『ティファニーで朝食を』カポーティは映画のラストに大激怒
死後36年を経て、未完の問題作『叶えられた祈り』執筆の裏側が今明かされる――『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』。オードリー・ヘプバーン主演『ティファニーで朝食を』映画化の裏側が明かされる!トルーマン・カポーティは映画のラストに大激怒!!カポーティのユーモア全開?本編映像解禁!
『ティファニーで朝食を』(58)、『冷血』(66)など多くの傑作小説を残した20世紀アメリカ文学界を代表する作家トルーマン・カポーティ。その素顔に迫る文芸ドキュメンタリー『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』は、2020年11月6日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー。
この度、カポーティ原作の誰もが知る名作映画『ティファニーで朝食を』(1961)映画化の裏側が明かされる本編映像が解禁となった。
映像は、『ティファニーで朝食を』をバックに、カポーティの良きライバルであった作家ノーマン・メイラーがカポーティの印象を語る“テープ”の音声から始まる。彼の特別な才能について、メイラーは「文章だ。最高に素晴らしい。同世代で敵う者はいない。当時のNYをあれほど見事に描いた小説があるか? 時間と場所をとらえるセンス。誰より息の長い作家になる」と絶賛。だが、原作者カポーティが描いたヒロイン、ホリーは小説とはまるで別人のように描かれていることが明らかに。
作家で批評家のセイディー・スタインは、映画では主人公のホリーと駆け出しの作家ポールのロマンスが描かれるが、「小説はより現実的でもっと中身がある。もちろんロマンスはない」と評した。さらに、映画のラストシーンの映像と共に、映画の脚本を担当したジョージ・アクセルロッドが、「小説ではここは“行っちまえ!”だし、最後は彼女が1人で去る」と原作との大きな相違点を指摘する。このラストシーンに「トルーマンは激怒してたよ。「ムーンリバー」のハッピーエンド」だと、苦笑いする。オードリー・ヘプバーンが新境地を拓いた映画史に残る傑作だが、実は原作者カポーティはお決に召さなかったというのだ。
毒舌とユーモアで知られるカポーティは黙っていない、映像は「ティファニーから電話が来た。宣伝のために朝食の食器セットを送ってくれると言うんだ。僕は“純銀か純金なら“と答えたよ」と周りを笑わせる貴重な映像で締めくくられている。
『ティファニーで朝食を』、『冷血』の大成功を経て長年出版が待ち望まれた新作『叶えられた祈り』は、ニューヨークの上流階級の実態を描いた最高傑作となるはずだった。しかし第一部が発表されるや否や、そのスキャンダラスな内容によって激しい論争を巻き起こす。社交界から追放され、多くの友人を失ったカポーティは、アルコールと薬物中毒に苦しみ、作品の完成を待たずしてこの世を去ることとなる。栄光から転落へ、死後36年を経て、未完の問題作「叶えられた祈り」執筆の裏側が今明かされる――。
映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』は2020年11月6日公開
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