『林檎とポラロイド』本編映像公開
第77回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門オープニング作品に選出され、ケイト・ブランシェットがエグゼクティブ・プロデューサーを買って出たクリストス・ニク監督のデビュー作『林檎とポラロイド』。3月11日の公開を控え、インテリアとファッションに見惚れる本編映像が公開された。
・自転車に乗る、ホラー映画を見る…記憶喪失を引き起こす奇病の治療法
公開された本編映像は、男が「新しい自分」プログラムに参加の間の仮住まいとして与えられた部屋の中でのワンシーン。
部屋まで案内をしてくれた医師が行ってしまうと、男は早速ルームツアーを開始する。
まずはキッチン。用意されたフルーツ篭にはオレンジが山積みだが、大好きな林檎はないようだ。
続いて寝室。ベッドのマットレスの具合や、ライトのスイッチの位置、サイドテーブルのポラロイドカメラとアルバム、さらには用意されたクローゼットの中身も念入りにチェックする。
男の几帳面な性格がうかがえるが、同時に、仮住まいとはいえ、ひとつひとつの家具や小物も洗練されていることに気づく。
家全体の色彩が統一されており、キッチンではオレンジ、寝室ではアルバムの黄色い色味が暖色に統一された照明に映え、部屋のポイントとなっている。リラックスしたムード漂う照明は基本的に間接照明だがバリエーションに富む。
男のファッションにも注目したい。
飾り気のないシンプルな恰好だが、長身を活かしたロングジャケットとハイネックの合わせが印象深く、カラーも、ダークトーンながらモノトーンでもなく、インナーはダークグレーだ。
全体としてペールトーンで統一され、数年前からファッション業界を中心に注目されている「エフォートレス=気取らない(抜け感・こなれ感)」という言葉がぴったりのスタイルで、ニク監督のセンスが光る。
新しい思い出作りが過去を紐解いていく
本作品は、記憶喪失を引き起こす奇病に感染した男の物語。
バスの中で目覚めた男は、記憶を失っており、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加する。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、新たな経験をポラロイドに記録する──。
するとある日、男は同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。「新しい日常」に慣れてきた頃、男は以前住んでいた番地をふと口にする……。
新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。
『林檎とポラロイド』は3月11日に公開される。
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