特殊効果の巨匠がCGを学んできた新世代のアーティストたちと共同作業
『スター・ウォーズ』、『ロボコップ』、『スターシップ・トゥルーパーズ』シリーズなど、誰もが知る名作の特殊効果を手がけ、その後のSF作品に計り知れない影響を与えた巨匠フィル・ティペット。その彼が30年を費やして完成させた狂気と執念のストップモーションアニメ『マッドゴッド』より、メイキング映像を紹介する。
・ギレルモ・デル・トロが「神だ」と崇める巨匠が30年の時をかけたストップモーションアニメの最高傑作
今から約30年前、ティペットは『ロボコップ2』(90年)の撮影後に本作のアイデアを閃き、制作を開始。だが、『ジュラシック・パーク』(93年)で時代が転換期を迎え、ティペットの代名詞である手作りの特殊効果から、CGを駆使したVFX(視覚効果)の時代へと移行したことから、「俺の仕事は絶滅した」と作業を中断した。
それから20年後、ティペット・スタジオの若きクリエイターたちが、倉庫を掃除しているときに奇跡的に当時のセットを発見。彼らの熱望によりプロジェクトが再始動する。ティペットは2020年に起きたパンデミックの間も作業を続け、ついに本作を完成させた。
ティペットの創作スタイルは非常に特殊で、「多くのアイデアは夢から盗んだ」という。彼は心理学者のカール・ユングに影響を受けており、論理的な計算に基づいて創作するのではなく、夢をノートに記録し、イメージを降臨させて作品を作り上げる。彼の潜在意識からあふれ出した壮大な物語が、誰も見たことのない暗黒世界を描いた本作なのだ。
今回紹介するメイキング映像では、ティペットが、CGを学んできた新世代のアーティストたちに、手作りのストップモーション技術を教えながら共同作業を行う様子を見ることができる。彼らは金属、粘土、毛、布、パウダー、スプレー、グルー、ガスバーナーなど様々な素材と道具を使って繊細な質感を表現。劇中のキャラクター「アサシン」や「シットマン」、「シーイット」にグロテスクな生命力を宿らせる。
『マッドゴッド』は12月2日より全国順次公開となる。
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