ベルリン国際映画祭W受賞! 正義と狂気がせめぎ合う衝撃のサスペンス・スリラー
現代社会の縮図というべき“学校” を舞台に、若き女性教師の悪夢のような極限心理をあぶり出す衝撃のスコラスティック・スリラー映画『ありふれた教室』。本作より、ティザーチラシと特報を紹介する。
・[動画]ある盗難事件をきっかけに壊れていく新任女性教師/映画『ありふれた教室』特報
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“学園もの”の映画について誰もが連想するのは、教師と生徒の心温まる交流を綴った感動作、少年少女の友情や成長を描いた青春ドラマなどだろう。ドイツから新たに届いた本作は、まさしく現代の中学校を舞台にした学園ものだが、このジャンルのポジティブなイメージを根こそぎ覆す破格の問題作だ。ある新任女性教師の視点で進行する物語は、校内で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと激しくうねり、わずか数日間で学校の秩序が崩壊してしまう異常な事態へと突き進んでいく…。
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を獲得しつつあった。そんなある日、校内で相次ぐ盗難事件の犯人として教え子が疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自の犯人捜しを開始。するとカーラが職員室に仕掛けた隠し撮りの動画には、ある人物が盗みを働く瞬間が記録されていた。
やがて盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は噂となって広まり、保護者の猛烈な批判、生徒の反乱、同僚教師との対立を招いてしまう。カーラは、後戻りできない孤立無援の窮地に陥っていくのだった…。
本作は、第73回ベルリン国際映画祭パノラマ部門でワールドプレミアされW受賞を果たしたのを皮切りに、ドイツ映画賞最多5部門(作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞)を受賞成。米辛口映画レビューサイト「ロッテン・トマト」では、99%FRESHという高得点を獲得し、本年度アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートを果たした。
長編4作目の本作が日本劇場初公開となるドイツの新鋭イルケル・チャタクは、教育分野で働くさまざまな人々へのリサーチを行い、自らの子ども時代の実体験も織り交ぜてオリジナル脚本を執筆した。誰にとっても馴染み深い学校という場所を“現代社会の縮図”に見立て、正義や真実の曖昧さをサスペンスフルに描ききったその試みは、ミヒャエル・ハネケやアスガー・ファルハディといった名匠の作風を彷彿とさせる。
主演のレオニー・ベネシュは、ハネケ監督の代表作『白いリボン』(09年)で注目され、『THE SWARM/ザ・スウォーム』『80日間世界一周』などのTVシリーズで活躍する実力派女優。次々と重大な選択や決断を迫られるカーラの葛藤を生々しく体現した本作でドイツ映画賞主演女優賞の受賞を果たし、ヨーロッパ映画賞女優賞にもノミネートされた。
本作が追求した多様なテーマは、教員のなり手不足や過酷な長時間労働、モンスター・ペアレンツなどの問題がしばしば報じられる日本社会とも無縁ではない。教育現場のリアルな現実に根ざし、世界中の学校やあらゆるコミュニティーでいつ暴発しても不思議ではない“今そこにある脅威”を見事にあぶり出す。
今回紹介するティザーチラシでは、主人公の若手教師カーラがメインに捉えられている。彼女の目元には赤いアザのようなものが見受けられるが、表情が全て見えないため、謎めいた不気味さを醸し出している。裏面では人混みのなかカーラが呆然とした表情で佇み、「窃盗」「絶望」「崩壊」等の不穏なキーワードが散りばめられている。両面ともにただならぬ空気が漂うビジュアルだ。
また特報では、ある盗難事件をきっかけにカーラが次第に追い詰められていく様子がうかがえる。生徒や同僚教師との対立、そして教室での叫び声…。学校の“不都合な真実”とは何か。緊迫感漂う音楽も相まって彼女の混乱が垣間見える特報が到着した。
『ありふれた教室』は5月17日より全国公開。
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