娘を殺した加害者を赦せるのか? 苦しみと共に生きる夫婦に突きつけられた真実の行方は…

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MEGUMI、藤森慎吾、真矢ミキ、松浦りょうが共演、世界が注目する在日インド人監督の話題作

娘を殺された元夫婦と、犯行時に未成年だった加害者の女性。癒やしようのない苦しみに囚われた3人の葛藤を見すえ、魂の救済、赦しという深遠なテーマに真っ向から挑んだ問題作『赦し』。本作より、予告映像を紹介する。

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7年前に高校生だった娘の恵未をクラスメートに殺害されて以来、酒に依存して現実逃避を重ねてきた樋口克のもとに、裁判所からの通知が届く。懲役20年の刑に服している加害者、福田夏奈に再審の機会が与えられたというのだ。大切なひとり娘の命を奪った夏奈を憎み続けている克は、元妻の澄子と共に法廷に赴く。

しかし、夏奈の釈放を阻止するために証言台に立つ克と、つらい過去に見切りをつけたい澄子の感情はすれ違っていく。やがて法廷では夏奈の口から彼女が殺人に至ったショッキングな動機が明かされ、澄子は裁判から身を退くが、復讐の殺意に駆られた克はある行動を起こすのだった……。

本作のメガホンを執ったアンシュル・チョウハンは、長編第2作の『コントラ』(19年)では、エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリ、北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツで第1回大林賞を受賞したインド出身の気鋭監督だ。国内外で注目度が高まっている監督が、これまでの作風を一変させ、重厚でリアリスティックな語り口を披露した本作は本格的な裁判劇でもある。

怒りと憎悪の呪縛に囚われた主人公・克を演じるのは、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサと組んだ主演作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』(21年)が記憶に新しい尚玄。元妻の澄子に扮するのは、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した『台風家族』(19年)『ひとよ』(19年)などで多彩なキャラクターを演じてきたMEGUMI。

『赦し』

さらに、澄子の現在の夫を演じるオリエンタルラジオの藤森慎吾、裁判長役を毅然と体現した真矢ミキがドラマに厚みを与える。夏奈役に抜擢された松浦りょうのキャスティングも見逃せない。映画デビュー作『渇き。』(14年)など独特の存在感を示してきた新進女優が、本作における最大の発見としてあらゆる観客を驚嘆させるだろう。

予告映像では、被害者の両親、加害者の少女、癒やしようのない苦しみに囚われた3人の葛藤を通して、我々観客に罪と罰を問う重厚な人間ドラマを描く本作の一端を垣間見ることができる。克と澄子は、娘を殺した少女の減刑を当然認めたくない。しかし、加害者少女が初めて明かす衝撃の証言で、愛する娘の知らなかった一面に直面する。

さらに、弁護士に「あなたはこれ以上、被告人が苦しむのを本当に望んでいるのですか? それがあなたの正義ですか?」と問いかけられ、娘を失った深い喪失感と同時に、己の正義とも向き合わざるを得なくなる。

一方で、同級生を殺したことへの強い後悔の念で苦しむ夏奈が、勇気を出してこれまで秘めていた衝撃の真実を打ち明けるとき、我々観客も正義とは何か、犯した罪を人はどう赦し、犯した罪から人は生き直すことができるのか問いかけられる。

『赦し』は3月18日より全国順次公開される。