富裕層の結婚パーティーに暴徒乱入! 華やかな宴が一転、殺戮と略奪の地獄絵図に

#ヴェネツィア国際映画祭#ディストピア#ニューオーダー#ミシェル・フランコ#メキシコ映画

(C) 2020 Lo que algunos soñaron S.A. de C.V., Les Films d’Ici

ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞など2冠を受賞しながらも激しい賛否両論

メキシコの俊英ミシェル・フランコ監督によるディストピア・スリラー『ニューオーダー』が、6月4日より全国順次公開される。これに先駆けて本作の予告編が解禁された。

・『母という名の女』ミシェル・フランコ監督インタビュー:毒親全開! 母性神話を打ち砕く問題作を語る

夢にまで見た結婚パーティー。マリアンにとって、その日は人生最良の一日になるはずだった。裕福な家庭に生まれ育った彼女を祝うため豪邸に集うのは、着飾った政財界の名士たち。

一方、マリアン宅からほど近い通りでは、広がり続ける貧富の格差に対する抗議運動が、今まさに暴動と化していた。その勢いは爆発的に広がり、遂にはマリアンの家にも暴徒が押し寄せてくる。

運良く難を逃れたマリアンを待ち受けていたのは、軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。電話や通信網は遮断され、ついさっきまで存在していたはずの法と秩序は崩壊、日常が悪夢に変わる。だが、“最悪”はまだ始まったばかりだ。

第77回ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞など2冠を受賞しながらも、各国の映画祭で激しい賛否両論を巻き起こした本作。監督を努めたのは、長編デビュー作から4作品連続でカンヌ国際映画祭に正式出品され、コンペティション部門で脚本賞を含む3冠に輝いてきたメキシコの俊英ミシェル・フランコ。

ごく普通の人間の人生がふとしたきっかけで崩壊の危機に瀕していく様を冷徹な視線で描いてきたフランコは言う。「我々の暮らすメキシコに限らず、世界は極限状態に追い込まれている。まるで日々ディストピアに近づいているようにね。そしてパンデミックによって事態が更に悪化したことで、期せずしてこの作品は時代に即したものになってしまったんだ」

これは広がり続ける経済格差とそれがもたらす社会秩序の崩壊、今まさに我々が直面している危機的状況を描くディストピア・スリラーだ。目を背けたくなる、それでも刮目せねばならない“最悪”のリアリティに、見る者の覚悟が試される86分である。

今回解禁された予告編は、豪邸で行われる結婚パーティーの主役である幸せそうなカップルのダンスシーンから始まる。その後、何かが起こる前触れのように、水道の蛇口をひねると緑色の水が流れると、暴徒たちが豪邸に押し寄せ、パーティーは地獄絵図と化す。畳みかけるようにして、街中での殺戮と略奪の様子が映し出され、思わず目を逸らしたくなるような予告編となっている。

『ニューオーダー』は6月4日より全国順次公開される。

INTERVIEW