昨年惜しくも他界…『ノッティングヒルの恋人』ロジャー・ミッシェル監督インタビュー映像公開

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(C) PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

名優ジム・ブロードベント×ヘレン・ミレン共演の『ゴヤの名画と優しい泥棒』が、225日より全国公開される。今回、本作品が長編遺作となったロジャー・ミッシェル監督の生前の貴重なインタビュー映像が公開された。

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多くのファンを魅了したミッシェル監督「きっと笑って見てもらえるよ」

1961年にロンドン・ナショナル・ギャラリーで実際に起きたゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件の知られざる真相を描いた本作品。事件の犯人ケンプトン・バントンは、テレビに社会との繋がりを求めていた時代に、孤独な高齢者の生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が……。

これまで『ノッティングヒルの恋人』(99年)、『恋とニュースのつくり方』(10年)、『私が愛した大統領』(12年)、『ウィークエンドはパリで』(13年)、『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(21年)など多くの話題作を手掛け、日本では6月にエリザベス女王のドキュメンタリー『エリザベス 女王陛下の微笑み』の公開を控えているミッシェル監督。テンポの良いウェルメイドな作風で、多くの映画ファンを魅了してきたが、昨年21年9月に65歳の若さで惜しまれながら他界した。

今回届いたインタビュー映像では、まず本作品が実話であることに触れ、「“実話に基づく物語”という注釈がなければ、荒唐無稽な話だと思うよ。でも実話だし引き込まれる」とコメント。脚本を読んで「イーリング・コメディみたいだと思ったね。60年代初頭のファミリー映画の偉大な作品をも彷彿させた」と話すミッシェル監督は、「ドタバタとも茶番劇とも違う。軽妙なコメディー作品で、ペーソスとドラマがあるが、笑えるところもある。脚本のクライブとリチャードは、面白さと事実を兼ね合わせた、すばらしい仕事をしてくれた」とその魅力を語り、脚本家へ賛辞を贈った。

主人公ケンプトンについては、「英雄と呼べる人間じゃない」「清廉潔白じゃない。でも憎めない男だ」と述べ、「ケンプトンは不朽の活動家だと思うね。ああいった人物はどの世界でも必要なんだ。常に権力に立ち向かって、全てに疑問を投げかける人間がね」と説明。また、ケンプトンを演じたジム・ブロードベントについては「笑えて愛嬌があり、おかしくて存在感もあり、リアリティもある。見事にハマっている。最高の演技じゃないかな」と絶賛した。

本作品ではケンプトンの妻・ドロシー役を演じ、『クィーン』(07年)での英国女王から一転、家政婦としてエプロン姿も披露したヘレン・ミレンへも言及。「ヘレンの変貌ぶりには私も驚いた。エリザベス女王やエカテリーナ2世の彼女が演じたんだからね。着ぶくれさせて、歩き方も話し合った。打ちのめされたボクサーのように猫背になって、両腕を垂らしてみた。特殊メイクも話し合ったが彼女は効果には否定的だった。間違いなく見た人は、彼女の姿に驚くだろうね」とミレンの変貌ぶりを明かした。

 そして最後に「きっと笑って見てもらえるよ。気分が高揚して楽しめる。イギリス人好みの映画だから、見終わると笑顔になってるよ」とコメントを遺している。ミッシェル監督の人柄が伝わってくるようなインタビュー映像を見て、ぜひ本編も楽しんでみてはいかがだろうか。

『ゴヤの名画と優しい泥棒』は、225日より全国公開される。