映画『やすらぎの森』予告編

#カナダ映画#トム・ウェイツ#やすらぎの森

傷ついた心を癒す森の暮らし、トム・ウェイツの<タイム>が心にしみる

世捨て人たちが密かに暮らす、カナダ・ケベック州の人里離れた深い森。湖のほとりで優しく穏やかに紡がれる、心にしみこむ愛と再生の物語―世捨て人がギターで弾き語るトム・ウェイツの<タイム>が心にしみる 日本版予告編解禁!!『やすらぎの森』2021年5月下旬公開。

カナダ・ケベック州、人里離れた深い森。湖のほとりにたたずむ小屋で、年老いた世捨て人たちが密かに暮らしていた。ある日、彼らのもとに思いがけない来訪者が現れる。その80歳の女性ジェルトルードは、少女時代に不当な措置によって精神科療養所に入れられ、60年以上も外界と隔絶した生活を強いられていたのだった。ジェルトルードは、マリー・デネージュという新たな名前で新たな人生を踏み出すが…。

ジェルトルード/マリー・デネージュを演じるのは、金髪とクラシックな美貌を持つがゆえに“ケベックのカトリーヌ・ドヌーヴ”とも呼ばれたアンドレ・ラシャペル。カナダの演劇、映画、テレビ界で約70年のキャリアを築いたこの名女優は、惜しくも2019年11月に他界し、本作が遺作となった。世捨て人のひとり、チャーリー役には本作でカナダ・アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジルベール・スィコット、親友のトム役にドゥニ・アルカン監督作品『みなさん、さようなら』(03)の主演俳優としても名高いレミー・ジラールが扮し、ケベックの名優たちが集結した。監督は、本作が3本目の長編劇映画となったケベック出身のルイーズ・アルシャンボー。本作の舞台でもあるケベック州アビティビ在住の作家、ジョスリーヌ・ソシエがフランコフォニー五大陸賞を受賞した原作小説に感銘を受け、登場人物の息づかいや自然の鼓動までも伝わる繊細な世界観を見事に作りあげている。

解禁された日本版予告編は、冒頭に神秘的なケベックの森が登場し、その壮大さは息を吞むほど美しい。

深い森の中で誰とも交わらず“存在”を隠して暮らす世捨て人のチャーリーとトム。彼らは愛犬たちと生活をともにし、薪割りやギターで弾き語りをするなど、自由気ままな日常が伺える。突然現れた身寄りのない女性(ジェルトード)は、厳しい父親によって世間から引き離され人生を失い、孤独を抱えていた。チャーリーらに受け入れられた彼女は、マリー・デネージュという新しい名前で第二の人生をスタートさせる。彼らの新たな共同生活がはじまり、そして傷ついた心が癒されていくマリー。森の散策や水浴びシーン、微笑ましい様子が垣間見える一方で、中盤以降はチャーリーが森で暮らす理由が明かされ、トムがギターで弾き語るトム・ウェイツの<タイム>は味わい深く切ない雰囲気を醸し出している。終盤には山火事が近づいていることがわかり、彼らの穏やかで温かな森での生活はどうなってしまうのか、気になる内容だ。

『やすらぎの森』2021年5月下旬公開