円卓の騎士ランスロの不義の恋が招く、騎士道精神の崩壊
ロベール・ブレッソンの日本未公開だった傑作『湖のランスロ』『たぶん悪魔が』が、3月11日より全国順次公開される。これに先駆けて2作品共通の予告編が完成した。
・騎士道精神の崩壊と虚無に憑かれた若者の死! ロベール・ブレッソンの異色作を日本初公開
『抵抗(レジスタンス)―死刑囚の手記より』(56年)『スリ』(59年)『やさしい女』(69年)などで知られるフランスの映画監督、ロベール・ブレッソン。高い評価を受けながらも日本では特集上映などを除き劇場未公開だった彼の幻の傑作2本が劇場公開される。
カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞の『湖のランスロ』は、中世のアーサー(アルテュス)王伝説に登場する王妃グニエーヴルと円卓の騎士ランスロの不義の恋を中心に、騎士道精神が崩壊していく様を現代的視点で描いた時代劇だ。
もう一方の『たぶん悪魔が』はベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)受賞。環境破壊が進み、社会通念が激変しつつある中で、当時のニュース映像などを挟みながらひとりの若者の死を見つめる終末論的な作品である。
今回公開された予告編は「孤高の監督 幻の傑作 日本劇場初公開」のテロップの後に、甲冑と刃が合わさる乾いた音や馬の蹄の音など無機質な音が異様な迫力を放つ『湖のランスロ』で幕を開ける。王妃との不義の関係にあり「愛しています」と告げるランスロと「信じています、でも証拠は?」と言い放つ王妃。ふたりが手を取り合って森を歩いていくと場面が変わり、今度は木々が切り倒されている。
その音に耳を塞いでいるのは、『たぶん悪魔が』の主人公シャルルだ。重厚なパイプオルガンの音色と共にシャルル含む4人の若者たちが画面に登場する。知識人であり、討論会に顔を出している彼らも各々悩みに囚われているようだ。「人間性を笑うのは誰だ 糸を引いているのは? たぶん悪魔だ!」という本作品のタイトルの所以でもあるバス車内でのやりとり、銃から弾丸を取り出すショットが挟み込まれ、深い虚無と忍び寄る死の予感を感じさせる予告編となっている。
『湖のランスロ』『たぶん悪魔が』は3月11日より全国順次公開される。
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