
子どもたちがSNSで何をしているのかということを、親が知ることが重要です。わたしが言っているのは、厳格に管理すべきということではなく、もっと寄り添う形で知るべきだということです。子供たちがネットで何を知りたいのか、共有のアカウントを立ち上げたりしても良いかも。コミュニケーションと信頼が非常に重要なのです。思春期の子どもたちは特に自分たちの変化する体や、セクシュアリティなど数えきれないほどの疑問を抱えています。このような疑問はまったく知らない他人に相談するより、自分のことを知る身近な人にオープンに聞くべきであり、そのような話題をタブー視しないことが重要です。また、インターネット自体が落とし穴や罠だらけの厄介なメディアだということではなく、きちんと安全なルールをもつことが重要だと思います。
サビナ:親が子どもと一緒にこの映画を見ることを勧めます。映画を見終わった後、この映画について話し合うことができるでしょう。また、親が子どもをSNSから締め出したり、インターネットが悪だとは言ってほしくはありません。それは真実ではないからです。インターネットは刺激的で素晴らしいメディアですから。
※映画の内容を鑑み、出演者のプロフィール、個人名などの情報は開示しておりません。
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