映画監督・白石和彌の初プロデュースにより河林満の名篇を映画化
文學界新人賞を受賞し、103回芥川賞の候補作としても注目を浴びた河林満の小説を映画化した『渇水』より、本編映像を紹介する。
・水道料金滞納者の水道を止める職員が、幼い姉妹との出会いから見つけた希望とは? 映画『渇水』22年公開
本作は、『凶悪』(13年)や『日本で一番悪い奴ら』(16年)、『孤狼の血』シリーズなど、多くの重厚な作品を世に贈り出した映画監督・白石和彌の初プロデュース作。監督を手がけるのは、根岸吉太郎、高橋伴明、相米慎二、市川準、森田芳光、阪本順治、宮藤官九郎ら錚々たる監督作品で助監督としてキャリアを重ねた髙橋正弥。
日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金が滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は2人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるべきか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが――。
主演を務めるのは、『土⻯の唄』シリーズ、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などに出演し、人気と実力を併せ持つ俳優・生田斗真。水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の主人公・岩切俊作が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していくという難しい役どころを体現した。さらに門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子ら実力派が脇を固める。
紹介する本編映像は、生田演じる主人公・岩切と、磯村演じる木田拓次の2人が、水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回るワンシーンを切り取ったもの。木田は「街中カラッカラだっていうのに、その上水道を閉めちゃうなんて、俺ら悪者というか弱い者いじめというか」と仕事の不満を口にする。それに対し岩切は「俺だって好きでやってるわけじゃない。けど、嫌いでもない」と、どこか人生を諦めたように答える。
さらに木田は、太陽も空気も無料であることから、「水だって本当はタダでいいんじゃないんですかね?」と、核心をつく一言を発する。そんな木田の一言も軽くあしらうように見えた岩切だったが……。
停水という一種の残酷性をもった仕事をする岩切と木田。木田を演じる磯村が、先日行われた完成披露イベントで、このシーンが印象的だったと明かしたが、ここではふたりの“水”に対する考えや仕事観の違いが明らかとなる。ここから岩切は幼い姉妹に出会うことで心の渇きと向き合う。そして、岩切が起こした行動がきっかけで、木田自身の心にも変化が訪れる。
映画『渇水』は6月2日より全国公開。
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