銀行から突然の差し押さえ! 50歳の男が突然自分の店を失ってしまった時に、どんな選択肢があるのか?

#ソニア・リザ・ケンターマン#テーラー 人生の仕立て屋

テーラー 人生の仕立て屋
ソニア・リザ・ケンターマン監督(中央)
(C)2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.

経済危機に後継者不足、厳しい現実にスーツ職人が立ち向かう!

ギリシャの寡黙なスーツ職人がウェディングドレス作りに挑む映画『テーラー 人生の仕立て屋』が9月3日より全国公開。ムビコレではソニア・リザ・ケンターマン監督のインタビューを掲載中だ。

・『テーラー 人生の仕立て屋』ソニア・リザ・ケンターマン監督インタビュー

本作の主人公はギリシャ・アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋を営む50歳のニコス。彼と父親の元に、銀行から突然差し押さえの通知が届く。経済不況で注文客が激減し、崖っぷちに立たされたニコスは、手作りの屋台で“移動式テーラー”を始めることに。しかし道端で高級スーツはまったく売れず途方に暮れていると、あるオファーが舞い込む。「ウェディングドレスは作れる?」──紳士服一筋だったニコスは「変わりたい」との一心で、女性服の仕立てを学び、オーダーメイドのドレス作りを始める。

ギリシャ出身のケンターマン監督はこれまでに短編映画を8本製作、本作が初めての長編映画となった。「脚本を書き始めたタイミングが、ギリシャに厳しい経済的な困難が訪れた頃だったので、作品の社会背景としては“ギリシャ金融危機”がインスピレーションの基となっています。主人公であるニコスがスーツの仕立て屋ということだけではなく、50歳の男性が突然自分の仕事や店を失ってしまった時にどのような選択肢があるのか。実は選択肢そのものすらないかもしれないし、限られているかもしれない。そういう考えをベースとしました」と作品の背景を説明する。

今回スポットを当てたスーツの仕立て屋という職業については「実は、今のギリシャでは絶滅の危機というぐらいに後継者がいない仕事です。この種の“職人”という職業自体が廃れていっているという現実があります」と指摘。そのため「とにかく自分のその腕、持っている技術というものを活かすような方法を何とかして探さなければいけないという、厳しい状態に陥ってしまった男性について描いています」と語る。

そんな男がなぜ“移動式テーラー”という斬新なアイデアを思い付くのか? そこには監督のこんな意図が。「まず彼が問題なのは、ほぼ社会から隔離され、孤独な人生を歩んでいることです。お店の屋根裏のようなところに1人で住んで、生活の中に全く動きがないんです。毎日を閉じ込められたような空間で暮らしているので、この問題の解決するために、彼をとにかく外に出して、人の中に入っていかせなければいけませんでした」。ソニア・リザ・ケンターマン監督のインタビュー全文はこちらから。

INTERVIEW