AIで亡くなった人の心を再現することができるのか? 仮想空間に蘇った母の“隠された一面”
テクノロジーの進化が“人間の存在そのもの”を揺るがす問題作
池松壮亮が主演を務め、平野啓一郎の原作を石井裕也監督が映画化した革新的ヒューマンミステリー『本心』。テクノロジーの進化が“人間の存在そのもの”を揺るがす本作より、物語の全貌が明らかになるロング予告編を紹介する。
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本作は、『月』(23年)『舟を編む』(23年)の石井裕也監督が、平野啓一郎の同名長編小説を映画化した革新的ヒューマンミステリー。今からさらにデジタル化が進んだ少し先の将来を舞台に、亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の心と本質に迫る物語だ。キャストには主演の池松に加え、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子ら実力派俳優が集結する。
今回紹介するのは、テクノロジーの著しい進化に翻弄されていく主人公・朔也と、彼を取り巻く人々が、互いの“本心”を探り合い、ぶつかり合う最新予告。人間の存在そのものを揺るがす本作の全貌が明らかになる。
朔也(池松)は、母・秋子(田中裕子)と2人でつつましい生活を送るごく普通の青年。しかしある日、「大事な話があるの」と言い残して急逝した母・秋子が、実は“自由死”を選んでいたことを知ってしまう。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んだのか? 母の本心を探るため、朔也は不安を抱えながらも、AIに集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用し、仮想空間に母を“蘇らせる”選択をする。
解禁された映像では、生前の秋子の親友・三好彩花(三吉)の協力もあり、他愛もない穏やかな日常を取り戻そうとしていく朔也が、次第に母の“隠された一面”を目の当たりにしていく様子、そして母だけでなく自分自身の本心すらも見失っていく姿が映し出されていく。
「世界は僕を置き去りにして進んでいく。怖かった」——変容していく社会で、もがき葛藤する朔也を、容赦なく追い詰める登場人物たち。うまく生きようとするも時代に飲み込まれていく幼馴染・岸谷(水上)の心の叫びや、朔也に無邪気で不敵な笑みを向ける、人気アバターデザイナーのイフィー(仲野)。技術者の野崎(妻夫木)がAIを駆使して作り上げたVFの中尾(綾野)は、生身の人間と見紛う姿で現れ、自分は4年前に亡くなっている事実を明かし、朔也を酷く動揺させる。
極めつけは、VFゴーグルを装着した朔也の「好きなんです」の言葉に、三好が怪訝な表情を浮かべ、「誰…?」と言葉を放つシーン。テクノロジーは、人間の何を変えてしまうのか。会話の奥に潜む、それぞれの“本心”とは?
2019年に新聞連載が開始され、2021年に出版された原作小説「本心」。当時は2040年代を舞台にした“未来の物語”として描かれていたが、現実では想像を超える速度でテクノロジーが発展。映画の舞台設定も合わせて「今から地続きの少し先の将来(物語の始まりは2025年)」へと大幅に前倒しされた。現に、“亡くなった人をAIで蘇らせる”サービスはアジア各国で既にビジネス展開されており、多くの論争を生んでいる。
『本心』は11月8日より全国公開。
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