初めての恋と永遠の別れは忘れられないひと夏の恋物語
シャーロット・ランプリングを主演に迎えた監督作『まぼろし』で国際的に注目を浴び、『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』で2019年のベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したフランソワ・オゾンの最新作『Summer of 85』がこの夏公開される。
・フランソワ・オゾン監督インタビュー/重要なのは、子ども時代に傷つけられた男性の心の奥を語ること
少年2人の人生を変えた運命の出会いと永遠の別れ。恋する喜びと痛みを描いたひと夏の初恋物語。この度、本編からノスタルジックでエモーショナルなシーンを切り取ったティザー映像が公開された。
本作の原作はオゾン自身が17歳の時に出会い、深く影響を受けたエイダン・チェンバーズの小説「おれの墓で踊れ」。第73回カンヌ国際映画祭でオフィシャルセレクションに選出され、第15回ローマ国際映画祭で観客賞を受賞、第46回セザール賞では作品賞や監督賞など12部門にノミネート。多くの映画人や観客を魅了している。
主人公の16歳の少年アレックスと18歳のダヴィドを演じるのはいずれもオーディションで見出された注目の新鋭フェリックス・ルフェーヴルとバンジャマン・ヴォワザン。
1985年夏のフランスを舞台に、進路に悩む労働者階級の少年アレックスは、自然体で飄々としたダヴィドと運命的に出会い、惹かれ合う。10代当時のオゾン自身の感情が投影された美しき少年たちの初めての恋と永遠の別れは、忘れられないひと夏の恋物語となって描き出される。
狂気を孕む刹那の恋の行く末は
今回解禁された映像ではTHE CUREの「In Between Days」を聞きながら、ダヴィドとの初めての恋を思い出すアレックスの憂いを帯びた表情始まる。
自分にとってダヴィドがこの夏のすべてだったと感じさせる幸せな瞬間。悔やんでも悔やみきれない嫉妬に狂い、彼に対し憎悪を浮かべた瞬間。狂おしいほど愛した彼への想いを押し込めるようにして、最後はそっとその存在を心に刻むように静かに目を閉じる。「In Between Days」のメロディーにのせ、言葉もなく紡がれていく情感豊かなシーンの数々が見る者の胸を締め付ける。
色鮮やかでノスタルジックな映像美と80年代ヒットソングの数々が彩っていく、少年たちの美しくも儚い夏のひと時。刹那の恋が胸を震わせる、瑞々しくも極上のラブストーリーに注目したい。
『Summer of 85』は2021年8月20日公開。
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