『太陽を盗んだ男』長谷川和彦監督の姿が重なる…30年映画を撮らなかった映画監督の悲哀描く

#加藤雅也#愚か者のブルース#横山雄二#熊切あさ美#長谷川和彦

(C)2022 by Yokonandes Film

実在の映画監督・長谷川和彦をオマージュしたフィクション『愚か者のブルース』。広島では7月に公開され好評を博した本作が、いよいよ1118日より全国公開されることとなった。

・ピンサロ嬢のヒモが棲みついたストリップ劇場…映画と女を愛した男の末路

伝説と言われた監督は、なぜ30年間映画を撮らないのか?

30年前、伝説の映画を監督したが、今や過去の人となっている男・大根。大根は、ピンサロ嬢として働くタマコのヒモとなり空虚な生活を送っている。

そんなある日、タマコの昔の男が「俺から離れられると思うなよ」と現れる。大根とタマコは大学時代の後輩が館長を務める広島のストリップ劇場に逃げ込んだ。そして二人を温かく迎え入れる館長の計らいで、大根とタマコはストリップ劇場の楽屋に住み込むことになる。二人の人柄に惹かれ、歓楽街に住まう仲間たちも歓迎ムード。温かく満ち足りた時間が続いていたが、大根がストリッパーに手を出したことで、それぞれの関係性が崩れ始める。

「あんた、格好悪すぎるよ」大根を叱責する館長の言葉にも上手く対峙できない大根。そしてヒモに成り下がった映画監督・大根の心の葛藤を優しく見守るタマコにもまた、人には言えない凄惨な過去があった。果たして、不器用に生きる愚か者たちの未来は……。

本作の主人公は、1本の映画を撮った後、30年近くメガホンを撮っていない映画監督・大根(加藤雅也)。本作の脚本を手掛けた横山雄二監督は、この人物に『太陽を盗んだ男』などの監督である長谷川和彦を重ねている。何故、何十年も映画を撮らなかったのか?

今回、全国公開に向けて新たに制作された予告編では、主人公・大根がヒモに成り下がり、人生にくたびれた中年男の悲哀が映し出されている。そして、後半では大根の心の叫びが胸に迫る。彼の人生は「愚か」だったのだろうか!? 更に、大根を支えるタマコ(熊切あさ美)の切ないまでの愛と、ストリップの小屋に生きる人々の人間模様も垣間見ることができる。

ポスタービジュアルに起用されている加藤雅也以外の写真は、全て加藤雅也が撮り下ろした写真が起用されている。大根を取り巻く女性たちの人生模様が映し出されているような雰囲気のある表情が散りばめられた。人は皆、人生の中で「愚か者」である瞬間を経験しているのではないだろうか。その瞬間にもがき、葛藤する姿が最も人間らしいとも言えるだろう。登場人物たちのどこか不器用で愚かな生き方に注目だ。

・『愚か者のブルース』ポスタービジュアルはこちら!

『愚か者のブルース』は1118日より全国公開。

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