自分を犠牲にした多くの夢想家たちの苦難の上で、今の自由がある
台湾人が忘れてはならない40年にも及んだ負の歴史を正面から描いた作品『返校 言葉が消えた日』が2021年7月30日より公開。第56回金馬奨で主要12部門にノミネート、最優秀新人監督賞を含む最多5部門受賞の快挙を成し遂げた本作から、本編シーンを含むゲームとのコラボ映像が初解禁!
台湾人にとっての悪夢の歴史をストーリーに取り入れるという大胆な発想で大ヒットとなったホラー・ゲームを元に、迫害事件の謎解きと、青春を奪われた若者たちの切ないドラマが交錯する本作。その深いメッセージ性が2020年1月の台湾総統選挙にも影響を与えたと言われ、メディアやSNSで大騒動を巻き起こしたダークミステリーがいよいよ日本でも公開される。
・青春を奪われた若者たちの魂の叫び『返校 言葉が消えた日』哀切漂うMV解禁
公開された映像では、ゲーム「返校 -Detention-」の世界に、映画『返校 言葉が消えた日』の映像が溶け合いゲームの世界に入り込んだかのような錯覚を覚える仕上がりになっている。ジョン・スー監督が「メランコリックで美しいストーリーに強く心を動かされた」という世界で大ヒットしたゲームの印象的なシーンの合間に、ワン・ジンが演じたファン・レイシンが放課後の教室で目を覚ますシーン、そして、学校から外に出ようとしたファンと男子学生のウェイが目にした、学校と外界を遮断する想像を絶する濁流の映像が初解禁で差し込まれた。
映画の製作過程では「製作チームのほぼ全員が原作ゲームに情熱を注いでおり、ゲームをプレイした後に感じた感情を再現するため懸命に取り組みました」と明かした監督。ゲームと映画が何故ヒットしたのか、について「いずれも台湾人に真っ正直に語りかけてきたからであり、台湾人が経験したあの衝撃的な時代について直接語ってくれる映画を、実は私たちはずっと待っていたからではないか、と感じています」と「歴史の教科書に短い文章が載っていただけ」という白色テロについて語った。
「私たちがいま手にしている自由は、自然にもたらされたものではないということです。それは、より良い未来と引き換えに自分自身を犠牲にした多くの夢想家たちの苦難の上で得られたものなのです。私の役割は、原作のゲームをより広い観客へ伝えるための通訳のようなものであり、また願わくば、現在私たちが当たり前のように思っている自由を大切にしなければならない、ということを人々に想起させられるものであれば、と思っています」と公開に向けての思いを明かした。
見て、感じて、向き合いたい、彼らの運命を
放課後の教室で、いつの間にか眠り込んでいた女子高生のファン・レイシン(ワン・ジン)。目を覚ますと、人の姿が消え、そこは別世界のような奇妙な空気に満ちていた。校内をさ迷うファンは、秘密の読書会のメンバーで彼女に想いを寄せる男子学生のウェイ・ジョンティン(ツォン・ジンファ)と出会い、力を合わせて学校から脱出しようとするが、どうしても外へ出ることができない。廊下の先、扉の向こうに悪夢のような光景が次々と待ち受けるなか、消えた同級生と先生を探す二人は、政府による暴力的な迫害事件と、その原因を作った密告者の哀しくも恐ろしい真相に近づいていく──。
『返校 言葉が消えた日』は2021年7月30日より公開。
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