近くて遠い国後島。旧ソ連出身の監督が露わにした北方領土の不都合な真実とは?

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北海道からわずか16キロ、かつては約17,000人の日本人が生活していた北方領土

近くて遠いクナシリ、そこはかつて日本だった。ソ連軍に破壊された日本人集落、その痕跡とともに暮らす島民たちを捉えたドキュメンタリー『クナシリ』が、8月3日にDVDリリースされる。今回、本作の予告編が解禁された。

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北海道からわずか16キロに位置し、かつては4島全体で約17,000人の日本人が生活していた北方領土。しかし、戦後の1947年から48年にかけて引揚が行われ、今日本人は1人もおらず、日本政府は問題が解決するまで、日本国民に入域を行わないよう要請している。

戦後76年を経て、現在の国後島の様子をありのままに映し出した本作から見えてきたのは、ロシア人島民の厳しい暮らしぶりや日本に対する本音。幼少期に引揚の様子を目の当たりにした島民の当時を振り返る貴重な証言や、日本・ロシア間の平和条約締結への願い、生活苦を訴える切実な声などを、どちらにも 偏ることなく客観的かつ淡々と捉えている。

両国の主張が膠着状態のまま政治に翻弄されてきた当事者たちの複雑な心境や実際の生活など、これまで我々が知らされることのなかった国後島の“真実”。ロシア連邦保安庁の特別許可と国境警察の通行許可を得て撮影にこぎつけた国後島の現在とは?

世界各国の映画祭で上映された本作は、アメリカやヨーロッパなど当事国以外の国々でも話題を呼び、Traces de Vieドキュメンタリー映画祭2020ではグランプリを受賞している。

ロシアのウクライナ侵攻により日本国民のロシア、北方領土への感心が急激に高まるなか、急遽本作の配信が決定。収益の一部は、ウクライナの人々の人道支援のために、国連UNHCR協会を通じて寄付される。

監督は旧ソ連(現ベラルーシ)出身で名作『炎628』(85年)の助監督を務めたウラジーミル・コズロフ。現在、フランスを拠点に活動する彼の次回作は、根室を舞台にしたドキュメンタリーだという。

『クナシリ』は8月3日にDVDリリースされる。