オリンピックの熱狂への違和感から始まった──保守的世界に生きる少女たちの前進描く珠玉作

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きっかけは自分たちとは少し違う、転入生・ブリサ

性を隠し、若者を縛る保守的な修道院での教育と、刺激的なオリンピックの熱狂への違和感──1992年、バルセロナオリンピックのスペインを舞台に、少女たちが人生に目覚めていく過程を描いた『スクールガールズ』が9月17日より公開される。この度、その予告編が解禁となった。

・17歳で妊娠した少女が手術前に…「避妊具を拒否された?」「脅された?」普遍的問題あぶり出す質問

1992年、バルセロナオリンピック開催に湧くスペイン。修道院に通うセリアが、友人たちとの新たな経験を通して思春期への扉を開け、家族を、そして自分自身を知っていく様を描いた本作。ベルリン国際映画祭への出品と新人監督賞・クリスタルベア賞へのノミネートを皮切りに今日まで、スペイン国内を中心に26もの映画賞を受賞し、名実共に20年のスペインを代表する映画となった。監督・脚本を務めたピラール・パロメロ監督自身も4歳から修道院で学んでおり、長編デビュー作にしてスペイン映画界アカデミー賞とされるゴヤ賞作品賞・脚本賞を受賞した本作には、自身の体験が色濃く反映されている。

監督は「極めて保守的なスペイン修道院の教育と、オリンピック開催の熱狂渦巻く、外の世界に溢れる刺激には大きなギャップがありました。しかし私たち、92年当時の教育を受けた女性たちこそが、“勉強をし、独立して、なりたいものになれる”とはっきり感じることができた初めての世代だったのではないかと思います」と語る。このように、90年代とそこに生きる少女たちのささやかな前進を描いた本作は、同じくキム・ボラ監督が自身の経験を踏まえ、14歳のウニを主人公に描いた韓国映画『はちどり』と共鳴する。

主人公のセリアを演じるのは、主演デビュー作となるアンドレア・ファンドス。監督は「彼女こそがこの映画の魂」と絶大な信頼を寄せる。73年のスペイン映画『ミツバチのささやき』で主人公を演じ、撮影当時5歳だったアナ・トレントを思い起こさせる存在感と印象的な瞳で、数々の新人女優賞にノミネート。スペイン映画批評家協会賞新人女優賞を受賞した。母親役にはゴヤ賞2冠のナタリア・デ・モリーナ。『悲しみに、こんにちは』のプロデューサーでもあるヴァレリー・デルピエールがプロデュースを務めた。

予告編の冒頭。修道院に通うセリアをはじめとした少女たちは、きちんと制服を着て、縄跳びに興じ、針仕事に勤しんでいる。続いて、そんな彼女たちが転入生のブリサがとの交流をきっかけに、化粧をしたり煙草をくわえたりと、新しい世界に足を踏み入れていく様が描かれる。やがてセリアは、母親の言葉が真実なのかどうか疑問を抱き始め……。映画のキャッチコピーは「人生はたくさんの真実と、少しの嘘でできている」。思春期の入り口に差し掛かり、大きな秘密に向き合うセリアの歩みと発見を表しているかのようだ。

セリアの気付きや成長を瑞々しく描いた本作に期待したい。