93歳のおばあちゃんが詐欺師から一万ドルを取り戻す!? サンダンス映画祭で話題沸騰、異例の大冒険の行方とは?

#クラーク・グレッグ#ジューン・スキッブ#テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ#パーカー・ポージー#フレッド・ヘッキンジャー#マルコム・マクダウェル#リチャード・ラウンドトゥリー

(C) Courtesy of Universal Pictures
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真っ赤なスクーターを駆り、93歳のおばあちゃんがオレオレ詐欺師からお金を取り戻す! そんな異例のスロー・アクション・コメディ『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』の日本公開が決定し、注目を集めている。

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ジューン・スキッブと主人公テルマが重なるような、楽しく強く生きるおばあちゃん像

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夫に先立たれ、寂しくも気楽なひとり暮らしを謳歌している93歳のテルマ。心優しい孫のダニエルがベストフレンドだ。

いつもと変わらないはずのある日、1本の電話がテルマの運命を変える。「おばあちゃん、オレオレ。事故を起こしてしまったよ!」刑務所にいるという愛する孫を助けるため、テルマは急いで保釈金の1万ドルをポストに投函する。しかしそれは無情にも、オレオレ詐欺だったのだ……。

落胆する娘夫婦を見て、いても立ってもいられなくなったテルマは、詐欺師たちからお金を取り戻すミッションを決意! 旧友の老人ベンを巻き込み、電動スクーターでロサンゼルスの街を駆け巡る、大冒険に出発する。

本作が長編初監督となるジョシュ・マーゴリンが、自身の愛する祖母テルマとの実体験を基に脚本を書き上げたという『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』は、全世界的に問題となっている特殊詐欺をたくらむ輩たちに、やられっぱなしではいられないと老人が立ちあがる、ほほ笑ましくも勇気の出る物語だ。

テルマを演じるのが、『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(13年)でアカデミー賞助演女優賞ノミネートを果たしたジューン・スキッブ、御年93歳。映画の初主演としては史上最高齢である。

もともとスキッブは舞台でキャリアを積み、60歳でウディ・アレン監督『アリス』(90年)で映画初出演。『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』の助演女優賞にノミネートは84歳のときだった。

近年も声優として参加した『インサイド・ヘッド2』(24年)など、出演作があとを引かず、今後公開予定のスカーレット・ヨハンソンの初監督作『Eleanor the Great』でタイトル・ロールのエレノアを演じ、今年のアカデミー賞ではスカーレット・ヨハンソンとともにプレゼンターを務めるなど、キャリアの絶頂期ともいえる大活躍を続けている。

ポスターにある「私の人生は、私が輝かせる!」というコピーが、いくつになっても人生を楽しむテルマと、ジューン・スキッブの姿がだぶって見えてくる。

彼女のベストフレンド・孫のダニエル役は、『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』『クレイヴン・ザ・ハンター』、そしてアカデミー賞作品賞ノミネートの『ニッケル・ボーイズ』(いずれも24年)に出演した若手有望株のフレッド・ヘッキンジャー。

さらにはテルマの娘ゲイルに『ボーはおそれている』(23年)などのパーカー・ポージー、彼女の夫アランには、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の『エージェント・オブ・シールド』(13〜20年)のコールソン捜査官で知られるクラーク・グレッグが扮している。

加えて『時計じかけのオレンジ』(71年)などのレジェンド俳優、マルコム・マクダウェルが登場したり、『黒いジャガー』(71年)をはじめブラックスプロイテーションの名優リチャード・ラウンドトゥリーがテルマと行動をともにするベン役で出演している(残念ながらラウンドトゥリーの遺作となってしまった)。

2024年のサンダンス映画祭で上映されるや話題沸騰し、米映画批評サイトのロッテントマトでは98%(批評家)の高評価を記録。

予告編には、お金を取り戻そうと電動スクーターを走らせるテルマの姿が。なんとジューンが自らこなしたというアクション・シーンも盛りだくさんで、お互いに年を重ねた旧友ベンや、愛する孫のダニエルを中心とした心の交流も見受けられる。高齢化社会の今こそ、この“スロー”アクション・コメディに注目したい。

『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』は2025年6月6日より全国公開。