死にたい気持ちが死ぬほど分かる! 不登校児が集う学校を元不登校児の監督が追った感動ドキュメンタリー

#ドキュメンタリー#久米宏#原一男#映画#田中健太#風たちの学校

(C)合同会社ななし
『風たちの学校』
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『風たちの学校』

全寮制の高校舞台に精一杯生きる生徒たちの姿を描く『風たちの学校』

不登校などを経験した子どもたちも受け入れている全寮制の学校・愛知県奥三河の黄柳野(つげの)高校を舞台に、3年間の学校生活の終わりが近づくなか、精一杯生きる生徒たちの姿を描くドキュメンタリー映画『風たちの学校』。本作より、予告編と著名人の推薦コメントを紹介する。

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愛知県奥三河の黄柳野(つげの)高校――豊かな自然に囲まれ、四季の移り変わりを感じながら生徒たちは全寮制のこの学校で学ぶ。ここでは、不登校などいろいろなバックグラウンドの子どもたちも受け入れてくれる。様々な葛藤を抱えながらも精一杯、生きる生徒たちの姿。

『風たちの学校』

最後の学園祭をクラスみんなで成功させたいと願うみのきくんは、血の繋がらない父の家業を継ぐか世界を旅する夢を追うかで悩み、音楽が大好きなことみさんは、ときどき落ち込むけど、ちょっとずつ自分の思いを歌にしていく。そして3年間の学校生活の終わりは、近づいてくるのだった——。

『風たちの学校』

監督は、大阪芸術大学でドキュメンタリー作家、原一男に学んだ田中健太。苦しみながらも懸命に⽣きている⼦どもたちが集う、大阪・富田林市の駄菓子屋を描いた卒業制作『ぼくと駄菓子のいえ』(16年)が、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル、なら国際映画祭などで上映され、高く評価された。その待望の新作は、自らも不登校を経験し、黄柳野高校で学んだ記憶を胸に、時には悩み、傷つきながら成長していく子どもたちを、四季を感じながらそばに寄り添い、生き生きと捉えていく。

『風たちの学校』

今回紹介する予告編は、誰もが学校で聞いたことがあるチャイムの音から始まる。ウッディな雰囲気の校内で、ギターや笛を弾き、職員室では先生たちと友だちのように付き合い、三者面談で自らの将来を考え、様々な葛藤を抱え傷つきながら成長していく子どもたちを、生き生きと捉えていく。

『風たちの学校』

また、フリーアナウンサーの久米宏、田中監督が学んだドキュメンタリー映画監督の原一男、映画研究者/批評家の北村匡平ら著名人から推薦コメントが到着した。

『風たちの学校』

■朝倉景樹(社会学者/雫穿大学代表)

学校に行くことが当然の社会で不登校をすることは、容姿・能力など自分の一部ではなく、自分という人間が至らない、ダメな存在に感じられる自己否定を経験し得ることだ。優しい教職員が温かく接してくれる場でも、自己否定の容赦ない葛藤はやってくる。主役の表現的な2人は、手を差し伸べる人たちとの信頼を支えに前に進もうとしている。そのかけがえのない時間がここに閉じ込められている。

■北村匡平(映画研究者/批評家)

これは何も特別な人たちに起こりうる出来事ではない。ままならない体と心が、少しずつフィットしてくる。自らの人生に少しずつ向き合えるようになってくる。そんな思春期を生きる若者の、まっすぐでむき出しの姿に僕は終始心が揺さぶられた。

それにしてもカメラに切り取られた三者面談の場面が、これほどスリリングで面白いとは! ミット打ちの乾いた音、ギターや笛の音色、透き通った歌声——。さまざまな音響とともに、あの、生きづらい、痛々しく美しい青春の一コマが、画面いっぱいに絶えず蠢く。

■久米宏(フリーアナウンサー)

ボクは今80歳だ この年齢には自分でも驚いている
老人の日々を送りながら 今でも高校の頃を良く思い出す
ごく普通の高校なのだが あの3年間で 自分が生きていく方向が分かったような気がしたのだ
あの3年間がなければ 今とは全く違う80歳になっていた筈だ
まあ、それも面白い話なのだが
とても面白い映画でした

■小森はるか(映像作家)

どんな道を歩もうとも味方でいてくれる人がいたこと。気にかけ合う人がいたこと。自分を認められる自分がいたこと。そういう経験をした人は、ずっと先までその経験に支えられて歩んでいけるのだと信じられる。人生の中にあった一瞬を忘れないでいられる。カメラに残された真剣な眼差しがそう思わせてくれた。撮る側も撮られる側も、とても勇気のいる撮影だったと思う。この映画が学校の外へ、社会へ届けられたことに深く心動かされました。

■汐見稔幸(教育・保育評論家/東京大学名誉教授/白梅学園大学名誉学長)

人間を本当の意味で育てるのは、傷ついた心に深く共苦出来る人や友と、一緒に生きる場を持つことだ、ということがよく分かる、現代教育の再生への道を示した作品だ。学校は生活の場だが、生活とは生命が活性化するということだ。

■原一男(映画監督)

田中自身が過去に不登校経験があるがゆえに、同じような境遇、家庭環境の中で育っている少年少女たちに向けての眼差しが限りなく優しい。優しい眼差しだけが、この国の歪な社会の中で成長していくしかなく、荒んでしまいがちな若者たちの頑なな魂を溶かしてくれる魔法であることを示して、見る者の気持ちを優しくしてくれる作品である。

■細馬宏通(早稲田大学教授)

映画を見るわたしたちにとっても、これは1本の学校である。

『風たちの学校』は3月15日より全国順次公開。

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