サリー・ポッター監督の実体験に基づく問題作!
第70回ベルリン映画祭コンペ部門に出品、サリー・ポッター監督最新作『選ばなかったみち』が2月25日より公開。この度、幻想を巡る本編映像が公開された。
・エル・ファニング、ハビエル・バルデムと父娘に。記憶を繋ぎ人生の奥深さに迫る感動の問題作/映画『選ばなかったみち』予告編
本作品が描くのは、ニューヨークのアパートにひとりで暮らす父レオ(ハビエル・バルデム)を娘モリー(エル・ファニング)が病院へ連れていくために彼を訪ねるある朝から始まる24時間。若年性認知症を患うレオが幻想として見る自身がかつて選ばなかった人生と、モリーが直面する厳しい現実が交錯しながら進んでいく。
この本編シーンは、もうろうとするレオが部屋の向こうを見ていることに気付いたモリーが、父に語りかける様子を捉えたもの。
大粒の涙を流すレオの視線の先には、家族でかつて飼っていた犬の写真が飾られていた。それを見ているように見えるレオが実際に見ているのは、かつて初恋の女性と出会った故郷メキシコでの幻想だった。
彼に語りかけるのは、その女性ドロレス(サルマ・ハエック)。ドロレスとレオは同じ大きな心の傷を抱えており、ドロレスは“死者の日”を迎え、ふたりで墓地へ行くことを切望していた。しかし、迷信だと考えるレオはその願いをまともに取り合おうとしない。続けて、ニューヨークの自宅のベッドにいるレオがドロレスの名前を口にする姿を捉えるが、モリーにはそれが誰なのか分からず、「誰なの?昔の知り合い?」と尋ねる。
モリーは父が見ているものを理解できないがそれでも、この24時間を通して誰よりも父の立場に寄り添い、彼が見ている世界を理解したいと願い続ける。同じ場所にいながら全く異なる光景を見ている2人が、長い1日を経て辿り着くのはどんな光景なのか──?
サリー監督は、「このストーリーは、若年性認知症を患った弟の傍らにいた時に感じたことをもとにしています。彼の目をのぞき込むと、どこか別のところへ行き、心の奥では何かを体験しているようでした。別の現実へ自由に出入りする能力を持っているのではないかと思えました。その頃に見たことがどんなものだったのかを改めて考え直していた時に、ひとつのストーリーとして形にしたいと思うようになりました。心の病気を悲劇として描くのではなく、違った視点で描ければという思いがあったんです」と思いを明かす。
レオを演じたハビエル・バルデムと父娘という関係の築き方について、エル・ファニングは「この役をリアルにするためには2人の絆が大事だと思った。私たちはオープンで緊張感のある関係を模索したの」「ハビエルと私は、自分たちのシーンに関して前もってそれほどたくさん話すことを望まなかった。モリーとレオの関係はかけがえのない繊細なものだからこそ、普段やるほどのリハーサルもしていない。私がしなければならなかったことの多くがハビエルへの反応で、モリーがその瞬間に感じることは何かと考えていたの」と振り返っている。
映画『選ばなかったみち』は、2月25日より公開。
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