東京の土地に眠る忘れられた人々の想いがよみがえる幻想譚
インド国際映画祭コンペティション部門で最高賞を受賞した金子雅和監督の幻想譚『リング・ワンダリング』が、2022年2月19日より劇場公開されることが決定。同作の予告編が公開された。
・『ドラゴン桜』でクセある国語教師を演じた安田顕、こんどは厳格な写真館の館主に!
漫画家を目指す草介は、絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく形にできず前に進めない。そんなある日、バイト先の工事現場で逃げ出した犬を探す不思議な娘ミドリと出会う。草介は、転倒しケガをしたミドリを彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた…。草介はミドリとその家族との出会いを通じて、その土地で過去に起きたことを知ることになる。東京の土地に眠る、忘れられた人々の想いがよみがえる幻想譚である。
初長編監督作『アルビノの木』(16年)が海外映画祭で20の賞を獲得し注目された金子雅監督。自然と人間の関係性を描いてきた監督が、はじめて東京を舞台に町や人々の記憶と対峙した。美術監督は『Shall we ダンス?』(96年)で日本アカデミー賞最優秀美術賞受賞の部谷京子、劇中漫画は水で書き、そこに墨を落とす技法が特徴で、『花筐/HANAGATAMI』(17年)の宣伝ビジュアル画を担当した森泉岳土が務め、現実と幻想が入り交ざる世界観を作り上げた。
主人公・草介を演じる笠松将は、ドラマ『君と世界が終わる日に』やNetflix『全裸監督 シーズン2』など話題作への出演が続く若手俳優。地に足がつかず漠然とした不安を抱える現代の若者のリアルを、絶妙なバランスで演じている。ミドリと梢の2役を演じる阿部純子は海外作品にも多数出演する国際派。本作では、幻想世界のヒロインの神秘性を体現した。他、主演映画が相次ぐ安田顕、金子監督の初長編『アルビノの木』でも存在感を放った長谷川初範、日本映画界に欠かせない片岡礼子らが脇を固める。
今回解禁された予告編では、漫画家を目指す主人公・草介(笠松)が絶滅したニホンオオカミが描けず悩む様子から始まり、逃げた飼い犬を探す、不思議な娘ミドリ(阿部)との出会い、その家族(安田、片岡)との交流が切り取られている。草介が描く明治時代の漫画の一幕も映し出され、過去と現在がどのように交錯しする展開となるのか、期待感を煽る仕上がりとなった。
本ビジュアルは、劇中漫画の作画を担当する漫画家の森泉岳土が手がけたオオカミのイラストレーションとともに、生い茂るススキの中に佇む草介の姿が映し出され、「迷い込み、巡り会う」のキャッチコピーとあいまって、幻想世界へといざなうものとなっている。
また、本作は第37回ワルシャワ映画祭でのエキュメニカル賞スペシャル・メンション授与、第22回東京フィルメックスのメイド・イン・ジャパン部門での上映に続き、11月20日からインドのゴア州で開催された第52回インド国際映画祭コンペティション部門に選出され、最高賞である金孔雀賞を受賞する快挙を果たした。日本映画の受賞は、『あにいもうと』(76年)や『鉄道員』(99年)についで、本作が史上3番目となる。
『リング・ワンダリング』は2022年2月19日より全国順次公開。
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