実際の猟奇殺人事件に着想を得て作られた『冷たい熱帯魚』。鬼才監督・園子温のR18指定となった最新作が1月29日より公開され、園監督をはじめ、キャストの吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲がテアトル新宿で初日舞台挨拶を行った。
・園監督、夫婦らしく見せるため「とりあえずキスしろ」と演出
・[動画]『冷たい熱帯魚』予告編
主演の吹越は撮影現場の様子について聞かれ「梶原さんは車のボンネットに叩きつけられて鼻血出してましたし、でんでんさんが神楽坂さんを犯すシーンは、(神楽坂の)首に青あざが出るほど」と、かなり過酷な撮影だったと明かしながらも、全体的には和気あいあいとした楽しい現場だったと話していた。
気弱な小市民から突如変貌する吹越や、悪役に初挑戦したでんでんなど男優陣の演技も見どころのひとつだが、黒沢、神楽坂、梶原の3女優の体当たり演技は必見! 特に黒沢の限りなく官能的な悪女っぷりは印象的だが、「(この映画に出るまでは)家庭と育児を第一に考えていたので、段々、カメラの前に立つ心が弱くなっていた。女優のカンを取り戻すには苦労がいるのかなと思っていましたが、(園監督に)マンツーマンでご指導いただき、本番ではあまりご苦労をかけることなく取り組めたのでは。30代を無駄なく駆け抜けることができました」と黒沢は園監督への感謝を口にした。
一方、園監督からの地獄の猛特訓を受けたのは神楽坂と梶原。神楽坂は「追い込まれるというか、『今までどんな生き方をしてきたんだ!』というようなことを言われ、泣きましたが、追い込まれることでいろいろな部分を引き出していただいた」と振り返った。また梶原も「私も泣きました。『こんなんじゃ現場に連れて行けない』と言われてすごくショックを受けたのですが、逆に『負けないぞ!』という気持ちが出てきました」と、園監督の叱咤に奮起させられたと語った。
また、今回が園監督との初仕事だという渡辺は、「現場でいろんな発想がでてくるので、頭をかち割ってのぞいてみたいと思った。すごく面白い監督です」と、園監督の鬼才ぶりを証言していた。
この日は、1月23日に61歳になったでんでんの、ちょっと遅めの誕生日を祝した演出も。彼の妻役を演じた黒沢が大きな花束を渡すと、でんでんは満面の笑みを浮かべていた。善人役が多い彼は今回、悪役を超えた怪物のようなキャラクターに挑んでいるが、その感想については「気持ちよかったです」とニッコリ。だが、吹越と殴り合うシーンではパンチが決まって2度ほどフラついてしまったことを明かし、「しばらくは、優しい八百屋のおじさん役でいいかな」と話していた。
そんなキャストたちについて園監督は「この映画はこのキャストじゃなければ成立しなかったと思います。このキャスティングが決まった時点で、映画の成功を90%確信しました」と語り、感謝を示していた。
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