1985年、イギリス・ロンドン出身。2005年、『プライドと偏見』で映画デビュー。2009年、『17歳の肖像』に主演してブレイク。英国アカデミー賞(BAFTA)主演女優賞受賞他、数々の映画賞で主演女優賞にノミネートされる。2011年に出演した『ドライヴ』で英国アカデミー賞助演女優賞ノミネート。2018年、『ワイルドライフ』の演技が絶賛され、インディペンデント・スピリット賞など多数の映画賞で主演女優賞にノミネートを果たした。その他の主演作に、BBCとNetflixが共同製作した『コラテラル 真実の行方』(18年)、Netflixオリジナル映画『マッドバウンド 哀しき友情』(17年)、『未来を花束にして』(15年)、『わたしを離さないで』(10年)などがある。『プロミシング・ヤング・ウーマン』で“キャリア最高の演技”と絶賛され、アカデミー賞主演女優賞の候補にもなった。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』キャリー・マリガン インタビュー
未来を狂わされた女性の過激な復讐劇と地獄の悪夢…話題沸騰のリベンジスリラー
自分以外の俳優がキャシーを演じると思うと、不安と怒りがこみ上げてきた
昨年度の賞レースを賑わせ、その内容から賛否両論を巻き起こした話題の映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』が7月16日より公開を迎える。
30歳を目前にしたキャシーは、ある事件によって医大を中退し、カフェの店員として平凡な毎日を送っている。その一方、夜ごとバーで泥酔したフリをして、近づいてきた男性たちにある“裁き”を下していた。ある日、大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアンがカフェを訪れる。この偶然の再会がキャシーに恋ごころを目覚めさせ、同時に彼女を地獄のような悪夢へと連れ戻すことになる……。
プロミシング・ヤング・ウーマン=“前途有望な若い女性”の未来を狂わせたある事件とは? スリリングな復讐劇と甘いラブストーリーを並行して描く、エメラルド・フェネル監督による秀逸な脚本に惚れ込み、出演を熱望した主演のキャリー・マリガンにインタビュー。
マリガン:私はロマンティックコメディであり、悲劇、スリラー、そしてユーモアのある作品だと説明して楽しんでますね。確かに本作はいろいろな方向に進んでいく。今までにこんな脚本は読んだことがなかった。だからこそ、出演したいとすぐに思いました。
本作を観れば、数え切れないほどの感情を味わうことができます。ストーリーを複雑に展開させつつ、そのすべてをうまくまとめ、唯一無二な作品をつくることができるのは、エメラルド(・フェネル監督)だけだと心から思います。
マリガン:私はいつも、他の人がその役を演じるのを想像して納得できれば、自分は演じません。でも今回は、自分以外の俳優がキャシーを演じると思うと不安と怒りがこみ上げてきました。
心の中では「どうやってこの役を演じればいいの?」という不安もありましたが、エメラルドに会うことで「ああ、なるほど、こういうことか」と納得できたんです。その後、10分もしないうちに「これをやると叱られるから25歳以降はしてないんだけど……この役を演じたいと本当に思ってる。でもエージェントにはまだ話してないの」と言いました。私はエメラルドの気が変わる前にどうしても契約を結びたかったんです。
キャシーは事件を過去のものにすることを拒み、先へ進むことができない
マリガン:そうですね。彼女はある時期から抜け出せないのだと思います。ある事件が起きたことで彼女の人生は狂ってしまった。彼女はその事件を過去のものにすることを拒み、先へ進むことができないのです。これはキャシーにとっての生存戦略であり、彼女の身に何が起こり、人生がどう変化したのかを整理するための、彼女なりのやり方なんです。彼女はとても変わっていて、予想不可能で、時に好ましくないこともしますが、本当は良い人なのだと思います。
マリガン:彼らはすごく前向きでしたよ。本作に出演する男性たちは皆とても愉快で、撮影が1日しかなかったことをずっと残念に思っていたくらい。本当にステキで、楽しい人たちばかり。彼らは本作のことをすべて理解し、とにかく繊細に、そして完璧に演じてました。私たちがどのように本作に向き合っているかを、ちゃんと分かっていたので、彼らも真剣でした。ただ面白いだけでなく、不快な要素も持つ難役を受け入れ、自らに落とし込んでいた。彼らはエメラルドを信用していました。悪者、あのシーンでは「弱い悪者」を演じるのは簡単なことではありません。カッコいい男性を演じるのは簡単だけど、弱い人間を演じるのは難しい。あのシーンでは、彼らの弱さを強く表に出しています。見事な演技でしたよね?本当に素晴らしかったです。
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