監督生活50周年を迎えた山田洋次が「寅さんの少年時代」映画化に意欲!

山田洋次監督
山田洋次監督
山田洋次監督
左から立川志らく、倍賞千恵子、山田洋次監督、野間省伸講談社副社長

今年、映画監督50周年を迎えた山田洋次監督。その記念企画の第1弾として「男はつらいよ 寅さんDVDマガジン」が講談社から創刊されることとなり、1月5日に東京會舘で記者会見が行われた。

[動画]『男はつらいよ 寅さんDVDマガジン』創刊発表記者会見

出席したのは山田監督と、寅さんの妹・さくらを演じ続けてきた倍賞千恵子、『寅さん』シリーズの大ファンで同マガジンで「見どころガイド」を連載する立川志らく、講談社の野間省伸副社長の4人。

冒頭の挨拶で山田監督は、最新作の記者会見のようで不思議な気持ちがすると述べてから、寅さん役の渥美清やおいちゃん役の下條正巳、御前様役の笠智衆などが過去の人となってしまったと淋しげな笑顔を浮かべた。また「心から笑える映画を作りたいというのは昔からの夢だったし、今でもそうです。毎年、寅さんの映画が満員になって笑いの渦に包まれていたことを懐かしく思い出しますし、今でもそういう映画を作りたいと思っています」と映画作りについて語ってから、「でも、なかなか渥美さんのような優れたコメディアンには出会えない」と、故人を偲んでいた。

一方、山田監督と同様、今年で女優生活50周年を迎え、監督の作品には68本も出演してきたという倍賞は「『寅さん』には27年間、48本出演させていただいたのですが、そのなかで社会や世間を勉強させていただき、人間を見る目も学ばさせていただきました。今、(DVDマガジンが)発売されるのは、お兄ちゃん(寅さん)に『お前、初心に戻れよ』と言われているような気がします」と挨拶。また、シリーズ1作目の映像を見て、自らの姿に「かわいかったですね(笑)、40年前なんですよね」と目を細めていた。

会見のなかで監督は、昔の日本映画では、いかに女優を美しく魅力的に撮るかに腐心してきたと説明してから、『寅さん』シリーズでも「スタッフが懸命になって、いかに(女優を)美しく撮るかと努力してきた。倍賞さんについても一所懸命苦労して、美しく撮ってきた」と力説。「苦労して」というコメントに記者席から笑いがこぼれるなか、倍賞は「どうもすみません。申し訳ありません」と恐縮した様子を見せてから、「ありがとうございます」と監督たちの苦労に感謝の意を示していた。

同マガジンには山田監督が書き下ろした「小説・寅さんの少年時代 けっこう毛だらけ」も連載。寅さんの少年時代の秘話を綴った物語で、監督は「脚本はたくさん書きましたけど、小説とは違うので困りました」と執筆の苦労を振り返った。

内容については「(少年時代の寅さんは)当然、手に負えない悪ガキだったわけです。僕らの頃にはそういう、かわいげのある悪い子がいたんですよね。渥美清さんの話もダブらせて書いていこうと思っています。勉強はほとんどしなかったけれど、遊びにかけては天才的、そういうい少年時代だったと思います」とコメント。

また、無事、連載が終了した暁には映画化もあり得るのかという質問には「松竹では、何年も前から(寅さんの少年時代を描く)企画があがってるんですよ」と告白してから、日本の敗戦から復興が舞台背景となるその話の映画化について「僕も面白いと思います」。だが「映画化についてはいろんな問題がある」とも語った山田監督。「昭和20〜30年代の柴又を撮影するには、街をまるまる作らなきゃいけない。とても大変なので踏み出せずにいますが、やりたいという気持ちは十分にあります」と抱負を語っていた。

そんな「お兄ちゃん」の少年時代を知り、「私(さくら)はどうだったんだろう」と気になっている様子の倍賞。小説には少女時代のさくらもおいおい登場するそうで、「私はそそっかしくていい加減なところがあるのですが、さくらさんはしっかりと生活を見据えている人。尊敬しています」と演じた役柄への思いを口にしていた。

「男はつらいよ 寅さんDVDマガジン」は全50巻で、第1巻は1月6日発売。以降、隔週火曜日に発売されていく。

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