カウンター・カルチャーが世界を席巻した1960年代末に麻薬中毒、フリーセックス、近親相姦などインモラルなテーマのヨーロッパ映画に連続主演し、センセーションを巻き起こした米女優ミムジー・ファーマーの代表作『MORE/モア』(69年)と『渚の果てにこの愛を』(70年)が、日本公開50周年を記念し、11月5日より全国順次公開されることが分かった。合わせて、今回の上映のために刷新された両作品の日本オリジナルのキービジュアルおよび場面写真が解禁されている。
・解禁された『MORE/モア』&『渚の果てにこの愛を』の日本版オリジナルキービジュアルおよび場面写真はこちら!
麻薬中毒、フリーセックス、近親相姦…インモラルな領域に踏み込んだ2大問題作が今秋再公開
麻薬中毒者の末路を破滅的に描いたジャンキー映画の最高峰『MORE/モア』は、初公開時欧米で大ヒット。大胆で自由な愛の描写、ピンク・フロイドが初めて映画音楽を手がけたことでも話題となり、カンヌ映画祭2015でデジタル復元版が凱旋上映されたカルト・クラシックだ。
過去数十年にわたり世界的に見ることが出来なかった幻の作品にして異形のミステリー『渚の果てにこの愛を』は、初公開以後、一度VHS発売されたのみ。世界的に数十年にわたって見ることのできなかった貴重な作品だ。今回はまさかの50年ぶり、そして最新デジタルマスターでのDCP上映となる。
当時の映画表現の限界を超えたと言われるこの2作品で主演を飾ったのが、今や知る人ぞ知る伝説の女優、ミムジーだ。
1960年代初め、ハリウッドの清純派スターとして売り出したミムジーは、低予算作品に数本出演した後に渡欧。後に『運命の逆転』(90年)でアカデミー賞候補となるバーベット・シュローダーの監督デビュー作『MORE/モア』で主演を務める。
地中海の楽園イビサ島を舞台に、アメリカのヒッピー女性が、ドイツ人の若者と麻薬に溺れ、破滅への道をたどる姿を描いた本作で、ミムジーはバイセクシュアルの麻薬中毒者を大胆なフル・ヌードを交えて演じ、その鮮烈なイメージの数々は、1969年カンヌ映画祭・国際批評家週間で一大センセーションを巻き起こした。
続く『渚の果てにこの愛を』は、『MORE/モア』で一躍時の人となったミムジーの金髪ショートカットのスタイルをそのまま流用したミステリー。茫漠たる荒野のドライブインを舞台に、ミムジーは旅の若者を盲目的に兄と慕う、歪んだ愛欲と狂気に憑かれた女を熱演。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞・特別賞に輝いた。
ミムジーが両作品で演じた“海と太陽に愛された死の天使”ともいうべき役柄は、いわゆる“ファム・ファタール”の妖艶さ、邪悪さとは似て非なるものだ。まばゆい笑顔と伸びやかな肢体、常識や道徳に縛られない自由な精神が堕落や退廃と表裏を成す女性像は、その可憐でセンシティブな美しさとともに、初めて彼女を知る者の心もざわめかせるに違いない。
『MORE/モア』と『渚の果てにこの愛を』は11月5日より全国順次公開。
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