甫木元空監督作品『はだかのゆめ』が、第35回東京国際映画祭<Nippon Cinema Now部門>に正式出品されることが決定した。あわせて解禁された予告編を紹介する。
・青山真治監督に見出され、志受け継ぐ“最後の映画作家”甫木元空の長編映画2作目が11月公開
日本映画に現れた、甫木元空という「最後の映画作家」
『はだかのゆめ』の舞台は四国山脈に囲まれた高知県。四万十川のほとりに暮らす一家、息子のノロ、母、祖父の親子三代にわたる時間と、その時間の境界線を飛び越えた触れ合いの、そしてそれでも触れることのできない残酷な距離の物語を描く。
5年ほど前より自身のルーツのある高知県に移住した甫木元空監督。そこで祖父と、闘病中の母とともに暮らすなかで、何気ない二人の言葉を書き留めたものを恩師である青山真治監督に送るという作業を繰り返していた。当初は小説としてまとめていたその文章から、自分の中で残ったものを再抽出して、シナリオ化したものが『はだかのゆめ』の始まりだったという。
撮影は2021年10月に実施。主人公ノロを演じるのは、いま話題作への出演が相次ぐ青木柚。そして甫木元監督が黒沢清監督の『大いなる幻影』(99年)のたたずまいを意識して、本作への出演をオファーしたという唯野未歩子がノロの母役を務めている。劇中で、謎めいた酔っぱらいの“おんちゃん”を演じるのはミュージシャンの前野健太。また、甫木元監督の実の祖父が“じい”役として出演。脚本にも実際に祖父から聞いたという話が散りばめられており、この物語に欠かせない存在感を放っている。
予告編では、かつて青山真治監督から甫木元監督に贈られた<日本映画に現れた、甫木元空という「最後の映画作家」>という言葉と、黒沢清監督から新たに届いた下記コメントから始まり、ノロの「生きてるものが死んでいて、死んでるものが生きてるような」という印象的なセリフとともに、日々の営みを切り取っている。
黒沢清監督は「突如ぷわーんと走ってくる列車に戦慄する。唯野未歩子がサラッと口にする言葉がものすごい。ホラーではないが、これは間違いなく死の映画だ」とコメントを寄せている。
『はだかのゆめ』は11月25日より全国順次公開。
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