ジョン・ウォーターズ、カイエ・デュ・シネマが絶賛する変奏歴史劇
フランスの鬼才、ブリュノ・デュモンのジャンヌ・ダルク2部作『ジャネット』『ジャンヌ』が12月11日より全国順次公開となる。それに合わせてデュモン監督からの日本の観客へのメッセージと『ジャネット』『ジャンヌ』本編映像の一部が公開された。
・『ジャネット』『ジャンヌ』ブリュノ・デュモン監督インタビュー
ジャンヌ・ダルク──。カトリックの聖女。あるいは魔女。神の恩寵を受け祖国を救う愛国的英雄。民衆を鼓舞する革命の偶像。異端審問の末に火炙りにされた男装の女騎士。フランス国民劇の受難のヒロイン。
疫病と戦争の最中にあった15世紀初頭のフランスに実在した少女の物語は、芸術と娯楽の様々な領域で幾度も題材にされた。メリエス、ドライヤー、デミル、フレミング、プレミンジャー、ロッセリーニ、ブレッソン、リヴェット、ベッソン……歴々たる映画作家たちが、この「歴史劇」の古典に取り組んでいる。
メロドラマとして、社会風刺劇として、スリル満点のスペクタクルとして、恐れ慄くような美/崇高に迫る実験作として。フランスやハリウッドで、翻案やパロディも含めれば世界中で、時代の折々に作られてきた「ジャンヌ・ダルク映画」。その最新の変奏が『ジャネット』と『ジャンヌ』である。
監督は、現代フランス映画において一筋縄ではいかない挑発的な作品『ユマニテ』(99年)『フランドル』(06年)などを発表してきた鬼才、ブリュノ・デュモン。両作品でジャンヌ・ダルクを演じたのは、ロケ地周辺で出会った演技経験のない新星リーズ・ルプラ・プリュドム。『ジャネット』撮影時はわずか8歳で、幼い頃の無垢なジャンヌを歌や踊りを駆使し見事に体現し、『ジャンヌ』では、まっすぐな眼差しと力強い言葉で、「雄弁な」男たちを喝破していく姿を見せた。
『ジャネット』は、カルト映画の巨匠でシネフィルとしても知られるジョン・ウォーターズ監督の18年ベスト1、仏の映画誌カイエ・デュ・シネマの17年ベスト2に選出された。日本ではカイエ・デュ・シネマ週間で『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』のタイトルで上映され話題を呼んだ。
続く『ジャンヌ』も、ジョン・ウォーターズの19年ベスト2、カイエ・デュ・シネマの19年ベスト5に選出。さらにフランソワ・オゾンやアルノー・デプレシャンの作品とともにルイ・デリュック賞にノミネートされ、見事作品賞を受賞した。
今回公開された動画では、デュモン監督が日本の観客に向けて「現代の私たちにも響く美しい物語です。(中略)映画の軽快なリズムに身を任せるうちに深遠なテーマにごく自然に触れることになるでしょう」と語る。
さらに『ジャネット』からは、飢えた幼い兄弟にジャネットがパンを分け与えるシーンを公開。子どもたちがIgorrrの軽快で激しい楽曲に合わせて踊る愛らしい場面だ。
一方、『ジャンヌ』からは、ジャンヌがまっすぐな眼差しで、異端審問官たちに立ち向うシーンが切り取られた。小さなジャンヌの力強い言葉に審問官たちがむきになる様子が滑稽だ。
『ジャネット』『ジャンヌ』は12月11日より全国順次公開。
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