中国の囚人、収容所から逃走…その理由は「娘が1秒だけ映る映画を見るため」?

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チャン・イーモウ監督の最新作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』が、5月20日より全国公開される。今回、日本版予告編が公開された。

・映画『愛しの故郷(ふるさと)』予告編

チャン・イーモウ監督が贈る「映画を愛する全ての人に捧げる作品」

2021年トロント国際映画祭に正式出品され話題となった本作品は、監督自身長年映画化を熱望していた企画であり、その全体にあたたかく流れるのは、チャン・イーモウ監督の確かな”映画への愛”。かつて手掛けた名作『初恋のきた道』(00年)や『妻への家路』(15年)のようなエモーショナルな人間ドラマであり、全ての“映画”へのオマージュを感じさせる。

主人公の逃亡者を演じるのは『最愛の子』(16年)、『山河ノスタルジア』(16年)などで人気を博すチャン・イー。主演に抜擢された18年公開の『オペレーション:レッド・シー』は、国内でその年のNo1ヒットを記録、名実共に大スターの仲間入りを果たした。

そしてチャン・イー演じる逃亡者と出会い奇妙な絆で結ばれていく孤児の少女・リウの娘を演じるのは、本作が記念すべきデビュー作となるフレッシュな若手俳優リウ・ハオツン。『初恋のきた道』のチャン・ツィイーを彷彿とさせる可憐な美少女は、早くも“イー・モウガール”と呼ばれ、次世代を担う新星として国内外から熱い注目を浴びている。

さらに小さな村の映画館を仕切り、人々から尊敬の念を集める人格者・ファン電影には、『道士下山』(15年)や金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞した『MR.NO PROBLEM』(16年)などで知られるファン・ウェイ。時代の波に翻弄されながらも、映画をこよなく愛する魅力的なキャラクターを味わい深く演じてみせた。

今回公開となった日本版予告編は、「映画を愛する全ての人に捧げる作品だ」というチャン・イーモウ監督の言葉から始まり、「映画は終わったのか? 次はどこで見れる?」と尋ね、慌てて広大な砂漠の中を黙々と進む男の姿が映し出される。たどり着いた村では、村人総出で映画が来るのを心待ちにしており、「映画の上映は、この辺りじゃ一大事だ。数ヵ月に一度の夜を、皆心待ちにしてる」と映画館の責任者・ファン。

しかし運搬途中の不手際で、膨大な量のフィルムがむき出しで地面にばらまかれ汚れてしまい、上映不可能に。その傍らで「俺の娘が出てる」と22号のニュースフィルムの缶を手に取る男。実はそこに1秒映っているという娘の姿を見るために収容所から逃亡した囚人だった。

一方、男はそのフィルム缶を盗もうとした小汚い子どもを捕まえる。名を問うが「ないよ。親がいないから」という少女は幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとしていた。そしてファン電影は、男や村人と共にフィルムを手洗いで洗浄し上映にむけて奔走する。文化大革命の混沌とした時代にあった中国で、映画に熱狂する市井の人々、そしてフィルムを巡る様々な切なる思いが描かれ、観客に改めて映画の持つ力を問いかけるだろう。まさにチャン・イーモウ監督の映画への愛と希望あふれる本作品への期待が高まる予告編となっている。

全ての映画好きの胸を熱くさせる本作、劇場で見られる日を楽しみにしよう。

『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』は5月20日より全国公開される。