不確かな「理想の家族」のあり方、コロナ渦で見失った生きることの意味を問う小編2作が劇場公開

#Kay#コロナ#七瀬可梨#小沢和義#洞口依子#清水尚弥#片岡礼子#終点は海#鯨岡弘識

(C) Raita Nakashima's Cinema

鯨岡弘識監督が手がけた映画『Kay』および『終点は海』が、「映画は仄かなる、たいまつ」と題して49日より下北沢トリウッドにて公開される。今回、予告編が公開された。

・50年前のアイルランドで“ロックダウン”経験? パンデミックの時代を生きる私たちに監督が伝えたい思いとは

コロナ禍で不安や孤独が深まる世の中に「たいまつ」を灯すような小編作品

今回上映される2作品は、コロナ禍直前に撮影され、国際映画祭で30以上のアワード受賞を成し遂げた『Kay』と、コロナ渦中に撮影され鏡像的に作られた挑戦作『終点は海』。メガホンを取ったのは新鋭の監督・鯨岡弘識だ。小規模ながら、リハーサル・設定を綿密に構築する作風で、濃厚な2作品が完成した。

Kay』は、景気に翻弄され雑草のように生きた父・太一と、離別した娘・ケイとの小さな物語。成人祝いの居酒屋で太一との心の距離感が縮められぬケイがいた。そして太一の突然の死。そこからケイなりの父親探しが始まる。遺品のエレキ・ギターを背に思い出の居酒屋に立ち寄ったケイは時空を超え、太一というひとつの人生に向き合い、やがて太一のある言葉が、親子関係を超え、一人で生きる「種」となり立ちあらわれる。不確かな「理想の家族」のあり方、コロナ渦で見失った生きることの意味を、強靭な魂で問う作品。

『終点は海』は、5年前に喧嘩別れし、突然消息を絶った息子・レンが母・明子のもとにふらりとあらわれる。その月日、明子の生活は彩りを失い、病と貧しさを抱え、孤独を抱えていた。二人の葛藤の深い淵を埋めようと、レンは明子を「終点」となる海へ連れ出す。寒風吹きすさぶ季節はずれの海辺に焚かれた焔が、母と子の永遠の離別を照らしだす。あえて43の画角で切り取った、二人の心象風景から見えるものは何か…もの静かで力強い映像の言葉が満ちた作品となっている。

Kay』には秦基博のMVなどに出演し、本作が映画初出演となる七瀬可梨。さらに、小沢和義と片岡礼子が共演。『終点は海』では黒沢清監督作や伊丹十三監督作に出演する洞口依子と『ちはやふる上の句』(16年)の清水尚弥が共演し、それぞれ親子という題材を軸にベテラン俳優と若手注目株が熱演する。

映画の余白に描かれる、親子の関係性や思いが予告編からも伝わってくる。鯨岡弘識監督の世界にどっぷりと浸かれる上映にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

Kay』、『終点は海』は49日より下北沢トリウッドにて公開。

INTERVIEW