横浜にある短編映画専門の映画館、ブリリア ショートショートシアターで、クリスマスイベント「戦場カメラマンのメリークリスマス!」が12月24日に催され、テレビなどでひっぱりだこの戦場カメラマン・渡部陽一がトークショーを繰り広げた。
[動画]奥様との出会いは? 渡部陽一トークショー
短編映画の魅力−口コミ殺到の超ブラック作品も!
この日上映されたのは、フランスの『メトロのラブレター』、オーストラリアの『恋するキューピッド』と『Hello/ハロー』、インドネシアの『マッチメーカー』、木下優樹菜主演の『ゆっきーな』の5本。これらの恋愛をテーマにした短編映画について渡部がトークを展開したが、丁寧でゆっくりとした独特のしゃべり方と大きな身振り手振り、生真面目だがユーモアのある受け答えに、客席からは頻繁に笑いが沸き起こっていた。
最初は用意されたイスに座って話していたが、どんどん身振り手振りが大きくなっていき、ついには「立ち上がってお話ししていいですか?」と司会に許可を求める渡部。おもむろに立ち上がって「立った方がお話ししやすい感じがあります」と笑顔を浮かべると、今度は舞台を縦横無尽に歩き回りながら、ときにしゃがんだり背中を丸めたりしながら、熱く力強いトークを繰り広げた。
奥手な主人公の恋模様を描いた『Hello』にちなみ、司会が「渡部さんも奥手ですか?」と聞くと、渡部は一語一語かみしめるように「僕は、奥手です」と回答。今の奥さんと出会ったときも、一目惚れしたものの恥ずかしくて言葉に出せなかったと照れ笑いしてから、「でも、せめて大好きな映画を一緒に見に行きたい」と思い、出会ったばかりの彼女に「映画を見に行きましょう」と言ってデートに誘ったと告白。「『もののけ姫』を見た、食事を食べに行った」と続けたが、その生真面目すぎるしゃべり方と話の内容とのギャップが客席の笑いを誘っていた。
それから数年経ってようやく告白し、さらに数年付き合った後にプロポーズをしたという渡部。「今は結婚できて子どもができた」ときちんと現状報告をしてから、「答えとしては、(好きなら)思ったことを言った方がいい。その方が、早く明確に、嬉しい答えを手にできると感じます」と、自らの奥手とスローぶりを少し後悔している様子。恋愛で悩んでいたら、すぐに告白やプロポーズしたほうがいいと断言してから、「恋人、結婚、楽しいです」と満面の笑み。その幸せそうな表情に、場内も笑顔に包まれていた。
戦場の危険性や兵士たちの素顔についても色々と話をしてくれた渡部に、司会が「戦場には男性が好むような(エッチな)DVDなどがあふれているのですか」と聞くと、これまた真面目な顔で「意外と、あふれていないんです」と冷静に回答。戦場には軍隊の規律があり、無法地帯にさせないようになっていると説明してから「そのひとつがアルコール」と例を挙げ、「兵隊さんたちは(アルコールを)飲んでいませんでした」。さらに「唯一あったのが、壁にキワドイ水着を着た女の人のポスターなどが貼られているくらいでした」と、規律のなかで生きている兵士たちの様子を教えてくれた。
戦場の様子をビデオにおさめてレポートすることもあるという渡部は、映像編集について「短ければ短いほど、要点を分かりやすく伝えるのは大変だと思います」と、短編映画製作の苦労についても言及し、優れた短編映画を作る監督たちへの敬意を示した。
最後に、「戦場カメラマンからのメッセージ」を求められると、「外国に行ってほしい」とキッパリ。「旅行でいい、グルメでいい、ショッピングでいい。ぜひ、国境を越えて外国に飛び出してほしい。外国に行くと、およびでないトラブルに遭ったり、びっくりするような人たちに会う。変わった食べ物もあり、今まで感じたことのない力が、体のなかからムクムクと沸き上がってきて、新たな自分に気づかせてくれます。安全第一で旅をして、たくさんの人たちの声を聞いてほしい」と、120カ国以上を巡ってきた者ならではの熱い願いを口にしていた。
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