石井裕也が贈る、シングルファーザーとひとり息子の珠玉の物語
『舟を編む』で日本アカデミー賞監督賞を最年少で受賞し、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』でアジア・フィルム・アワード最優秀監督賞を受賞、その他にも『生きちゃった』『茜色に焼かれる』など数々の名作を発表し続けている石井裕也監督の最新作、『アジアの天使』が7月2日より公開される。この度、石井監督が見いだした“小さな逸材”、8歳・佐藤凌の愛くるしさが詰まったメイキング動画が解禁された。
・オダギリジョーが怪しい商売で池松壮亮を翻弄!? ソウル舞台のロードムービー
本作は、石井監督が改めて初心に返り、これまでの経験値に頼らずにオール韓国ロケで挑んだ意欲作。主人公のシングルファーザー・青木剛を演じたのは『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『ぼくたちの家族』など、石井作品には欠かせない顔である池松壮亮。剛の兄には、ギャラクシー賞月間賞も受賞した石井演出のTVドラマ『おかしの家』で主演をつとめたオダギリジョー。元アイドルで売れない歌手のチェ・ソルは、『金子文子と朴烈』で長編映画初主演を飾り、『Our Body』で第23回釜山国際映画祭「今年の俳優賞」を受賞したチェ・ヒソが繊細に演じている。
息子役の佐藤はオーディションで石井監督に見いだされ、母親と一緒に韓国に渡り20年2月から1ヵ月半に及ぶ韓国での撮影を乗り切った。若干8歳の佐藤は、撮影中は母親と二人三脚で演技の練習し、撮影に臨んだという。
物語の舞台は韓国・ソウル。8歳のひとり息子の学(佐藤凌)を持つ小説家の青木剛(池松壮亮)は、病気で妻を亡くし、疎遠になっていた兄(オダギリジョー)が住むソウルへ渡る。ほとんど韓国語も話せない中、自由奔放な兄に言われるがまま怪しい化粧品の輸入販売を手伝う羽目になる。一方、元・人気アイドルのソル(チェ・ヒソ)は、自分の歌いたい歌を歌えずに悩みながらも、亡くなった父母の代わりに兄・ジョンウと喘息持ちの妹・ポムを養うため、細々と芸能活動を続けていた。やがて2つの家族が出会い……。
この度解禁された映像は、池松、ヒソ、佐藤の撮影合間のメイキング映像と佐藤のクランクアップ時の挨拶の映像となっている。食卓を囲むシーンの合間につまみ食いをする佐藤とそれを見ている池松とヒソ。3人の近い距離感がまるで本物の家族のようで、見ていて心温まる場面だ。
クランクアップ後の挨拶時には、佐藤は「みなさんありがとうございました、とてもとても楽しい毎日でした。また、皆さんと会えるように頑張ります。そのために、ぼくは何でも諦めません! チョヌンポギアネヨ!(韓国語=ぼくはあきらめない)」と言うと思わず涙。すかさずヒソがそばに寄り添い、抱きしめるという微笑ましい様子が収められている。
最愛の妻を失うという、絶望的な別れと向き合ったからこそ、言葉や文化を超えて人と人が分かり合おうとすることを諦めない。優しさと力強さが調和した人間ドラマであり、誰も見ことのない「アジアの家族映画」となっている本作に期待したい。
『アジアの天使』は7月2日より公開。
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